映画監督や舞台の演出家の方々から、いろいろなお話をお聞きする機会も多く、
お天気と同じく、暑く/熱くなっている演技コーチ くわたかおるです。
みなさん、ご自身の作品をより良くしたい、もっと俳優や歌手とコミュニケーションをスムーズにしたい、どうしたら現場が健やかで、愉快になるか…前向きなお気持ちに、私も共感することばかりです。
さて、本日の切り口は、ジャンルを問わず引っかかる
「『伝えたい』のに、なぜか届かない」
感情をちゃんと込めているはずなのに、
セリフは覚えているし、相手役の言葉もちゃんと受け取っているはずなのに——
なぜか「伝わらない」「届かない」と言われる。
そんな違和感やもどかしさに、心当たりはありませんか?
・感情をもっと感じよう。
・ちゃんと向き合おう。
そう思って、真剣に稽古している人ほど、この「伝わらなさ」にぶつかることがあります。
「感じようとしている」せいで届かない。
実はその昔、先生方の熱意にもかかわらず…「感じようとして」身体もイメージも固めていた昔の私。
役の気持ちや葛藤、状況での目標を増やしたとしても結局、
他人が意味を想起したり共感するほど【もれ出て】はいなかった。
一生懸命に考えて、理解して、想像して、感じようとしている。
でも、それがなぜか“外に出てこない”。
そんなとき、私たちは気づかないうちに、ある悪循環に入っているかもしれません。
逆効果のループにハマっていないか
・固めてるから感じにくいのに、もっと感じようと力を込めてしまう
・力を込めてしまうから想像が遅くなって、つい考え込んでしまう❗️
演技において「感じること」はとても大切ですが、
「感じようとする努力」が、かえって自分の身体や想像の流れをせき止めてしまうこともあるのです。
さらに身体を固めてしまう流れ
よけい身体もこわばるが、力技で乗り切るクセをつけてしのぐ。
でももうまくやりたいから、さらに直接的に狙ってしまう…すると!
本当は自然に流れていくはずだった反応や感情が、
「演じなきゃ」という焦りに変わっていく。
そして、結果として——
届かなくなる感情
言葉には力がこもってしまうくせに
感情は目的に向かってくれない…
セリフはとりあえず強くなる。言葉は勢いがついて、いちおう明瞭になる。
でも、そこに“通っているはずの感情”が、観ている側に届かない。
これは、自分の中だけで完結してしまう演技の、典型的な兆候のひとつです。
(監督や演出家が指摘したいけれど、伝え方に悩む部分でもあります)
思い当たる方もいるかもしれません
この悪循環、ある程度経験がある方はご存知ではないでしょうか。
昔の固かった私でもうまくいく時もあり、そんな時、先生は
「それだ、かおちゃん」と指摘してくださるが、
なにせ
うまくやりたい気持ちと固めるパターンで
身体がいうことをきかない。
実は、これはかつての私自身の話でもあります。
私自身、まさにこのループに、長い間ハマっていました。
感じようとすればするほど、苦しくなる。
がんばっているのに、「なんか違う」と言われる。
それがとても悲しく、時には自信を失うこともありました。
この悪循環を抜け出すきっかけになったのは、
「感じようとする」よりも、特別に念じなくても「感じられる身体」を取り戻すこと。
そして、自分の内側に興味を持ち続けないで、実際にいろいろなことが起きている他者へ、外側へ注意を向け直すことでした。
演技の複雑さと真剣さに、敬意をもって関わりたい
プロとして仕事をしていく時、演技は簡単ではありません。
もちろん「簡単そうにみせてくれるプロ」の方々がたくさんいます。
これはスポーツやダンス、楽器演奏なども同じですね、簡単だから始めたわけじゃなかったです。
想像と感情と身体と、相手との関係性とを、すべて同時に扱うこの営みは、
少しずつ向き合いながらでしか深まっていかないものです。
だからこそ、
「いま、なぜ届かないのか」
「なにが、途中で止まっているのか」
それを身体の感覚から、ひとつずつ探っていくことが必要になります。
プロとして、じっくり向き合いたい方へ
