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台本を読んでいるのに演技が深まらない方へ|演じるための台本読解シリーズ

台本読解のよくある勘違いシリーズ5本の全体構造をまとめた図解

台本を読んでいるのに演技が深まらない方へ|台本読解シリーズ5本まとめ

台本を読んでいる。
セリフも覚えている。
感情も考えている。
役の背景も調べている。

それでも、演技が深まらない。
一つのシーンは成立しているのに、作品全体で見ると人物が進んでいない。
その場では感情も出ているのに、次の場面につながって見えない。
セリフを言っているのに、相手に届いている感じがしない。

そういうことは、決して珍しくありません。

原因は、努力が足りないことだけではありません。
台本を読む順番や、見るべき単位がずれていることがあります。

台本読解は、情報を埋める作業ではありません。
演じるために、何が起きているのかを整理する準備です。

このシリーズでは、俳優がつまずきやすい台本読解の勘違いを、5本の記事に分けて整理しました。

5W1H。
どんなふうに。
目的。
セリフ。
方法。

どれも、演技の準備では大切です。
ただし、使い方を間違えると、演技が浅く見えたり、その場しのぎになったりします。

ここでは、5本の記事を順番にまとめます。

気になるところから読んでいただいても大丈夫です。

 

まず読むなら、この3本です

最初に読んでいただきたいのは、本編の3本です。

台本を読むときに、多くの俳優が最初につまずきやすいところを扱っています。

5W1Hで整理しているのに、演技につながらない。
「どんなふうに演じるか」を先に考えてしまう。
目的を考えているつもりなのに、演技がはっきりしない。

この3つは、初心者だけの問題ではありません。

ある程度経験を積んできた俳優でも、台本を読むときにここで止まってしまうことがあります。

第1回|台本を5W1Hで読んでいるうちは、演技が浅くなりやすい理由

5W1Hは、台本を整理するときに便利です。

いつ。
どこ。
誰が。
何を。
なぜ。
どのように。

ただ、これを項目として埋めるだけでは、演技にはつながりにくいことがあります。

特に「どのように」に早く飛びつくと、表情、声色、動き方、雰囲気の話になりやすいです。

でも、演技で大切なのは、先に形を決めることではありません。

何が起きているのか。
誰に何をしたいのか。
その場で何を変えようとしているのか。

そこを読まずに5W1Hだけを埋めると、整理しているつもりでも、演技が浅くなりやすくなります。

特に急いでる時、現場でどんどんブロッキングされる時、またディレクターや演出で、欲しい結果を次々に言われてしまう時、自分が追いついてないときにそうなりやすい。

 

台本を5W1Hで読んでいるうちは、演技が浅くなりやすい理由
https://kaorukuwata.com/script-reading-5w1h-mistake/

 

第2回|「どんなふうに」を優先するほど、演技は安っぽくなる

演技を考えるとき、つい「どんなふうに演じるか」から入りたくなることがあります。

悲しそうに。
怒った感じで。
自然に。
リアルに。
強く。
弱く。
間を取って。

でも、「どんなふうに」は結果です。

先に決めると、演技が説明的になったり、雰囲気だけになったりします。

私もその昔、俳優である先生にも注意されていましたが、一向にこの癖が治りませんでした。

ただ、俳優のトレーニングや育成を学んでいくプロセスで、イギリスで少しずつ、解けていった気がします。

実際演じるためには、

本来、役の人物は、相手に何を起こしたいのか。
そのために何をしているのか。それはなぜなのか。
今、この場で何が変わろうとしているのか。変わらないと、何が起きるのか…

