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「そろそろやらなきゃ」で先延ばししている弱点も、現場では今日見られている

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「落ち着いてから、ちゃんとやろう」と書かれた俳優向けのカルーセル画像

「そろそろ、ちゃんとやらなきゃな」

発声や発音、滑舌、身体の使い方、セリフの扱い、台本の読み方。自分でも気になっていることはある。

また同じことを言われたし、前から取り組んだ方がいいと思っている…

それでも、現場や趣味が忙しくなればそちらが優先になるし、オーディションが入ればその準備をする。

今すぐ困っているわけではないから、まあ、レッスンは後でもいいか、と先送りになる。

こういうことは、珍しくないと思います。

危機感がないわけではありません。

本人なりに考えているし、自分の得意なことも、苦手なことも分かっている。

ただ、ここで忘れやすいのが、先延ばししている間にも周囲からは見られているということです。

上達した自分を、いつか見てもらうわけではありません。

今日の打ち合わせ、今週のオーディション、今日の稽古やリハーサル、今日の撮影で見られているのは、今日の自分です。

「そろそろやらなきゃ」と思っている間にも、見えている

自分の中では、まだ準備段階かもしれません。

「一応、声は出ているし、お金払ってまでそんな…発声は、もう少し時間ができたら」
「とりあえず、滑舌はそこまで悪くないだろう。」
「台本読解は、今回は大丈夫。もっとシリアスな時、次の作品からちゃんとやろう」

そう思っているうちにも、人に会い、紹介され、打ち合わせもあり、稽古に参加し、新しい人と仕事をしています。

そこで相手が受け取るのは、「この人はこれから改善する予定です」という情報ではありませんよね。(笑)

今の声が聞こえる。今の身体が見える。

今のセリフが届く。今の台本の読み方が、芝居として表れる。

たとえば、あとから発声が安定したとしても、それ以前に会った人の中には「あの人は少し声が不安だった」と記憶している人がいるかもしれません。

台本を読む力が半年後には大きく伸びていたとしても、その前のオーディションでは「準備に時間がかかりそう」と受け取られていた可能性があります。

もちろん、一度会った人がその後の変化を見てくれることもあります。

ただ、先延ばししている期間も、自分の評価が止まっている期間ではありません。

「そろそろやらなきゃ」と自分の中では保留にしていることが、相手にとっては今日受け取った情報になっている。ここは、意外と忘れやすいところだと思います。

自分の手ごたえと、見えていることは少し違う

俳優にとって、自分の手ごたえや納得は大切です。

何を面白いと思うのか。どこまで役を掘り下げたいのか。どんな表現を選びたいのか。そこは、アーティストとしても、大事にしてほしいと思っています。

一方で、キャリアの段階によっては、自分の納得を優先している場合ではないこともあると感じます。

長く現場にいる人や、マネージャー、事務所の社長、キャスティングディレクター、監督、演出家は、本人とは少し違う角度からその人を見ています。

「この人に任せても大丈夫だろうか」

「現場で何度も細かく確認しなくても進められるだろうか」

「もう少し責任のある役を渡しても大丈夫だろうか」

仕事を任せる側には、そういう判断もあります。

特に若かったり、まだ実績が少なかったりする段階では、「この人に任せても大丈夫だった」という積み重ねが十分にあるわけではありません。

だから、本人や身内にとって十分な魅力や手ごたえがあっても、相手には「ここが少し心配」という情報も同時に届きます。

本人の中では、「私はここができる」が先に立っていても、選ぶ側からすると「それは分かる。でも、ここは大丈夫かな」ということがある。

そして残念ながら、「他にも同じようなことができる」ように見えている方もいることです。(実際に同じだからではなくそう見えていると言う話)

