感想を言うことは、指導ではない
「今のなかなかよかったです」
「力を抜いて」
「もっと相手をよくみて」
「なんかちょっと違うんだな…」
現場はもちろん、リハーサルやクラス、歌や身体表現の場で、こうした言葉を聞いたことがある俳優や歌手は少なくないと思います。
もちろん、こうした言葉がすべて悪いわけではありません。
その場で見えた印象を伝えることも、時には必要です。
ただ、それだけでは、俳優は次に何をすればいいのか分からないことがあります。
「よかった」と言われても、なぜよかったのか。どこが良かったのか。
「ちょっと違う」のは何と比べてなのか。実際、どの瞬間の話なのか。
「力を抜いて」も頻発するものの1つですが、そうと言われても、どこ力を、どの方向に扱えばいいのか。
「相手の言ってることをもっとよくきいて」と言われても、もちろん耳は聞こえている。
じゃぁ、何を変えたら、「聞いていることが、みている側へ伝わる」のか。
声を大きくすればいいのか、息を流せばいいのか、相手への方向性を変えればいいのか、本人には分からないことがあります。
感想を言うことと、指導することは違います。
演技が行き詰まっている時に必要なのは、演出上の希望と、ただ見えた印象をそのまま言うことではなく、何が本当に行き詰まりの原因になっているのかを見分け、次に使える形に整理することです。
私自身も、「ちょっと違う」、「もっと自然に」と言われて、何年も何のことかよくわかりませんでした。
もちろん、先生方はそんなつもりはなく、その時に適切な言葉ではあったはずなのですが…
それでも、では具体的に何をしたらいいのかがわからないままでは、結果、何度も探りながらやることしかできなかった記憶です。
俳優が困るのは、評価された後です
俳優が本当に困るのは、評価された瞬間ではなく、その後です。
「今のはよかったです」
「さっきのほうがよかったです」
「もっと相手にかけて」
「もっとラクでいい」
「もっとリアリティを持って」
こう言われた時、俳優の内側では、いろいろなことが起きます。
今の何がよかったのだろう。何と比べて?
さっきと今で何が違ったのだろう。動き?それとも声?
相手を見ているつもりだったけれど、見えていなかったのだろうか。
楽にしようとすると、かえって支えが抜ける気がする。
顔はどうなってたかなぁ…
リアリティを出そうとすると、説明っぽくなる。
でも、不自然なのは良くないし…
このような脳内を会話が繰り広げられ、疲れていきます。
まるで「神経衰弱」。
記憶を頼りに、自分の感覚を頼りに、探りながら、試行錯誤を繰り返して行きます。
この時間をどこまで使って良いものか、もっと効果的、かつ、お互い専門に集中できるようなるための方法は無いものでしょうか。
こうした探りながらの迷いは、決して珍しいものではありません。
むしろ、真面目に取り組んでいる俳優ほど、きちんと言葉を受け取ろうとして、身体や思考が固まりやすくなります。
問題は、言葉そのものではありません。
その言葉が、次の行動に変換されているかどうかです。
演技が止まったのは、感情が足りなかったからなのか。
相手との関係が曖昧だったからなのか。具体的な指摘です。
台本の読み方が浅かったからなのか。想像の問題なのか。
身体が先に構えてしまったからなのか。じゃあどの部分が?
声を出そうとして、首や肩で頑張っていたからなのか。
ではどの瞬間のこと?ずっとなんか?