そこから結果として、声、間、動き、表情が生まれていきます。

「どんなふうに」を優先するほど、演技は安っぽくなる
https://kaorukuwata.com/deciding-how-too-early-acting/

ここが納得できていると、「自分ごと」にしていくのもスムーズです。

ぜひ、ご自身の体験と照らし合わせてみてください。

第3回|目的を考えているのに、演技がはっきりしない理由

演技や演劇の現場では、「目的が大事だ」と言われることがあります。

私自身、芸能事務所のレッスンでも、俳優の先生の私塾でも、大学の授業や実習でも、常に言われていました。

ただ、目的という言葉を知っていても、それが演技に使える形になっているとは限りません。

目的が抽象的すぎる。形容詞になっている。
相手に何をするのかが見えていない。影響がない。目的の設定になっている。
目的と願望が混ざっている。

意図や動機だけになっている。
目的と方法が、悪い意味で、混ざっている。
目的を考えたつもりで、結局「気持ち」や「あらすじ」の話に戻っている。

こうなると、目的を考えているのに、演技ははっきりしません。

目的は、ただ立派な言葉にするものではありません。
相手に向かう行動として使える必要があります。

目的を考えているのに、演技がはっきりしない理由
https://kaorukuwata.com/acting-objective-not-clear/

ここが、ジャンルを問わず、大きな壁だと感じます。

また、私は、イギリス以外でも、演技指導の指導法、教育学を学んできましたが、これは文化的な差というより、ある程度の分量のある文章の整理、感情(気持ちと呼んでも良い)を扱うからこそ必要になってくる論理的な思考が助けになる部分でもあります。

 

セリフと方法で悩んでいる方には、この2本です

本編3本に加えて、番外編を2本書きました。

この2本は、セリフや方法で悩んでいる方に特に読んでいただきたい内容です。

セリフがうまく言えない。
感情が乗らない。
その場ではできているのに、作品全体で見ると弱い。
一つのシーンは成立するのに、人物が進んでいない。

こういう悩みは、単なるセリフや技術だけの問題ではないことがあります。

準備の順番がずれている。
原因を育てる前に、結果だけを整えようとしている。
方法が目的になっている。

そこを整理したのが、番外編の2本です。

できてるつもりの方、現場はあるし、そんなに悪くは無いけれど、実はちょっとまだ突き抜けない方にも役立つと思います。

番外編1|セリフは結果であって、原因ではない

セリフで悩む俳優は多いです。

どう言えばいいのか。
どんな声で言えばいいのか。
どこで間を取ればいいのか。
どう感情を乗せればいいのか。

もちろん、セリフの扱いは大切です。

でも、セリフは結果の一部です。
原因ではありません。

その言葉が必要になる前に、何が起きているのか。
なぜ、その言葉を相手に向けなければならないのか。
その言葉を使って、相手に何を起こそうとしているのか。

そこが育っていないままセリフだけを練習しても、言葉は生きにくくなります。

作家が先に書いてくれているからこそ、俳優は逆算する必要があります。

セリフは結果であって、原因ではない
https://kaorukuwata.com/lines-are-results-not-causes/

ここが腹落ちできると、相手との交流もスムーズになり、また役の人物の心象風景も豊かになっていきます。

また、演出の意図や作品のジャンルに合わせて、トーンを調整することも可能です。

そんなこと、信じられない?

それは技術が足りないからかもしれません。

一緒に、スキルアップしていきましょう。

番外編2|方法を目的にしているうちは、演技はその場しのぎになる

養成所も出た、事務所のレッスンも行ってる現場にも出ている。

舞台の経験もある。もちろん映像も…。

そんな方でも、ここで実はちょっと足踏みしている方も多いのが、この方法の問題。

セリフ、感情、間、動き、分析。

どれも演技には必要です。

でも、それらは方法です。
目的地ではありません。

方法を目的にしてしまうと、一つのシーンは成立しているように見えることがあります。

感情も出ている。
盛り上がっている。
笑いも取れている。
その場の反応もある。

でも、次のシーンにつながらない。一貫性がない。
作品全体で見ると、人物が進んでいない。推進力が弱い…。
場面は動いているのに、人物の旅が進んでいない。

その背景には、目的、目標、方法の混同があるかもしれません。

方法を目的にしているうちは、演技はその場しのぎになる
https://kaorukuwata.com/acting-method-as-objective/

これまで20年以上、既に活躍しているプロの俳優、歌手、またプロ目指す方々を指導してきましたが、映像、舞台にかかわらず、スケールが小さくなってしまう、悪い意味で「まとまってしまう」のも、ここから派生していることが多いです。

