台本を読んでいるのに、演技の準備がブレる理由
台本は読んでいる。
セリフも入れている。
真面目に準備もしている。
それなのに、稽古や現場に入ると、どこか確信が持てない。
演出やダメ出しを受けたときに、どこから修正すればいいのか迷う。
年齢やキャリアにかかわらず、真剣な方ほどそういった場面も多いかもしれません。
相手役とのやり取りが変わると、自分の準備が揺らぐ。
読んだつもりなのに、演技にしたときに深まりきらない。
もしそう感じることがあるなら、問題は「台本を読んでいないこと」ではないかもしれません。
むしろ、読んでいるつもりの中に、軸や目的がまだ整理されていない可能性があります。
ですから、まだまだ突き抜ける力、持ってますよ。
今回の記事では、オンライン台本読解クラスと、スタジオでの少人数制・演技実践に参加された方々のお声をもとに、台本を感覚だけで読まないことの大切さをお伝えします。
ちゃんと読んでいるつもりでも、軸や目的が曖昧なことがある
俳優にとって、台本を読むことは当たり前の準備です。
けれど、「読んでいる」と「演技に使える形で読めている」は、同じではありません。
なんとなく人物像を考える。
なんとなく感情を想像する。
なんとなく背景を調べる。
なんとなくセリフの言い方を決める。
こうした準備は、一見すると真面目に見えます。
でも、何を軸に読んでいるのか。
何を目的として整理しているのか。
どこまでが台本に書かれている事実で、どこからが自分の推測なのか。
そこが曖昧なままだと、稽古や現場で方向が変わったときに、演技の土台が揺れやすくなります。
良かれと思っての「急いで読む癖」
全くの無意識でも、つい「お客様目線」になってしまう読み方…
この辺を整理することで飛躍される方も多いです。
参加者の声:感覚だけで読んでいたから、ブレやすかった
俳優・30代・東京都の参加者の方から、次のようなお声をいただきました。
「これまで、ちゃんとした軸や目的なしに台本を読んでいたのだと実感いたしました。今までなんとなく台本を読み、理解しているつもりでやっていたことは、ぼんやり頭の中だけで、感覚だけでやっていたからブレやすいものでした。わかりやすく言語化し、細かく体系化され、積み重ねる方法を教えていただき、確信を持って読み進められそうという希望と、今まで触れずにきた、やるべきだったことを知り、目から鱗と同時にショックも受けました。まだまだ落とし込みきれていないので、継続して馴染ませていきたいです。」
このお声は、経験のある俳優にこそ届いてほしい内容です。
台本を読んでいないわけではない。
むしろ、真面目に読んでいる。
けれど、感覚だけで進めていると、自分では理解しているつもりでも、演技にしたときにブレやすくなることがあります。
感覚は大切です。
ただし、感覚だけでは再現しにくい。
そうなんです、感覚ほど、実は頼りにならないもの、ないんです。
稽古場で相手役の反応が変わったとき、演出が変わったとき、現場で調整が入ったときに、どこへ戻ればいいのかが見えにくくなります。
台本読解で扱うのは、感覚を否定することではありません。
むしろ、感覚を演技に使える形にするために、事実、関係、目的、行動、場面の変化を整理していくことです。
この「使える形」が重要です。
台本には、読み解くためのヒントがすでに書かれている
別の参加者の方からは、次のようなお声もいただきました。
「今までは『台本読解難しい』『全然推測が思い浮かばない』と嘆いていました。しかし、今回久しぶり台本読解を受けて、台本には至る所に読み解くためのヒントが書いてある思える視点・考え方を理解できました。日常だと違和感を感じる言葉や行動を、台本として読む時はスルーしてしまいがち。だから、自分の知識や経験だけで決めつけてしまう読解になってしまうんだと気づくことができました。」
俳優・30代・東京都
このお声の中で大切なのは、「台本には至る所に読み解くためのヒントが書いてある」という気づきです。
台本読解が難しいと感じるとき、想像力が足りないのだと思ってしまうことがあります。