そこを見分けないまま「もっとこうして」と言っても、俳優や歌手にとっては印象の共有や感想を言われたままで終わってしまいます。
それは、感想としては成立していても、指導としてはまだ足りないのです。
本人が感じている悩みと、本当に起きている問題は違うことがある
声が出しにくい。
セリフが相手にかからない。
感情が出ない。
演技がマンネリしている。
相手を見ているつもりなのに、相手とやり取りしている感じがしない。
俳優や歌手が自分で感じている悩みは、とても大切な入口です。
ただし、本人が感じている悩みと、実際に起きている問題が同じとは限りません。
たとえば「声が出ない」と感じていても、声そのものの問題ではなく、セリフを言う前に首や肩が固まり、呼吸や背中の動きが止まっていることがあります。
「感情が出ない」と感じていても、感情の量が足りないのではなく、役の人物が相手に何をしようとしているのかが曖昧なため、行動が起きていないことがあります。
「セリフが入らない」と感じていても、暗記力の問題ではなく、その言葉がなぜ今必要なのか、相手に何をするための言葉なのかが整理されていないことがあります。
「演技がマンネリしている」と感じていても、表現の引き出しが少ないのではなく、いつも同じ問いから台本を読んでいることがあります。
ここを見分けないまま、
「もっと声を出して」
「感情を出して」
「もっと力を抜いて」
「違う表現をして」
と言っても、本人は同じ場所で迷いやすくなります。
必要なのは、本人が感じている悩みを入口にしながら、実際には何が起きているのかを見分けることです。
レッスンでは、表に出ている悩みだけを扱うのではなく、台本の読み方、身体の使い方、声の準備、相手との関係、場面の目的を分けて見ていきます。
その上で、今どこが詰まりになっているのか、何を変えると演技や声が動き出しやすくなるのかを、実際に試しながら整理していきます。
だから、単に「よかった」「違う」「もっとこうして」という感想で終わらせません。
何が起きているのかを見分け、次に使える形に変えていく。
ここが、演技や身体の使い方を変えるために大切な部分です。
「セリフが相手にかからない」原因は、ひとつではない
たとえば、「セリフが相手にかからない」という悩みがあります。
これは、俳優、声優、ミュージカル俳優、歌手にも起きやすい問題です。
ただ、「もっと相手に向かって」「もっと声を前に出して」と言うだけでは、解決しないことがあります。
息が前に流れていなければ、言葉は相手に届きにくくなります。
母音の音が口の中で十分に作られていなければ、セリフは不明瞭になります。
本人は暗い表現をしたいわけではなくても、音がこもることで、結果的に暗く聞こえてしまうこともあります。
しかし、だからといって、母音や発音だけを直せばよいわけでもありません。
首が固まっている。
胸が緊張しすぎている。
背骨の動きが出にくくなっている。
そうした状態では、呼吸が深く入りにくくなります。
呼吸が変わらなければ、音も変わりにくい。
音が変わらなければ、セリフの届き方も変わりにくい。
つまり、「セリフが相手にかからない」というひとつの悩みの中にも、呼吸、発音、母音、首、胸、背骨、相手への方向性、台本の読み方が関わっています。
ここを見分けないまま、
「もっと大きく」
「もっと明るく」
「相手に届けて」
と言われても、本人は何を変えればいいのか分からなくなります。
必要なのは、表に出ている印象だけを見ることではありません。
本当に何が問題になっているのかを見分けることです。
声の問題に見えて、身体の問題が関係していることがあります。
発音の問題に見えて、呼吸や首の使い方が関係していることがあります。
身体の問題に見えて、台本の読み方や相手への目的が曖昧なことが関係していることもあります。
感想を言うだけなら、「声がこもっています」「もっと相手に届けてください」で終わるかもしれません。
でも、指導として必要なのは、その先です。
なぜこもるのか。
どこで息が止まるのか。
どこで身体が固まるのか。
どの音が曖昧になるのか。
何をしようとして、声や身体の動きが邪魔されているのか。
そこまで見ていくことで、俳優はようやく「次に何をすればいいのか」が分かってきます。
「マンネリしている」の正体は、表現の引き出し不足とは限らない
俳優や歌手の方から、
「自分でも、なんとなくマンネリしている気がします」
「いつも同じような芝居になってしまいます」
「違う役のはずなのに、出てくるものが似てしまいます」
という相談を受けることがあります。
この悩みも、表に出ている印象だけを見ると、
「もっと違う表現をしてみましょう」
「もっと引き出しを増やしましょう」
「いつもと違うことをしてみましょう」
と言いたくなるかもしれません。
でも、実際には、それだけで変わらないことがあります。