 

どの記事から読めばいいか

順番に読むなら、第1回からがおすすめです。

ただし、今の悩みに合わせて、必要な記事から読んでいただいても大丈夫です。

台本を整理しているのに、演技が浅いと感じる方は、第1回から読んでください。

演じ方、言い方、動き方を先に考えてしまう方は、第2回が役に立つと思います。

目的を考えているのに、演技がぼんやりする方は、第3回を読んでください。

セリフがうまく言えない、言葉が相手に届かないと感じている方は、番外編1を読んでください。

一つのシーンは成立するのに、作品全体で人物が進んでいないと感じる方は、番外編2を読んでください。

良いきっかけになると思います。

台本読解は、演じる前の準備です

台本読解は、文学的に正解を出すための作業ではありません。

また、感想を言うためのものでもありません。

演じるために、何が起きているのかを整理する。
相手に何をしたいのかを見る。
その場で何が変わるのかを読む。
セリフが必要になる原因を探す。
作品全体の中で、今いる場所を確認する。

そのための準備です。

読んだつもりでも、演技につながらないことがあります。
考えたつもりでも、相手に向かう行動になっていないことがあります。

だからこそ、台本読解には練習が必要です。

体験で強化していくことで、本当の力がぐんぐん育っていきます。

そして、効率的に深めていくことが可能になっていきます。

また、映画や舞台をみたとき、様々な本に触れたときの切り口も複数になっていきます。

楽しいですよ。

実際、私のクラスに数年通ってらっしゃる方でも、どんどんわかるようになってきた、映画をみていても、気づくことが増えて、視点が変わったとおっしゃる方も多いです。

 

読んで終わりにしないために

記事を読むだけでも、台本の見方は少し変わります。

ただし、自分の台本、自分の役、自分の癖に当てはめるには、実際に整理してみる必要があります。

読んでわかったことと、実際に台本を前にして使えることは別だからです。

一人で読むと、どうしてもいつもの癖に戻りやすいです。

感情に戻る。
セリフに戻る。
雰囲気に戻る。
役の人物の説明に戻る。
「どう演じるか」に戻る。

そこから一度離れて、演じるために必要な順番で整理していくことが大切です。

それから、身体を通すこと。実践を重ねることで、のびのびと、自分で判断していくことができるようになります。

そして、自信もついていきます。

だからさらに、キラッと光る瞬間が増えていきます。

 

グループクラスが向いている方

私のグループクラスでは、台本を演技につなげるための読み方を、少人数で扱います。

台本読解の手順を知りたい方。
自分だけで読むと、感情やセリフに戻ってしまう方。
他の俳優の読み方を聞きながら、自分の視点を整理したい方。
演じる前の準備の型を身につけたい方。

そういう方には、グループクラスが向いています。

一人では見落としやすいところも、他の方の読み方を聞くことで見えてくることがあります。現場がない時に、通年でお越しになれるよう、また継続したトレーニングを前提で進めておりますし、同じ台本、同じ切り口のみを繰り返すようなクラスはございません。

さらに、ご自身の課題を中心にした個人レッスンと併用することで、より現場感のある、プロとしての効果につながる、相乗効果があります。

現場でモヤモヤしていた方、なかなか健全に、論理的にトレーニングを続けられなかった方が、やっと話の通じる人に会えたとおっしゃることも。

私自身、イギリスやアメリカで、またオーストラリアでも何人かの先生について指導法を学んでおりますが、やはり言葉で説明することの重要性を、ひしひしと感じております。

個人レッスンがより向いている方

個人レッスンでは、今取り組んでいる台本や役に合わせて、より具体的に整理していきます。

出演予定の台本を扱いたい方。現場のトラブルシューティング。
オーディションや現場に向けて準備したい方。
自分の読み方の癖を見てほしい方。エクササイズを含めて、もっと鍛えたい方。
身体、声、相手とのやり取りまで含めて深めたい方。

