「混乱しています」という発言
俳優さんやその卵たちにアレクサンダー・テクニークをはじめとした演技の基礎や応用を教えていると、1~2年に数回出てくるのが「えっ?!え~っと、う~ん、混乱しています」という発言です。
男女や年齢に関わらず、その次に必ず出てくるのが「混乱しているので…」という言葉。
ところがそのあとに、混乱を解くために行動を変えたり、方法を工夫してみることはなく、いわゆる「停止状態」に入ってしまうことがあります。
とてももったいないことです。
停止状態の実態
レッスンであれば、先生に相談したり仲間に聞いたりすることなく、一方的にメールや掲示板などで「休止」を宣言してしまうことがあります。
また稽古でシーンをやっている時も、「分からないです」「混乱しています」と言いながら立ち止まり、次の行動に移れなくなることがあります。
その結果、周囲の流れが止まってしまい、本人もなかなか進めないという状況になります。
混乱は「仮」の状態
ここで大切なのは「混乱しても構わない」ということです。
変化が怖くてもいい。今までと違って不安でもいい。多少イライラしてしまっても仕方ありません。
大切なのは、とにかくやってみること、進んでみることです。周りもそれを望んでいます。
混乱は「仮」の状態にすぎません。今までと違う回路で思考するから疲れてしまう。慣れないために思い通りにできずイライラする。今までのやり方を否定されたように感じて戸惑う。
しかし、後から振り返れば実は大したことではない場合がほとんどです。その時は「混乱(仮)」という防衛反応が働いていて、冷静な判断がしにくいだけなのです。これは私自身も経験があります。
「混乱している」と思っていたけれど、実際には「面倒に感じていた」「これまでのやり方に限界を感じた」という部分が混ざっていたこともありました。
混乱を抜け出すために
「混乱しているかな?」と感じたら、そのままにして立ち止まらず、行動に移しましょう。解決方法を他人や専門家と一緒に探すことが役立ちます。
実際の問題の解決は、行動を通してのみ可能です。行動こそが混乱の正体を明らかにし、前進させてくれます。
例えば、
・何が分からないのかを言語化するとスッキリすることがあります
・「自分だけかも」と思う不安は、仲間やサポートしてくれる人と話すことで解消できます
・「何をしたらいいのか分からない」と焦る時は、課題を小さなステップに分けて一つずつ解決しましょう
・価値観や感覚が揺らぐように感じるなら、「今の課題」「中期的な課題」「長期的な目標」を書き出してみましょう
その混乱は目的につながっていますか? それとも過去の習慣や古い信条への執着でしょうか。
できることはたくさんあります。一つ一つ見ていくことで、必ず突破口が見えてきます。
それでも何も変えないのであれば、それは「混乱」ではなく「変化への抵抗」と言えるかもしれません。

演技コーチ/ムーヴメント指導・演出・振付/IDC認定インティマシーディレクター/STAT認定アレクサンダー・テクニーク指導者/スピーチ&プレゼンテーションコーチングActing Coach/Movement Direction/IDC qualified Intimacy Director/STAT certified Alexander Technique teacher, mSTAT, Movement Teaching/Speech and Presentation Coaching
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