でも実際には、想像力の問題ではなく、台本の中にすでにある手がかりを拾いきれていないだけかもしれません。
言葉。
行動。
違和感。
沈黙。
順番。
相手との関係。
場面の前後。
日常なら「今の言葉、少し引っかかるな」「この行動には何か理由がありそうだ」と感じることも、台本になると流してしまうことがあります。
その結果、自分の知識や経験だけで、人物や場面を決めつけて読んでしまう。
台本を読むとは、何もないところから自由に作ることではありません。
すでに書かれているものを、俳優として使える形で見つけていくことです。
練習を経て、ある程度の量をやっていくと、「あてがつく」といいますか
スポーツやダンスと同じように確率が上がる部分があります。
学び方、きちんと体系だってありますよ。
いわゆる精神論ではありません、ご安心ください。
台本読解は、想像力だけでどうにかするものではありません
台本を読むとき、想像力はもちろん必要です。
けれど、想像力だけで進めると、俳優自身の好みや経験に引っ張られやすくなります。
「この人物はこういうタイプだろう」
「この場面はこういう雰囲気だろう」
「このセリフはこういう気持ちだろう」
こうした読み方は、間違いではない場合もあります。
ただ、それだけでは演技に使うには粗いことがあります。
大切なのは、台本に書かれている事実から仮説を立てることです。
その場面で何が起きているのか。
誰が、誰に、何をしようとしているのか。
なぜ今、その言葉が必要になるのか。
何が変わる場面なのか。
そうした問いを持つことで、読解は感覚的な印象から、演技に使える準備へ変わっていきます。
そ、想像力も鍛えることができます。
台本読解で起こりやすい勘違いについては、こちらの記事でも詳しく書いています。
台本読解のよくある大きな勘違い
https://kaorukuwata.com/script-reading-misconceptions/
台本を読む不安が減るのは、進め方が見えてくるから
同じ参加者の方からは、次のようなお声もいただいています。
「こうやって進めてみるという一つの方法を得られたことは、台本を読む不安が減りそうでありがたいです。練習を重ねたいと思います。」
台本読解に必要なのは、毎回ひらめきに頼ることではありません。
どこから見ればいいのか。
何を手がかりにすればいいのか。
どこまでが事実で、どこからが推測なのか。
この場面で何が変わっているのか。
そうした問いを持てるようになると、台本に向かう不安は少しずつ減っていきます。
もちろん、一度のクラスですべてが完成するわけではありません。
演技につながる読解は、積み重ねて馴染ませていくものです。
けれど、進め方が見えるだけでも、台本との向き合い方は変わります。
「なんとなく読む」から、「根拠を持って仮説を立てる」へ。
この変化は、稽古や現場での準備にもつながっていきます。
こうやって、ちょっとずつかもしれませんが、自信もつき、ご本人がキラと光る瞬間も増えていきます。
実際、オペラ歌手の方、ミュージカル俳優の方、テレビは映画で活躍される方でもそのような変化がございます。
もっと早く知りたかったという参加者の声
匿名の参加者の方からは、次のようなお声もいただきました。
「もっと、演じるということに触れ始めた早い時期に知りたかったことばかりです。少しでも前に進んで、理解していきたいので今後も学びたいと感じました。濃い学びの時間をありがとうございました。」
演技の学びは、セリフの言い方や感情の出し方だけではありません。
台本をどう読むか。
相手との関係をどう見つけるか。
場面の中で何が起きているのかを、どのように整理するか。
こうした土台に早い段階で触れておくことで、その後の稽古や現場での準備の質は変わります。
そして、経験を積んでからでも遅すぎることはありません。
むしろ、ある程度やってきた俳優ほど、「今まで何となく通り過ぎてきた部分」が言葉になったとき、自分の課題や伸びしろが見えやすくなります。
もったいないと言われないためにも、もうちょっと、進みませんか?