このズレは、自分一人ではなかなか見えにくいものです。

長所がある人ほど「惜しい」になってしまうことがある

私は、長所がはっきりしている人ほど、もったいないと感じることがあります。

身体表現がとても良いのに、言葉が聞き取りづらい。

声に魅力があるのに、台本の理解が浅く、相手との関係が十分に立ち上がらない。

感情が豊かなのに、相手役とのやり取りになると、自分の中だけで芝居を進めてしまう。

こちらが具体的にこうして、ああしてと、リクエストすればできるのに、自分からは何も持ってこない…。

すると、せっかくの長所が十分に評価される前に、「ここが少し心配」が先に立つことがあります。

「身体はいいんだけどね」

「声は魅力的なんだけどね」

そんなふうに、長所の前に一言ついてしまう。

これは本当にもったいない。

自分の特徴を薄めて、何でも無難にできる俳優になる必要もない。

むしろ、その人にしかないものは、そのまま伸ばしていけばいい。

そのうえで、その長所を邪魔しているものがあるなら、そこは放置しない方がいいと思っています。

長所を伸ばすだけでは、戦える範囲に限界がある

「得意なことを伸ばせばいい」という考え方は、確かに一理あります。

ただ、仕事を任せる側からすると、魅力があることと、安心して任せられることは同じではありません。

チャレンジさせてみたいと思うほど魅力があっても、「ここが不安だから、今回は見送ろう」となることがあります。

現場で何度も確認しなければならない。

セリフが安定しない。台本の深掘りや演出の相互理解にちょっと時間がかかる。

発声や姿勢のことで、本人自身が毎回余裕がない様子…

そういう要素が重なると、選ぶ側はその人の長所だけを見ることができなくなります。

声や身体を気にし続けると、演技に使える注意も減っていく

発声や発音、滑舌を整える目的は、単にきれいに話すことではありません。

本番中に「ちゃんとかかったか?」「あの長ゼリはちゃんと届いてるかな」「また噛まないかな」と気にしていたら、それだけで注意を使います。

身体についても、自分がどこに力を入れているか、姿勢は大丈夫か、ちゃんと動けているかと監視し続けていたら、目の前の相手や状況に使える注意は少なくなります。

俳優には、本来もっと見てほしいものがあります。

相手が今どう変わったのか。自分は何を受け取ったのか。この状況で何をしたいのか。人物として、相手にどう働きかけるのか。台本の中で何が起きているのか。

運動や楽器でも、基本的な技術が身につくほど、その先の表現やプレーに注意を使えるようになります。

演技でも、同じことが起こります。身体や声を整えることは、演技から離れることではありません。演技そのものに使える余白を増やすための準備です。

「そろそろやらなきゃ」を何年続けるのか

「そろそろやらなきゃ」と思っていることを、一年後にも同じように言っていたら、その間に何が起きているでしょうか。

その間にもオーディションを受けている。

その間にも人と会っている。その間にも、今の声で話し、今の身体で動き、今の台本の読み方で演技をしている。

そして、その状態を見た人たち・聞いた方々がいます。

何もしていないわけではありません。仕事もしているし、自分なりに考えてもいる。

「まだ本格的に困っていないから」ではなく、今の自分を次に持っていくために、そろそろ整えておく。

その考えから、本当の準備が始まります。

個人レッスンは、限られた時間を自分の課題に使う方法

楽器の演奏や語学などと比べると、演技は「今までグループのワークショップしか受けたことがありません」という方も少なくありません。

私自身も、最初から個人レッスンが当たり前だと思っていたわけではありません。ダンスは少人数やグループで受けるもの、という感覚が強かったからです。

ところが、スペイン語を勉強していた時期には、個人レッスンを受けていた時が一番伸びました。

その時の私に合った課題を設定してもらい、今の私に必要な宿題を出してもらって、一つずつチェックしてもらう。

思い込みや間違えたところをそのままにしないので、同じ間違いを繰り返さずに済みました。

自分一人で勉強していたら、もっと長い時間をかけて、同じところをぐるぐる回っていたかもしれません。

演技も同じように、個人レッスンでは、その人の今の課題に時間を集中させることができます。

グループクラスには、他の俳優の選択を見ることや、相手とのやり取りの中で予想していなかったことが起きることなど、グループだからこその学びがあります。

個人レッスンについてよくあるご質問

今まで演技や身体、発声・発音の個人レッスンを受けたことがありません。それでも大丈夫ですか?

自分で原因を特定してから来る必要はありません。

「最近、声について同じことを指摘された」「いつも似たような演技になる」「オーディションで何が足りないのか自分ではよく分からない」といったところからでも構いません。

本人は発声の問題だと思っていても、身体の使い方や台本の読み方まで関係していることがあります。

反対に、自分ではこうだ!と思っていたことが、優先する課題を整理すると取り組みやすくなる場合もあります。

何を優先して整えるべきかは、人によって違います。だからこそ、個人の時間が助けになるのです。

グループクラスと個人レッスンは、どう違いますか?