マンネリの元は、表現のバリエーション不足だけではありません。
台本を、的確に、細かく、具体的に、感覚につながる形で紐解けていないことがあります。
また、別の作品や別の役の人物を扱っているつもりでも、いつも同じ角度から問いを立ててしまっていることがあります。
同じ問いを立てれば、出てくる答えも似てきます。
問いが冴えなければ、答えも冴えにくくなります。
たとえば、毎回、
「この人物はどういう性格か」
「この人物はどんな気持ちか」
「自分だったらどう感じるか」
というところで止まってしまうと、役の人物との距離が曖昧になります。
自分がキャスティングされた時点で、無意識のうちに役を自分に近づけてしまうこともあります。
すると、作品も役の人物も違うはずなのに、出てくる反応、立ち方、声の温度、相手への向かい方が似てしまいます。
本当に必要なのは、「いつもと違う表現をすること」ではありません。
今回の台本で、どこから入るのか。
この役の人物にとって、何が個人的な問題なのか。
相手に対して、何を変えたいのか。
この場面で、どの問いを立てると役の人物の行動が動き出すのか。
そうした切り口を複数持つことです。
演技の幅は、表面的な表現の種類だけで広がるわけではありません。
問いの立て方が変わると、見えるものが変わります。
見えるものが変わると、相手への反応が変わります。
相手への反応が変わると、声や身体や間合いも変わります。
だから、マンネリを感じている時に必要なのは、ただ別の表現を足すことではなく、自分がいつもどの問いから入っているのかを見直すことです。
自己洞察の限界は、演技の限界にもつながります。
自分が何を見落としやすいのか。それはいつからなのか。
どの角度からばかり役を見てしまうのか。毎回そうなのか。
どこで自分に引き寄せすぎてしまうのか。
自分自身の中で、使ってない部分はどこなのか…
どういった癖が、役の人物や作品の違いを見えにくくしているのか。
ここを見分けていくことで、演技は変わりやすくなります。今作ってるブログの中
「もっと違うことをして」という感想で終わらせるのではなく、なぜ似てしまうのかを見ていく。
台本の読み方なのか。
問いの立て方なのか。
身体の癖なのか。
相手への向かい方なのか。
自分に近づけすぎているのか。
それとも、役の人物にとって本当に個人的な問題をまだ見つけられていないのか。
そこを整理していくことで、ただ違う表現を探すのではなく、役の人物として必要な反応が出てくる状態に近づけていきます。
指導とは、次に使える形にほどくこと
指導とは、見たものに感想を述べることではありません。
相手が次に何をすればいいのかを、使える形にすることです。
そのためには、演技をひとつの印象として見るだけではなく、いくつかの層に分けて観察する必要があります。
つまり、観察も、分析も、指示を出すことも、具体的なんです。
台本をどう読んでいるのか。
役の人物が、相手に何をしようとしているのか。
その場面で何が変わる必要があるのか。
身体がどこで先回りしているのか。
声を出す前に、どの部分が固まっているのか。
相手を見ているつもりで、実は自分の中の確認作業に入っていないか。
たとえば、セリフを入れた途端に呼吸が浅くなることがあります。
声を出そうとした瞬間に、首や肩が固まることがあります。
感情を出そうとして、身体が止まることがあります。
相手を見ているつもりでも、頭の中では「ここで間を取る」「ここで強く言う」「ここで目線を上げる」といった確認作業が始まっていることがあります。
こうしたことは、外から見ると「硬い」「相手とやり取りできていない」「声が届いていない」と見えるかもしれません。
でも、そこで「もっと力を抜いて」「もっと相手を見て」「もっと声を出して」と言うだけでは、本人は同じ場所で迷いやすくなります。
これは具体的ではありません。
必要なのは、何が起きていたのかを一緒に見つけることです。
そして、次に試せる具体的な方向へ変換することです。
そのためにエクササイズを発明したり、段階ごとに導入するアプローチを変えたりすることも、私のクラスやレッスンではございます。
「力を抜いて」が、かえって難しくなることもある
「力を抜いてください」
この言葉は、演技や歌や身体のレッスンでよく使われます。
ただ、実際には「力を抜こう」とした瞬間に、かえって身体の支えが抜けてしまうことがあります。
支えが抜けると、声が薄くなる。
足元が頼りなくなる。
相手に向かう力が弱くなる。
身体の輪郭がぼやけて、動きが曖昧になる。
また反対に、力を抜こうとしているつもりで、別の場所を固めてしまうこともあります。
首を固める。
肩を下げようとして胸を止める。
お腹をゆるめようとして、足とのつながりを失う。
「脱力」は、ただ抜けばよいというものではありません。
演技や歌に必要なのは、抜けた身体ではなく、使える身体です。
