自分なりに、かなりやってきた。
台本を読む。
人物について考える。
本を読む。
演技クラスやワークショップへ行く。
現場では、監督や演出家の言葉を一生懸命聞く。
声優、ナレーター、レポーターなど、声や言葉を使う仕事を重ねてきた方もいるでしょう。
一つひとつは、ちゃんと取り組んでいる。
でも、その努力が演技の中でどう見えているのか。
どう聞こえているのか。
相手や観客に何として伝わっているのか。
そこまで精査する機会は、意外と少ないものです。
台本読解は台本読解。
身体は身体。
声は声。
感情は感情。
現場経験は現場経験。
それぞれ頑張っていても、点のまま散らばっていると、演技の中で一つの働きになりません。
点が線になり、線が増えて面になっていく。
そこで初めて、これまで考えてきたこと、練習してきたこと、身体や声で培ってきたことが、作品の中でつながり始めます。
頑張る方向がずれたまま努力量や年数が増えると、そのズレも大きくなります。
本人には、気持ちも努力もある。
でも、それが見える形、聞こえる形、伝わる形になっていない。
「かなりやっているのに、なぜ次につながらないんだろう」
そんな違和感があるなら、今までの努力を捨てる必要はありません。
今持っているものを、演じるためにつなげていく余地があります。
「分かった」と「演じられる」の間で、止まっていませんか
自分なりに台本を読んだはずなのに、現場へ行ってから「思っていたより浅かったな」と感じる。
オーディションなど、準備時間が十分に取れないと、とりあえずセリフを入れて、状況を想像するところで終わってしまう。
急に演出をつけられたり、プランを変更されたりすると、あたふたする。
自分では感じていたつもりなのに、
「伝わっていない」
「何をしたいのか分からない」
「よく分からない」
と言われる。
いろいろな演技クラスやワークショップ、監督のイベントにも参加してきたけれど、みんな言うことが違う。
その場では納得するのに、次の台本を一人で渡されたら、また何から始めればいいのか分からない。
年齢や経験は重ねてきた。
勉強したことも増えた。
それでも、俳優・声優としてできることが増えている実感があまりない。
2026年9月のクラスは、こうした「分かっているつもりなのに、演技になるとつながらない」ところを、それぞれ違う入口から扱います。
「読んだ」と「演じるために読めた」は別です
ほとんどの方は、台本そのものには目を通しています。
言葉の意味も分かる。
ストーリーも追える。
人物が置かれている状況も説明できる。
でも、それだけで演じるための材料が十分に見えているとは限りません。
台本に書いてあるものから、書かれていないものを読む。
この場面は、何についての場面なのか。
なぜ、この人物はこの言葉を使うのか。
この二人の間には、なんの事情があるのか。
書かれていることを手がかりに、直接書かれていないことまで想像していく。
そこから、演技に使える材料が増えていきます。
読むための切り口をあまり持たないまま、一生懸命台本に向かっている方もいます。
いわば、毎回ほぼ丸腰です。
いくら好きなことでも、それでは疲れます。
読むことにも、練習があります。
一人で台本を渡されたときにも、自分で考え、仮説を持ち、次に何を試すかを判断できるようになる。
その力は、ジャンルを超えて、また次の作品にも持っていけます。
「もっと気持ちを想像しよう」で、何年もぐるぐるしていませんか
セリフを読んだら、その言葉から直接「気持ち」を探す。
「悲しい」
「怒っている」
「嬉しい」
「もっと感情を込めよう」
そんな準備が当たり前になっている環境もあります。
でも、自分の芝居のどこが白々しく見えるのか。
なぜ、役が変わっても似たような演技になるのか。
なぜ、自分では盛り上がっていたはずなのに、外から見た反応は思ったほど芳しくないのか。
そこが分からないまま、さらに気持ちを想像する。
ここで何年もぐるぐるしてしまうのは、もったいない。
人間には、もともと気持ちがあります。
相手や状況から刺激を受ければ、感情も動きます。
演じるときには、限られた時間の中で、特定の文脈とその人物固有の事情を受け取り、相手に対して行動します。
だから私は、
感じるために考える。
ということを大切にしています。
そして、
演じるために読む。
考えたことを頭の中だけで完成させず、実際に相手との間で使っていきます。
演技は、見えるもの・聞こえるものから伝わります
自分の中で、たくさん考えている。
しっかり感じている。
役について何時間も準備した。
その努力は大切です。
そして俳優・声優としてさらに精査したいのは、