セリフを入れてくる前に、まず整理したいこと
オンライン台本読解クラスでは、事前にセリフを入れてくる必要はありません。
もちろん、セリフを覚えることは俳優にとって大切です。
ただ、セリフは結果です。
何も整理しないまま先にセリフを入れてしまうと、言い方や感情だけが先に固まり、相手とのやり取りや場面の変化に向かいにくくなることがあります。
そのセリフは、なぜその場面で必要になるのか。
その前に何があり、誰に対して、何をしようとしているのか。
何を変えようとしているのか。
そこを整理していくことで、セリフはただの音ではなく、相手に向かう行動として立ち上がりやすくなります。
この考え方については、こちらの記事でも詳しく書いています。
セリフは結果であって原因ではない
https://kaorukuwata.com/lines-are-results-not-causes/
オンライン台本読解クラスは、聞くだけのウェビナーではありません
5月30日(土)のオンライン台本読解クラスは、一方的に講義を聞くだけのウェビナーではありません。
参加者の方にも考えたことを言葉にしていただきながら、対話を通じて進めていきます。
どこを手がかりに読めるのか。
何を見落としやすいのか。
どこで自分の知識や経験による決めつけが入りやすいのか。
そうしたことを一緒に確認しながら、台本を演技に使える形で整理していきます。
オンラインであっても、ただ画面の前で話を聞くだけの時間ではありません。
台本を読み、考え、言葉にし、他の参加者の視点にも触れながら、読解の軸を育てていく時間です。
スタジオでの演技実践につなげる意味
翌日5月31日(日)には、スタジオでの少人数制・演技実践クラスを行います。
オンライン台本読解で整理した内容を、実際の身体、声、相手とのやり取りに接続していく時間です。
台本読解は、机上の分析で終わるものではありません。
読んだことが、立つ、見る、聞く、動く、相手に働きかけることにつながってこそ、演技の準備になります。
読解で整理したつもりでも、実際に相手の前に立つと、身体が固まることがあります。
声が相手にかからないこともあります。
相手の変化を受け取る前に、準備してきた言い方に戻ってしまうこともあります。
だからこそ、オンラインで整理し、スタジオで実際に試す流れには意味があります。
「わかったつもり」で終わらせず、演技に使える形へ近づけていきます。
こんな俳優や歌手の方におすすめです
このクラスは、何もできない俳優のための基礎講座ではありません。
すでに台本を読み、稽古や現場で準備を重ねてきた俳優が、もう一段深く、確信を持って台本と向き合うためのクラスです。
台本を読んでいるのに、準備の軸が定まりにくい方。
感覚だけで進めてしまい、稽古や現場で迷いが出やすい方。
セリフは入れているのに、相手とのやり取りが深まりにくいと感じている方。
演出やダメ出しを受けたときに、どこから修正すればいいのか整理しきれない方。
もっと確信を持って、台本と向き合いたい方。
こうした俳優に向けたクラスです。
「できないことを責める」ためではなく、すでに積み重ねてきた準備を、演技に使いやすい形へ整えるために行います。
もっと活躍するための知恵だけでなく、底力をつけてください。
よくある質問
事前にセリフを入れてくる必要はありますか
必要ありません。
5月30日(土)夜のオンライン台本読解クラスでは、まず台本をどう読み、何を整理し、どこから演技につなげるかを扱います。
セリフを覚えてくることよりも、台本の中にある手がかりを一緒に見つけていくことを大切にします。
オンライン台本読解クラスはウェビナーですか
いいえ。
5月30日(土)19:00-22:30のオンライン台本読解クラスは、一方的に聞くだけのウェビナーではありません。
問いかけや対話を通じて、台本をどう読み、どう演技につなげるかを一緒に整理していきます。
質問できる時間も、取るようにしています。
またやりっぱなしにならず、きちんと力になるよう、取り組みを振り返る時間も、個別でテキストにて、ご返信を差し上げております。
オンラインだけ、またはスタジオ実践だけの参加はできますか
オンラインのみの参加も可能です。
ただし、翌日5月31日(日)13:00-17:00のスタジオでの少人数制・演技実践クラスは、前日の台本読解で整理した内容を実際の演技につなげる時間です。
スタジオ実践に参加したい方は、オンライン台本読解からの参加をおすすめしています。