グループクラスでは、他の方々と取り組むことで、相手から予想していなかったものを受け取り、その影響を受けながら演じる経験もできます。

似たような課題を客観的に見ること、自分の反応を観察する時間もプラスになります。

一方、個人レッスンでは、その時間を自分の課題に集中して使うことができます。

私自身、例えば、ダンスの個人レッスンでは、自分の癖や練習の穴を細かく見てもらい、またグループのクラスではステップを相手と試すというように使い分けて、組み合わせていました。

急いで整えたい課題がある時、もっと早く上達したい時、個人レッスンという選択肢もあります。

本番やオーディションが近いのですが、今からでも意味がありますか?

あります。ただ、残された時間が少ない時ほど、全部を一度にやろうとしない方がおそらく現実的です。

今の役や課題に対して、台本読解を優先するのか、身体や声を見直すのか、セリフや相手とのやり取りを扱うのか。その優先順位は、人によって変わります。

すでに舞台、撮影、オーディション、動画提出などが決まっている場合は、具体的な課題を持ってきていただき、一緒に進める方もいらっしゃいます。

発声や滑舌だけを見てもらうことはできますか?

できます。ただ、発音や滑舌の問題が、口の動きだけの問題とは限りません。身体の使い方や呼吸、言葉の扱い、台本の理解、想像力などが関係している場合も多いです。

声だけを切り離すのではなく、実際の演技の中で何が起きているのかを見ながら扱います。

毎週決まった曜日に通うのは難しいのですが、個人レッスンは受けられますか?

もちろん、スケジュールを相談しながら進められます。

みなさん稽古や撮影、オーディションが入れば予定も変わりますし、地方に行くこともあります。

個人レッスンこそ、その時のスケジュールに合わせて日程を相談しながら、自分のスキルアップや更新を止めずに進めていきます。

現場が入ったらレッスンをやめる、仕事が落ち着いたらまた始める、という繰り返しではなく、現場と並行しながら、その時に必要なことを進めていくからこそ、結果につながります。

また、継続的な取り組みによってスタミナ、自信もついていきます。個人レッスン・クラスのご案内はこちらです。

https://kaorukuwata.com/class-list/

必要になってからではなく、強みを見てもらうために整えておく

「そろそろやらなきゃ」と思っていることがあるなら、今の自分にとって何を整えると、持っている強みがもっと見えるのかを考えてみてください。

そのためにグループで学ぶのか、個人で集中するのか。今ある仕事に合わせて準備するのか、次の機会に向けて少しずつ整えていくのか。

今の自分に必要な方法を選んで、次の仕事で使えるものを増やしていきましょう。

9月20日(日)18:30〜22:00には、オンライン「演じるための台本読解」を開催します。

台本を読んでいるのに、演技になると止まってしまう方。自分なりに考えているのに、何を見ればいいのか分からない方に向けたクラスです。都内のスタジオにお越しになれない方でも、この演じるための読解のクラスは移動のお時間なしに、旅先や海外からもご参加いただけるオンラインです。

2026年9月のクラス詳細はこちらです。

2026年9月 演技クラス|「分かった」を「演じられる」へ【台本読解・演技実践・身体と声】

実際にクラスを受講した方が、台本の読み方や演技についてどんなことに気づき、何が変わったのかもご紹介しています。

「演技が変わる台本読解|オンラインクラス参加者のお声」

https://kaorukuwata.com/script-reading-voices/

9月の日程が合わない方で、次回以降のクラス情報や募集のお知らせを優先的に受け取りたい場合は、公式LINEをご利用ください。

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この記事を書いた講師

鍬田かおる

演技コーチ/アレクサンダー・テクニーク教師/インティマシー・コーディネーター(ディレクター)

指導歴20年以上。俳優、声優、歌手、ダンサー、ミュージカル俳優など、舞台・映像・音楽の現場に関わる方に向けて、台本読解、身体、呼吸、声、相手とのやり取り、現場やオーディション前の準備を指導しています。

映画スクール、教育機関、芸能事務所、演劇学校などでの指導に加え、個人レッスンや少人数クラスも行っています。

詳しいプロフィールはこちら

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