その準備によって、実際に何が見えるようになったのか。
何が聞こえるようになったのか。
相手との間に何が起きるようになったのか。
ということです。
俳優は、身体、声、言葉、動き、間、相手とのやり取りなど、観客が見たり聞いたりできるものを使います。
そこから、人物の過去、関係、欲望、葛藤、言葉にならないものまで想像させていく。
見えるもの・聞こえるものを使って、観客に見えないもの・聞こえないものまで想像させる。
そのために、台本、身体、声、相手とのやり取りをつなげていきます。
できることを増やし、次の仕事へ持っていく
トレーニングでは、できることを増やします。
苦手を減らし、選べることを増やすから、スッキリされる方も多いです。
一つの台本で使えたことを、次の台本でも使えるようにする。
違う相手と演じたときにも、自分で選び直せるようにする。
時間の限られたオーディションでも、準備の優先順位をつけられるようにする。
だから、楽しむ余裕も生まれてきます。
急に演出や条件が変わっても、使える選択肢を持っている。
クラスの中で「できた」で終わらず、次の台本、次のオーディション、次の稽古、次の撮影、次の仕事へ持っていけるものを増やしていく。
トレーニングは、その積み重ねです。
だからこそ、自信につながるんですね。
チャンスが来てから慌てないための準備については、こちらの記事でも書いています。
2026年9月は、必要なところから選べる3つのクラス
9月20日(日)18:30〜22:00
オンライン「演じるための台本読解」
台本を読む場所、考えるための切り口、自分で判断するための材料を増やしていきます。
オンラインで、効率的に、演じるための準備を一緒に進めます。
声優やナレーター、歌手、演出家や監督の方のご参加も歓迎しています。
9月21日(月・祝)13:00〜15:45
少人数制・演技実践
読んで考えたことを、相手とのやり取りの中で実際に試します。
大人数のクラスで、自分の番がちょっとしか回ってこなかった事はありませんか。
こっちのでは少人数で繰り返し試せるので、自分のやっていることへの理解が深まるだけでなく、どうやって解決していくのか、その糸口が見つかっていきます。
シーンを面白くするための読解から体験につなげる時間でもあります。
9月27日(日)13:00〜15:30
身体と声のセミプライベート
なんとなく呼吸が浅いのが気になっている。
姿勢について、注意されたことが実はある…。
もっと声がいろんなふうに伝えたら…
そんな俳優や歌手の方のために、身体・呼吸・声・動きから、表現に使える選択肢を増やします。
9月20日の台本読解と21日の演技実践は、続けて参加することで最も相乗効果が高くなります。
9月27日は、身体と声から取り組む別の入口です。
感覚を磨きたい方、発声や発音の改善、自分の構えや緊張パターンを解決していきたい方にもお勧めです。
参加費
9月は、内容と参加方法に応じて以下の参加費です。
9/20(日)オンライン|演じるための台本読解
10,000円
9/20(日)+9/21(月・祝)2日間参加
22,000円
9/21の少人数制・演技実践は、前日のオンライン|演じるための台本読解で扱った内容をもとに進めるため、9/21のみの参加はできません。
実際の相手とのやり取りまで含めて深めたい方は、2日間での参加をおすすめします。
9/27(日)身体と声のセミプライベート
10,000円
具体的な役・撮影・公演・オーディションなど、現在取り組んでいる個別の課題がある方は、個人レッスンも受け付けています。
9月20日|一人でも台本を読める判断材料を増やす
オンライン「演じるための台本読解」では、台本を演じるために読むことを扱います。
書かれていることを見る。
自分が想像していることと区別する。
場面の変化や、人物同士の関係、そこで起きていることを具体的にしていく。
一つの読み方に早く決めすぎず、作品に戻りながら考える。
一人で新しい台本を渡されたときにも、自分で考え、判断できる材料を増やしていくクラスです。
これまでに参加された方も、同じ台本、同じシーン、同じ切り口、同じアプローチを繰り返すクラスではありません。
新しい題材や異なる角度から取り組み、すでに持っているものを別の条件でも使えるようにしていきます。
初めて参加される方もご参加いただけます。
9月21日|「分かった」を、相手との演技で試す
台本を読んで状況が分かった。
次は、それを相手との間で使います。
相手の声が変わるから、距離が変わる体験が必要です。
目線の「効果的な」使い方と、相手との交流へ。
相手から受け取るものが変われば、自分の選択も変わります。