声に向かえること。
相手に反応できること。
空間にいられること。
台本の言葉が必要になった時に、身体が邪魔をしないこと。
そのためには、どこをやめる必要があり、どこは使える状態で残しておく必要があるのかを、丁寧に見ていく必要があります。
ここが、感想と指導の大きな違いです。
「力が入っていますね」で終わるのではなく、何をしようとして、どこが働きすぎて、何が使えなくなっているのかを見る。
その上で、次にどう扱えばよいのかを試す。
この積み重ねが、演技や身体の使い方を変えていきます。
感覚体験は大事。でも一度では定着しない
アレクサンダー・テクニークのレッスンや、身体を扱う演技のレッスンでは、一度の中でも変化が起きることがあります。
身体の緊張が変われば、呼吸がしやすくなる。
呼吸が整って、声が出しやすくなる。
構えが減れば、立っている感覚が変わる。
余計な緊張が減るので、相手を見やすくなる。
その子から、動き出しが軽くなる。
余計な構えから離れて、セリフが言いやすくなる。
こうした感覚体験は、とても大事です。
ただ、これも全部、具体的な指示から来ています。
それまで自分が当たり前だと思っていた使い方以外にも、別の可能性があると分かるからです。
ただし、一度「楽になった」と感じたことと、それを稽古や現場で使えるようになることは別です。
身体の使い方や演技の癖は、長い時間をかけて積み重なっています。
緊張した時の反応。
声を出そうとする時の癖。
人前に立った時の構え。
感情を出そうとした時の身体の固まり方。
セリフを間違えたくない時の確認作業。
これらは、頭で理解しただけでは消えません。
一度楽になった。
一度声が出た。
一度相手が見えた。
それは大切な入り口です。
でも、その体験を演技や歌や現場の状況の中で使えるようにするには、繰り返しが必要です。
試して、崩れて、また調整する。
違う場面で使ってみる。
全て具体的です。
緊張した時にも戻れるようにする。
セリフや動きや相手とのやり取りの中で扱えるようにする。
そこまで積み重ねて、ようやく「分かったこと」が「使えること」に変わっていきます。
“分かった気がする”ところで止まると、変化は起きにくい
今は、SNSや記事、動画、無料のPDFなどで、いろいろな情報に触れることができます。
演技の考え方。
身体の使い方。
呼吸のヒント。
台本読解のコツ。
力みを減らすための言葉。
こうした情報に触れること自体は、とても良いことです。
ただ、「いい話を聞いた」と「自分の使い方が変わった」は違います。
記事を読んで納得することと、稽古場で実際に使えることも違います。
動画を見て分かった気がすることと、自分の身体や声や演技の中で再現できることも違います。
特に、ある程度経験のある俳優や歌手ほど、理解する力があります。
だからこそ、言葉としてはすぐに納得できることがあります。
「そういうことですよね」
「分かります」
「前にも言われたことがあります」
「意識しているつもりです」
でも、分かったつもりになったところで止まると、変化は起きにくくなります。
本当に必要なのは、理解したことを、実際の行動の中で確認することです。
台本を前にした時に、何から読んでいるのか。
相手役を前にした時に、何をしようとしているのか。
声を出す前に、身体のどこが先に準備しているのか。
本番に近い緊張の中で、どの癖に戻りやすいのか。
そこまで見ていくと、「分かっているつもりだったこと」が、まだ使える形になっていなかったと見えてくることがあります。
これは落ち込むことではありません。
むしろ、ここからが本当の稽古です。
オンラインでできること、対面で必要なことは違う
演技や身体の使い方を扱う時、オンラインでできることと、対面で扱う必要があることがあります。
台本読解や、場面の整理、役の人物の目的、相手との関係、何が起きているのかを考えることは、オンラインでも扱いやすい内容です。
画面越しでも、言葉の整理や思考の順番、台本の読み方の癖は見えてきます。
たとえば、セリフから先に表情や言い方を決めていないか。
気持ちの説明に寄りすぎていないか。
役の人物が相手に何をしたいのかが曖昧になっていないか。
場面で何が変わるのかを見落としていないか。
こうした読解の整理は、オンラインでも扱うことができます。
一方で、身体の使い方、呼吸、声、立ち方、動き出し、相手への反応の癖は、対面での観察が重要になります。
実際の空間で、どう立っているのか。
相手を見る前に、どこが固まるのか。
声を出す時に、首や肩や背中がどう反応するのか。
動こうとした瞬間に、足元や呼吸がどう変わるのか。
これは、言葉だけでは扱いきれません。
特にアレクサンダー・テクニークは、理論を知るだけで完結するものではありません。
自分が実際にどう立ち、どう見て、どう反応し、どう声や動きに向かっているのかを、空間の中で扱う必要があります。