身体の使い方や、注意の向け方から、グッと演技を立て直していきたいと感じている方へ。
変化には時間もかかりますし、すぐに手応えが得られない日もあるかもしれません。
でも、なにかが“間違っている”のではなく、
これまで築いてきたものを「次の段階」に進めるタイミングかもしれません。
もし今、その一歩を考えている方がいらしたら、グループクラスでも、個人レッスンでも、必要に応じてサポートできます。焦らず、確かな言葉と身体を取り戻して、イキイキ活動していきましょう。
ご案内
Instagramでは、簡潔なQ&Aや短いリールを更新しています。お役に立てるとうれしいです。
取り上げて欲しいモヤモヤ、前から気になっていた点も歓迎しております。
今回の内容に「もっと知りたい」「いつか参加したい」と感じてくださった方へ。
ブログにも詳細を書きますが、少人数制で予約が埋まりやすいため、速報は公式LINE及びストーリーズの方から、現在は出しています。
Instagram → https://www.instagram.com/actingcoachkaorukuwata/
これまで触れてきた演技のなんとかメソッドや、〇〇式に疑問を抱かれた方へ
あなたの違和感は、もしかすると「役」にとってのリアリティーではなかったからかもしれません。
また文化的にも、ヨーロッパで過ごした20代がある私、そしてバイリンガルである私が言うのもなんですが、日本を中心に活躍してらっしゃる方、日本語を母国語として多くの時間を過ごしてる方に向き不向きという傾向はある気がいたします。
物語、演技と言うものが、文化に根ざしている以上、やはり言語の壁もあり、また生活様式や基本的なコミュニケーションのスタイルが大きな誤解をむこともございます。これはクラシックバレエやオペラの輸入、様々な業種での変遷を見ても、お分かりいただける課題だと思います。
不可思議なワークショップやらの誇大広告に疑問を持たれた方、なんちゃらメソッドに違和感を持たれた方、ご自分のせいだと責めないでくださいね。
●こちらの記事もお役に立てれば嬉しいです
『動けない』『伝わらない』演技を、身体から変える方法 ─演技力を上げる前に、身体の止め方を見直すべき理由
「今回は どうしてもスケジュールが難しいけど、次回のクラスを知りたい」という方は、
公式LINEに登録 or Instagramもフォローしておいてください!
📩 次回の優先案内を受け取る →https://lin.ee/2HZK7jV
「現場での課題について相談したい」「オーディション対策の個人レッスンを申し込みたい」「身体や呼吸のことから見直したい」という方も、上のフォームよりお気軽にご連絡ください。
事務所・マネージャーの方で、「所属俳優にレッスンを受けさせたい」「講師として招聘を検討したい」といったご相談も歓迎しています。オンラインでのヒアリングも可能です。
お急ぎの方には公式LINEもございます。こちらからのトークのスタートはできませんので、一言ご挨拶かスタンプお願いします。
公式LINEからのお知らせの一斉送信は月に1回程度、 多くて2回程度です、ご安心ください。
個人レッスン
初めての個人レッスンを受けられる方も受付中ですが、7月の新規受付はごく限られた枠のみ。
ご興味がある方は、カレンダーをご確認の上、ご相談ください。
最後に最近、芸能関係、映画関連の方からよく聞かれるトピックー
ご参考になれば幸いです。
演技の違いを生む②「セリフの奥にある意図」を見抜く方法

演技コーチ/ムーヴメント指導・演出・振付/IDC認定インティマシーディレクター/STAT認定アレクサンダー・テクニーク指導者/スピーチ&プレゼンテーションコーチングActing Coach/Movement Direction/IDC qualified Intimacy Director/STAT certified Alexander Technique teacher, mSTAT, Movement Teaching/Speech and Presentation Coaching