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現在地がわかっただけで、前に進んだ気になっていませんか

地図を見ながら現在地を確認しているイメージ。課題に気づいたことと、実際に前に進むことは別だと伝える演技指導ブログのアイキャッチ画像

「まさに自分のことだ」と思った。

ブログを読んで、そう感じた。

クラスに来て、「知りたかったのはこれだ」と思った。

熱心な方がそのようにおっしゃってくださり、私も大変嬉しいです。

そこまでは、とても大事です。

自分のズレに気づけないままでは、何も変えようがないからです。

ただ、問題はそのあとです。

一部の方の一点だけ気になるのが…

現在地が見えたことと、実際に前に進んだことは同じではありません。

気づきは入口です。

続きをやらなければ、古い環境と古い身体が、また元の自分に引き戻します。

活動していることと、進んでいることは別です。

ここが混ざると、真面目にやっているのに変わらない、という状態が長く続きやすくなります。

問題の核心に迫った時、長年のモヤモヤが他人の言葉によって整理された時

なんだかすっきりするので、進んだ気がしてしまうんですよね。

私のダンスの伸び悩みや、相変わらず牛歩の歩みのスペイン語もそのような気がします。

さて

「まさに自分のことだ」と思えたのに、変わっていないことがある

読んでいて刺さる。

話を聞いて腑に落ちる。

「今まで何がずれていたのか、少し見えた」と思う。

これは悪いことではありません。

むしろ必要なことです。誰しもここを通ります。

ただ、そこで安心して終わると、実際の、演技はあまり変わりません。

課題が見えたことと、課題がほどけて、作品に還元していけるレベルになることは別だからです。

言葉で理解したことと、実際のやり取りの中で反応できることも別ですよね。

ここを同じものとして扱うと、多くの俳優は、一度ピンと来たことで前に進んだ気になってしまいます。

自分の気持ちはスッキリしている。

でも実際には、まだ入口に立っただけ、ということが少なくありません。

実際はその後が勝負です。

現在地確認は、ゴールではなく入口です

道に迷っているとき、自分が今どこにいるのかわかるだけでも少し落ち着きます。

それと同じで、演技でも、何がずれていたのかが見えると、少しほっとします。

自分は何に引っかかっていたのか。

なぜうまくいかなかったのか。

どこで止まっていたのか。

それが見えるだけでも、大きな一歩です。

でも、地図で現在地を確認しただけでは目的地には着きません。

どちらへ進むかを決めて、実際に歩かなければいけない。

演技も同じです。

読み方の癖が見えた。

感情に頼りすぎていたとわかった。

身体を固める癖があると見えてきた。

相手を見ているつもりで、自分の段取りを守ることに必死だったと気づいた。

そこまではとても大事です。

素晴らしい気づきだと思います。

けれど、そのあとに読解を続けない。

身体の使い方を見直さない。トレーニングを諦めてしまう。

反応までつなげる練習をしない。古い習慣に戻ってしまう。

そうなると、気づきは知識のままで終わります。

ここが1番もったいない。

演技が変わるのは、自分がスッキリした時や、伸び悩みの原因を理解した瞬間ではありません。

理解したことを、読解と身体と反応の中で繰り返し扱ったあとです。

他人に伝わるようになった時、本当に解決し、前に進んでいくことができます。

 