だからこそ、オンラインの台本読解クラスと、対面の演技実践クラス、身体と声のセミプライベートレッスン、個人レッスンには、それぞれ違う役割があります。
オンラインでは、考え方や読み方を整理する。
対面では、それを身体、声、相手とのやり取りの中で試す。
この二つがつながると、理解がただの知識で終わらず、演技に使える力へ変わりやすくなります。
現場で使える力は、気づきだけでは育たない
一度の気づきは、とても大切です。
でも、気づきだけでは現場で使える力にはなりません。
現場では、台本があります。
相手役がいます。
カメラや舞台空間があります。
段取りがあります。
時間の制約があります。
緊張もあります。
自分では分かっていたはずのことが、いざ立った時に消えてしまうことがあります。
普段のレッスンではできたのに、本番に近い状況になると戻ってしまうことがあります。
読解では分かったつもりだったのに、相手を前にすると自分の中の確認作業に入ってしまうこともあります。
だから、演技や身体の使い方は、気づいたところで終わりではありません。
使ってみる。
崩れる。
もう一度見る。
調整する。
別の場面で試す。
繰り返して、少しずつ自分のものにしていく。
この過程が必要です。
無料の投稿を読むことも、良い記事を読むことも、きっかけにはなります。
でも、実際に自分の身体、自分の声、自分の演技の中で何が起きているのかは、本人だけでは見えにくいことがあります。
だからこそ、指導が必要になります。
ただ褒めるためでも、ただ直すためでもありません。
次に使える形にするためです。
演技を変えたいなら、感想で終わらせない
「今のよかったです」
この一言が役に立つこともあります。
ただ、そこで終わってしまうと、俳優は再現できません。
なぜよかったのか。
どの準備が変わったのか。
相手との関係がどう変わったのか。
身体のどこが邪魔をしなくなったのか。
台本の読み方がどう変わったのか。
そこまで見えてくると、俳優は次に進みやすくなります。
「力を抜いて」も同じです。
ただ抜くのではなく、何をやめるのか。
何を残すのか。
何に向かうのか。
どの場面で、どの相手に、何をするために必要なのか。
そこまで整理されて初めて、身体の使い方は演技とつながります。
感想をもらうことと、指導を受けることは違います。
一度感覚が変わることと、現場で使えるようになることも違います。
演技や身体の使い方を本当に変えたいなら、気づきで終わらせず、使えるところまで積み重ねる必要があります。
その積み重ねの中で、セリフ、声、身体、相手との関係、台本の読み方が少しずつつながっていきます。
本人が感じている悩みと、実際に起きている問題が違うことは少なくありません。
声の問題だと思っていたことが、身体の使い方とつながっている。
感情の問題だと思っていたことが、台本の読み方とつながっている。
マンネリの問題だと思っていたことが、問いの立て方や自己洞察の癖とつながっている。
この「自己流の診断が、演技を遠回りさせることがある」という話は、別の記事で詳しく書きます。
6月の身体と声セミプライベートレッスンについて
「セリフが相手にかからない」
「声がこもる」
「呼吸が浅くなる」
「声を出そうとすると首や肩が固まる」
こうした悩みは、声だけ、発音だけ、気持ちだけを直そうとしても変わりにくいことがあります。
6月の身体と声セミプライベートレッスンでは、呼吸、声、母音、首や胸の緊張、背骨の動き、立ち方、相手への方向性を、実際に声を出しながら扱います。
少人数で行うため、自分の癖に気づきやすく、言葉で分かったことを身体と声の中で試しやすい時間になります。
声を出す前に身体が固まる方。
セリフが相手に届きにくい方。
声や表現がこもって聞こえやすい方。
力を抜こうとすると、かえって支えが抜けてしまう方。
身体と声を一緒に見直すことで、変化の入口が見つかりやすくなります。
6月の身体と声セミプライベートレッスンの詳細は、別記事でご案内しています。
6月29日(月)開催|身体と声のセミプライベートレッスン
個別に自分の課題を整理したい方へ
個人レッスンでは、癖を直すことだけを目的にしているわけではありません。
演技の基礎を一度棚卸ししたい方。
試験や査定に向けて、今の課題を整理したい方。
オーディションに向けて、台本の読み方や演技の準備を見直したい方。
映像や舞台の現場に入る前に、役への向かい方、身体と声の状態、相手とのやり取りを整えておきたい方。
こうした目的にも対応しています。
声の問題だと思っていたことが、身体の使い方と関係していることがあります。
マンネリの問題だと思っていたことが、台本の読み方や問いの立て方と関係していることがあります。
緊張の問題だと思っていたことが、相手との関係や、身体の先回りと関係していることもあります。