スタジオでは、読んで考えたことを実際に演じ、起きたことを確認し、必要なところを更新してもう一度試します。
だから、自分で感じて動けるプロセスがスムーズになっていきます。
理解を、実際に使えるものへつなげていく時間です。
9月20日の台本読解と続けて参加すると、読むことと演じることを行き来しながら取り組めるため、最もおすすめです。
両方やりたいから、スケジュールを調節して東京に出てくる方もいらっしゃいます。
9月27日|身体と声で、選べることを増やす
頭では分かっているのに、立つと身体が固まる。
気づくと、息を潜めていた。
つい声を押し出してしまう。
動きや反応がいつも似てしまっているかも。
歌やセリフになると余計な力が入る。
こういった、感じていることが、外から見える変化や聞こえる変化につながりにくいと、せっかくの努力が半減していきます。
9月27日は、身体・呼吸・声を表現に使えるものとして扱います。
必要に応じて、アレクサンダー・テクニークなど、私が長年扱ってきた身体と動きの視点も使います。
感覚の物差しを増やし、身体と声で選べることを増やす。
その選択肢を、演技や歌、次の仕事へつなげていきます。
また身体・声・ラバン/エフォートと「感覚の物差し」については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
俳優・歌手のためのラバン/エフォート|演技と歌に使える「感覚の物差し」を育てる
もっと活躍するために、できることを増やしたい方へ
今回のクラスは、こんな方を対象にしています。
- 俳優・声優として、今より番手を上げていきたい方
- これまで自分なりに取り組んできたものの、思うような結果につながっていない自覚がある方
- もっと活躍するために、限られた準備時間でも使えるスキルを増やしたい方
- 急な演出変更や新しい条件にも、今より柔軟に対応できるようになりたい方
- 声優、ナレーター、レポーターなど、声や話す仕事をしてきて、演技そのものをさらに学びたい方
- 自分では頑張っているのに、演技として何が伝わっているのか分からなくなっている方
- 年齢や経験を重ねながら、できることも増やしていきたい方
- まだ経験は多くないけれど、自己流の癖を固める前に、演じるための基礎をきちんと学んでおきたい方
今よりできることを増やし、次の仕事へ進みたい方のためのトレーニングです。
9月の演技クラス、どれを選べばいい?
台本を読むところから整理したい
→ 9月20日(日)オンライン「演じるための台本読解」
読んだことを、実際に相手と演じながら試したい
→ 9月20日(日)+9月21日(月・祝)
この組み合わせが最も相乗効果があります。
身体・呼吸・声から、使える選択肢を増やしたい
→ 9月27日(日)身体と声のセミプライベート
オーディション、撮影、本番、稽古など、現在の具体的な課題を個別に扱いたい
→ 個人レッスン
よくあるご質問
Q.9月20日と21日は、両方参加したほうがいいですか?
台本読解で考えたことを、翌日のスタジオで相手と実際に試せるため、両日続けて参加することで最も相乗効果が高くなります。
「分かった」ことが、相手や条件が変わったときにも使えるのかを確かめながら、できること、選べることを増やしていきます。
海外在住などで、東京のスタジオにお越しになれない方のオンライン部分のみの参加も歓迎しております。
Q.以前クラスに参加しました。同じ内容の繰り返しになりますか?
同じ台本、同じシーン、同じ切り口、同じアプローチを繰り返すクラスではありません。
新しい題材や異なる条件の中で、これまで身につけたことを使い、さらにできることを増やしていきます。
Q.セリフをいれてから参加したほうがいいですか?
セリフを入れてくる必要はありません。ご安心ください。
セリフを覚えることも仕事の一部です。クラスでは、内容や場面、相手との関係を演じるために具体的にしていきます。
内容が具体的になり、場面の流れや相手との関係が見えてくると、結果としてセリフも入りやすくなります。
オンラインで一緒に読解しますので、翌日も台本を持ったまま取り組む仕組みで問題ありません。
Q.オンラインクラスは、ウェビナーのように講義を聞く形式ですか?
オンラインの「演じるための台本読解」は、双方向の対話があり、リアルタイムで実際にいくつかの課題に取り組んでいただくクラスです。
台本を読み、考え、言葉にし、他の参加者の視点にも触れながら進めます。
録画・後日配信等はありません。リアルタイムでご参加ください。
Q.クラスの日程が合わない場合はどうすればいいですか?