長く自己流でやってきた俳優ほど、ここで止まりやすい

これは少し厳しく聞こえるかもしれませんが、実際によく起きます。

長く自己流でやってきた人ほど、少し学んだだけで前に進んだように感じやすいのです。

なぜかというと、それまでずっと手探りでやってきた分、言葉が入るだけでもかなり整理された感覚になるからです。

自分の課題が少しわかった。

何が足りなかったか少し見えた。

今まで知らなかった視点を知れた。

それだけで、頭の中ではかなり変化した感覚になります。

嬉しいですよね。

私自身、教えていても、因果関係が整理されただけですっきりしてしまうこともあります。

でも、頭の中で整理されたことと、演技の土台が更新されたことは別です。

長く活動してきたこと自体は、本来であれば、素晴らしいことのはずです。

問題なのは、その長さの中で、読み方、身体の使い方、反応の仕方が本当に更新されているかどうかです。

複数の公演に出てきた。

長い時間かけて、稽古を重ねてきた。

いろいろな現場にもいた。

だから進んでいるはずだと思いたくなる。

でも、同じ読み方、同じ止まり方、同じ固め方を繰り返していれば、活動量があっても中身はあまり変わっていないことがあります。

私、大昔に演出家の先生に言われたことがあるんです。

「ふと気づいたら、同じようにテレビの前に座って、見てるだけで10年経ってることあるよ」って。

毒舌でしょうか。

でも、これはほんとだと思います。

元の環境に戻ると、元の自分に戻りやすい

ここはとても大きいです。

せっかく外で学んでも、元の環境に戻ると、古い習慣のほうが勝ちやすいのです。

気心の知れた、小さい規模で、融通の利く劇団。

緊張しなくても過ごせる、身内っぽい現場。

慣れ親しんでいるお稽古場。

いつもの役割。いつもの人間関係。いわゆるルーティーン…。

こうした環境には安心感があります。

安心だからこそチャレンジできる便もあるでしょう。

ただ同時に、今までの自分に戻りやすい条件もそろっています。

読むときの癖。

初歩時代の言い訳。

つい固める癖。

褒められたからといって、密かに大事にしている、感じる前に作る癖。小手先。

実は気になってはいるけれど、相手を受ける前に、自分の準備を守ろうとする癖。こだわり。

慣れた環境に戻るほど、それらは無意識に出やすくなります。

筋トレと似ていて、あまりにも負荷がなければ、能力を発揮しないで済んで済んでしまう。

せっかくその力、可能性があるのに、です。

だからこそ、一度気づいたくらいでは足りません。

元の環境に戻っても崩れにくいところまで、読解と身体と反応をつなげていく必要があります。

そうでなければ、少し学んで、少しわかって、でも古巣に戻るとまた元に戻る、ということが起きやすいのです。

活動していることと、進んでいることは別です

これは、今の時期にとても見落とされやすいところです。

公演に出る。

稽古をする。

現場に行く。

ワークインプログレスのようなことをする。

何かしら活動はしている。

けれど、活動していることと、前に進んでいることは同じではありません。

現場らしいことをしているだけで、前に進んだ気になりやすい。

でも実際には、次の活躍につながる準備が進んでいるとは限らないのです。

忙しいと、人は進んでいる気になりやすいです。

何かしているからです。

でも、同じ読み方を繰り返しているだけかもしれない。

同じ身体の止め方を繰り返しているだけかもしれない。

同じように作って、同じように浅く見えているだけかもしれない。

活動しているのに伸びている感じがしない方は、努力不足というより、この区別が曖昧になっていることが多いです。

頭でわかっていても、身体が変わっていなければ演技は変わりにくい

ここが抜けると、気づきがそのまま止まりやすくなります。

頭ではわかっている。

説明もできる。

自分の課題も言える。

でも、実際のシーンでは元に戻る。

これは珍しいことではありません。

演技は、理解した内容を口で言えれば終わりではないからです。

相手がいて、状況が動いて、時間が流れていく中で、反応できる必要があります。

そのとき、身体の準備が追いついていないと、頭でわかっていても変わりにくい。

たとえば、固める癖が強い人は、感じるより先に止めやすいです。

反応するより先に作る。

相手を受けるより先に整える。

動くより先に演じる。

すると、理解しているつもりでも、実際のやり取りでは古いパターンが勝ちます。

感じているつもりでも、反応できる身体になっていなければ、演技は変わりにくいのです。

だから必要なのは、台本の読解や感情解放、だけではありません。

読解したことを身体の使い方につなげること。

自分の一部として、取り入れて、より「まるごと」になっていく感じ。

身体の使い方を反応の速さにつなげること。

それは所作や移動といった運動だけでも、感情だけでも、声だけでもないんです。

反応の速さを、実際のやり取りの中で育てていくこと。

ここまでつながって初めて、演技は少しずつ変わり始めます。

 

変わる人は、気づいたあとに続きをやっています

変わる人は、最初から特別な人ではありません。

一度の気づきで終わらない人です。

課題が見えたあとに、もう一度読む。

言葉で理解したことを、身体に通し直す。

身体で少し変わったことを、シーンの中で試す。

うまくいかなければ、また読む。

また見直す。

また試す。

この続きをやる人が、少しずつ前に進みます。

逆に、一度の納得や一回の体験で終わると、元の環境と元の身体に引っ張られやすい。

気づきは大事です。

でも、気づきだけで変われるほど、習慣は軽くありません。

古い身体の使い方も、古い読み方も、思っている以上に強いです。

だからこそ、続きをやる必要があります。

最初はちょっと「どっこいしょ」と感じても、徐々に慣れていきますよ。

あの、自転車やスポーツみたいに、一旦動き始めてしまえば、慣性の法則によってそれほど

「気合い」や「勢い」をつけなくてもできるようになるのと同じです。

 

現在地確認で終わらせたくない方へ

いま必要なのは、もっと気づくことだけではありません。

見えた課題を、その先へ進めることです。

読解を深めること。

身体の使い方を見直すこと。

反応までつなげること。

4月は、その先を進めたい方向けに、以下のクラスを行います。

●4月24日金曜 19:00〜22:30
国語ではない「演じるための」台本読解クラスーオンライン開催

●4月25日土曜・26日日曜 13:00〜17:00
「自分ごとで、見て・聞いて・しゃべる」伝わるためのスタジオ実践クラス

「まさに自分のことだ」で終わらせたくない方へ。

現在地確認だけで終わらせず、実際に前に進めたい方へ。

読解だけで止まらず、身体と反応までつなげたい方へ。

詳細はこちらです。

4月開催|オンライン台本読解+スタジオ演技実践クラス。読んだだけで終わらせない3日間

この記事を書いた、講師プロフィール 鍬田かおる

指導歴20年以上。桐朋学園芸術短期大学演劇科、新国立劇場演劇研修所・オペラ研修所、劇団青年座研究所などで長年指導。
ロンドン大学ゴールドスミス校卒。Royal Central School of Speech and Drama 修士課程ムーヴメント科修了。
イギリスSTAT認定アレクサンダー・テクニーク教師。日本演出者協会会員。

俳優や歌手の技術と身体の理解を統合し、現場で使える“交流のある演技”へ導く専門家。大学や映画スクールの講師を務める傍ら、個人レッスンで一人ひとりの強みを伸ばし、基礎力からアップさせる本格的なプロのトレーニングを中心に活動しています。

小学生から中堅、そして芸能の舞台や映像で活躍する俳優や歌手の方のアクティングコーチであるだけでなく、プロを目指す若手の育成も務める。

IDC認定インティマシー・コーディネータ(ディレクター)として映画や舞台の現場も入ります。 

 

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