本人にとって当たり前になっているやり方や、長年の演技の習慣は、自分では見えにくいものです。
個人レッスンでは、台本、声、身体、呼吸、立ち方、相手への反応を、その方の課題に合わせて扱います。
「何を直せばいいのか分からない」
「いつも同じような芝居になってしまう」
「声や身体の悩みを、具体的に見直したい」
「自分の演技の現在地を、客観的に整理したい」
という方は、個人レッスン専用フォームよりご相談ください。
https://forms.gle/Na4Pe383GkxnJaqQ6
5月30日 オンライン版・演じるための台本読解クラス
身体や声の問題に見えていることが、実は台本の読み方から来ていることもあります。
セリフを言う前に、役の人物が相手に何をしようとしているのか。
その場面で何が変わる必要があるのか。
なぜその言葉が今必要なのか。
ここが曖昧なままでは、身体も声も迷いやすくなります。
2026年5月30日土曜 19時から22時30分まで、オンライン版・演じるための台本読解クラスを行います。
このクラスでは、台本を「読んだつもり」で終わらせず、場面で何が起きているのか、役の人物が相手に何をしようとしているのか、どこから演技に入るとよいのかを整理します。
セリフを早く覚えることよりも、言葉が必要になる状態を見つけたい方。
感情や雰囲気で読んでしまい、演技が曖昧になりやすい方。
台本を読んでも、結局いつも同じような準備になってしまう方。
そうした方に向いています。
5月31日 少人数制・演技実践クラス
2026年5月31日日曜には、少人数制・演技実践クラスを行います。
オンラインで整理した台本読解を、実際に立って、相手とやり取りしながら試していきます。
読んで分かったつもりだったことが、実際に立つとどう変わるのか。
相手を前にした時、自分の身体や声に何が起きるのか。
セリフや段取りに入った時、どこで確認作業に戻りやすいのか。
その違いを、実践の中で扱います。
台本を読んでも演技に移すと曖昧になる方。
相手を見ているつもりでも、自分の中の確認作業に入りやすい方。
現場や稽古で、言われたことをどう実践に変えればいいのか迷いやすい方。
読解と実践をつなげることで、演技の準備が具体的になりやすくなります。
5月30日(土)・31日(日)開催|台本読解と演技実践をつなげる少人数クラス
この記事を書いた講師
鍬田かおる
演技コーチ、アレクサンダー・テクニーク教師、ムーブメント講師。
20年以上にわたり、俳優、歌手、声優、ミュージカル俳優、ダンサーなど、声と身体を使って表現する方に向けて、台本読解、演技実践、身体と声の使い方を指導しています。
イギリスでアレクサンダー・テクニークを学び、STAT認定教師として活動。F.M.アレクサンダーの著書を日本語に翻訳・出版しています。
レッスンでは、単に「よかった」「力を抜いて」「もっと相手に届けて」と感想を伝えるのではなく、台本の読み方、役の人物の目的、相手との関係、身体の使い方、声の出し方を分けて観察し、現場や稽古で使える形に整理していきます。
演技の基礎の棚卸し、試験や査定の準備、オーディション対策、映像や舞台の現場準備、歌手やダンサーの身体と声の使い方まで、目的に応じて扱っています。
現在は、演技クラス、個人レッスン、アレクサンダー・テクニーク個人レッスン、教育機関・芸能事務所・映画スクール等での講師活動のほか、インティマシー・コーディネーター(ディレクター)として映像や舞台の現場相談にも対応しています。
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ただ、単発の刺激や一時的な気づきだけでは、現場で使える力として積み上がりにくいことがあります。
大切なのは、台本をどう読み、身体と声をどう使い、相手とのやり取りの中でどう変化していくかを、継続して見直していくことです。
もっと活躍したい。
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今までの努力を、もう一段具体的な技術につなげたい。
そう感じている方は、クラスや個人レッスンでご相談ください。
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演技コーチ/ムーヴメント指導・演出・振付/IDC認定インティマシーディレクター/STAT認定アレクサンダー・テクニーク指導者/スピーチ&プレゼンテーションコーチングActing Coach/Movement Direction/IDC qualified Intimacy Director/STAT certified Alexander Technique teacher, mSTAT, Movement Teaching/Speech and Presentation Coaching