そういう方には、年間を通じてサポートする、並走型の個人レッスンが向いています。

台本読解だけで終わらせず、実際に相手に向かう演技へつなげていきます。

グループクラスと併用して参加される方も多いです。スケジュールの問題さえクリアできれば、一番スピードアップできる有効な方法だと感じます。

 

台本を読んでいるのに、演技が深まらない方へ

台本を読んでいるのに、演技が深まらない。

それは、いわゆる才能がないからとは限りません。

これまでの読む順番がずれているのかもしれません。
もしかすると、見ている単位が小さすぎるのかもしれません。
気づかないうちに、セリフを結果ではなく原因として扱っているのかもしれません。
つい、方法が目的になっているのかもしれません。

台本読解は、演技の入口です。

ここが変わると、セリフの扱いも、感情の準備も、相手への向かい方も変わっていきます。

読んで終わりにせず、実際の台本で整理してみたい方は、グループクラスまたは個人レッスンをご活用ください。

知らないからできないのではなく、できないからわからないと言うことが多いです。

方法を知るだけで満足せず、できるようになることで深く理解していく、そのプロセスが理想的だと専門家である私は日々実感しております。

 

5月30日、31日の台本の読解と演技の実践クラスはこちらです。

5月30日(土)・31日(日)開催|台本読解と演技実践をつなげる少人数クラス

この記事を書いた講師:プロフィール 鍬田かおる

指導歴20年以上。俳優や歌手の個人レッスンのほか、桐朋学園芸術短期大学演劇科、新国立劇場演劇研修所・オペラ研修所、劇団青年座研究所などで長年指導経験を経て、芸能事務所、映画スクールでも指導する。
ロンドン大学ゴールドスミス校卒。Royal Central School of Speech and Drama 修士課程ムーヴメント科にて、教育学や俳優育成、教授法を修め卒業。
イギリスSTAT認定アレクサンダー・テクニーク教師。日本演出者協会会員。

俳優や歌手の技術と身体の理解を統合し、現場で使える“交流のある演技”へ導く専門家。

大学講師を務める傍ら、個人レッスンで一人ひとりの強みを伸ばし、基礎力からアップさせる本格的なプロのトレーニングを中心に活動しています。

小学生から中堅、そして芸能の舞台や映像で活躍する俳優や歌手の方のアクティングコーチであるだけでなく、プロを目指す若手の育成も務める。

IDC認定インティマシー・コーディネータ(ディレクター)としてテレビや映画、舞台公演の現場やリハーサルにも入ります。

 

これまで触れてきた演技のなんとかメソッドや、〇〇式に疑問を抱かれた方へ

あなたの違和感は、もしかすると「役」にとってのリアリティーではなかったからかもしれません。

また文化的にも、ヨーロッパで過ごした20代がある私、そしてバイリンガルである私が言うのもなんですが、日本を中心に活躍してらっしゃる方、日本語を母国語として多くの時間を過ごしてる方に向き不向きという傾向はある気がいたします。

また実際、目的の異なるイベントというものもございます。

不可思議な単発ワークショップや特定のメソッドだけの誇大広告に疑問を持たれた方、なんちゃらメソッドばかりのプロモーションに違和感を持たれた方、ご自分のせいだと責めないでくださいね。

私の卒業したようなイギリスの演劇学校では、ほぼすべてのメソッドを1年次に全体的に網羅しておりますし、私の師匠のアメリカの演技スタジオでも、基礎(初歩ではない)の知見は皆共有した上で、それぞれの作品、個別に必要なアプローチを応用させ、適宜、指導していく形です。特定のメソッドに依存することなく、実際の現場で役立つ、具体的な内容を段階的に用いていくシステムです。

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