5月30日(土) オンライン台本読解クラス
次回のオンライン台本読解クラスは、以下の日程で行います。
5月30日(土)
19:00-22:30
オンライン
主なテーマは、目的・目標・方法を整理し、仮に設定して演技に役立てることです。
セリフを覚えてくることよりも、まず台本の中にある手がかりを拾い、何を軸に読むのかを整理していきます。
5月31日(日) スタジオでの少人数制・演技実践
翌日は、スタジオでの少人数制・演技実践クラスを行います。
5月31日(日)
13:00-17:00
スタジオ
オンライン台本読解で整理した内容を、実際の演技につなげていく時間です。
スタジオ実践に参加したい方は、前日のオンライン台本読解クラスからの参加をおすすめしています。
オンラインのみの参加も可能です。
さらに台本読解を整理したい方へ
台本読解については、これまでの記事でも複数の角度から書いています。
今回の記事で「自分のことかもしれない」と感じた方は、こちらのまとめ記事もあわせてご覧ください。
演じるための台本読解シリーズ
台本を読んでいるのに演技が深まらない方へ|演じるための台本読解シリーズ
台本を読むとは、セリフを覚える前に、演技の土台を整理することでもあります。
何を見て、何を手がかりにし、どのように仮説を立てるのか。
そこが見えてくると、稽古や現場での準備も変わっていきます。
5月クラス詳細はこちら
クラスの詳細は、以下のページをご覧ください。
5月30日(土)オンライン台本読解クラス
5月31日(日)スタジオでの少人数制・演技実践
5月30日(土)・31日(日)開催|台本読解と演技実践をつなげる少人数クラス
台本を読んでいるのに、準備の軸が定まりにくい。
感覚だけで進めてしまい、稽古や現場で迷いが出やすい。
もっと確信を持って台本と向き合いたい。
そう感じている俳優の方は、ぜひ詳細をご確認ください。
この記事を書いた講師:プロフィール 鍬田かおる
指導歴20年以上。俳優や歌手の個人レッスンのほか、桐朋学園芸術短期大学演劇科、新国立劇場演劇研修所・オペラ研修所、劇団青年座研究所などで長年指導経験を経て、芸能事務所映画スクールでも指導する。
ロンドン大学ゴールドスミス校卒。Royal Central School of Speech and Drama 修士課程ムーヴメント科修了。
イギリスSTAT認定アレクサンダー・テクニーク教師。日本演出者協会会員。
俳優や歌手の技術と身体の理解を統合し、現場で使える“交流のある演技”へ導く専門家。大学講師を務める傍ら、個人レッスンで一人ひとりの強みを伸ばし、基礎力からアップさせる本格的なプロのトレーニングを中心に活動しています。
小学生から中堅、そして芸能の舞台や映像で活躍する俳優や歌手の方のアクティングコーチであるだけでなく、プロを目指す若手の育成も務める。
IDC認定インティマシー・コーディネータ(ディレクター)として映画や舞台の現場も入ります。
これまで触れてきた演技のなんとかメソッドや、〇〇式に疑問を抱かれた方へ
実際、プロのための、継続的なブラッシュアップやプロを目指す方の中長期的なビジョンを持ったトレーニングと、目的の異なるイベントというものも巷には多数ございます。
不可思議な単発ワークショップや特定のメソッドだけの誇大広告に疑問を持たれた方、なんちゃらメソッドばかりのプロモーションに違和感を持たれた方、ご自分のせいだと責めないでくださいね。
私の卒業したような映像、舞台ともに幅広く活躍する俳優やコメディアン、劇作家や演出家などを排出しているイギリスの歴史ある演劇学校では、ほぼすべてのメソッドを1年次に全体的に網羅しております。また私の師匠のアメリカの演技スタジオでも、基礎(初歩ではない)の知見はみな共有した上で、それぞれの作品、個別に必要なアプローチを応用させ、指導していく形です。
どんなに素晴らしいものであっても、一つのメソッドだけを盲信していては、またエクササイズばかりを繰り返していても、現場に対応できる力はなかなか伸びないのも事実です。
私のクラスでは、月ごとに切り口を変えたクラスを展開しております。また個人レッスンでは、その方のキャリアや方向性、これまでの活動の様子や、今後の課題、また現場の手ごたえに応じて、セミオーダーでカリキュラムを作成することも多いです。
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