現在取り組んでいる役、オーディション、撮影、舞台稽古など、個別の課題がある方には個人レッスンがあります。
現在の仕事や課題に合わせて取り組みます。
2026年9月 演技クラス日程
- 9月20日(日)18:30〜22:00
オンライン「演じるための台本読解」 - 9月21日(月・祝)13:00〜15:45
少人数制・演技実践 - 9月27日(日)13:00〜16:30
身体と声のセミプライベート
できることを増やす。苦手を減らす。選べることを増やす。
そして、それを次の台本、次のオーディション、次の現場、次の仕事へ持っていく。
9月は、今の自分に必要な入口から始めて、どんどん進んでいってください。
2026年9月クラスのお申し込み
参加をご希望の方は、下記フォームよりお申し込みください。
日程が合わない方・個別に取り組みたい方へ
個人レッスンでは、決まったメソッドを一律に進めるのではなく、ご本人の現在地、仕事、目的に合わせて、必要な課題を見ています。
演技、歌唱、身体や声の使い方、台本、オーディションや本番に向けた準備など、具体的な課題を持ち込んでいただくこともできます。
新しい知識を増やすだけではなく、自分の中に実際に使える感覚と選択肢を増やし、これからも更新し続けたい方へ。
個人レッスンをご希望の方は、現在の演技経験、今気になっている課題、今後の活動予定などを添えてお問い合わせください。
自分は、これまで何をできるようになったのか。
そして、
次の現場で、何を自分で判断し、受け取り、変えられるようになりたいのか。
そこから一緒に見ていきます。
時間を自分の課題に集中して使えるため、
「台本を読んでいるのに、演技につながらない」
「同じ注意を繰り返し受けている」
「一人になると、何を準備すればいいのか分からない」
「現場やオーディションの前に、一度整理しておきたい」
という場合にも利用していただけます。
初回は、現在の活動や困っていることを確認し、台本読解、身体と声、相手とのやり取りなども含めて、今どこで止まっているのかを見ていきます。
芸能事務所・教育機関・制作関係者の方へ
所属俳優への演技指導、モデルから俳優へ活動を広げる方のサポート、芸能事務所や映画スクール、学校等でのクラス開催、講師招聘も承っています。
地方・海外でのワークショップや出張レッスン、団体向けのクラス開催についてもご相談ください。
公式LINEについて
次回のクラス情報や募集のお知らせを早めに受け取りたい方は、公式LINEもご利用いただけます。
こちらから最初のトークを開始することができませんので、登録後に一言メッセージ、またはスタンプをお送りください。
安全な学びの場づくりについて
当クラスでは、俳優同士がその場の流れや即興判断で、急に身体接触を行うことを禁じています。
身体的接触を含む可能性のある場面は、台本上の必要性、目的、手順、同意、境界線を事前に確認した上で扱います。
安全とハラスメント防止に関する詳細は、以下の固定ページをご確認ください。
この記事を書いた講師
鍬田かおる
演技コーチ/STAT認定アレクサンダー・テクニーク教師/IDC認定インティマシー・コーディネーター(ディレクター)。
英国Goldsmiths, University of Londonで演劇・舞台芸術を学び、Royal Central School of Speech and Drama大学院を修了。
20年以上にわたり、俳優、声優、歌手、ダンサーなどの実演家を対象に、演技指導、身体と声、台本読解、人物理解、相手とのやり取り、オーディションや現場前の準備を指導しています。
新国立劇場演劇研修所の創設期からムーヴメント、アレクサンダー・テクニークの指導に携わり、演劇研修所・オペラ研修所をはじめ、バイリンガルの映画スクール、各種教育機関、芸能事務所、舞台・映像の現場でも指導を行ってきました。
2006年頃から、専門であるラバンやアニマルスタディーを俳優のトレーニングに取り入れ、身体だけで終わらせず、モノローグ、シーン、台本読解、人物、声へとつなぐ指導を続けています。
現在も、特定のメソッドを一律に当てはめるのではなく、その実演家に今何が必要なのかを見極め、身体、声、台本、人物、相手との関係を一続きの演技として扱うことを大切にしています。
目指しているのは、先生がいなければできない状態ではなく、俳優や歌手自身が現場で受け取り、判断し、選び直し、更新し続けられることです。

演技コーチ/ムーヴメント指導・演出・振付/IDC認定インティマシーディレクター/STAT認定アレクサンダー・テクニーク指導者/スピーチ&プレゼンテーションコーチングActing Coach/Movement Direction/IDC qualified Intimacy Director/STAT certified Alexander Technique teacher, mSTAT, Movement Teaching/Speech and Presentation Coaching



