俳優や歌手の個人レッスンというと、
「そんな芸能人みたいなことをするほど、私はまだ売れていない」
「もう少し仕事が増えてからでいい」
「プロと言えるほどではないから、まだ早い」
そう考える方がいます。
けれど、個人レッスンは、売れてから受けるご褒美ではありません。
大きな仕事が来た時に、身体、呼吸、声、思考、台本読解を使えるようにしておくための準備です。
この順番、間違えないでくださいね。
若いうちからプロの俳優や歌手を目指している方、子役として活動を始めている方、声優やナレーターの方も同じです。
映画やテレビの仕事がある方も、一度だけ来るわけではありません
映画のロケの合間に来る方。
テレビ撮影の前後に来る方。
大きな現場が続く時期には、必ずレッスンを入れる方。
そう聞くと、「売れている人が、月に1回くらい調整に来るのかな」と想像するかもしれません。
実際には、そんなことはありません。
皆さん、思っているよりきちんとお越しになります。
撮影前にも、撮影が始まってからも来る。
ライフスタイルの一部なんですよね。
ちょっと大げさと感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、ダンスや音楽の世界で考えれば、練習しない、自分の状態を整えない、ベストを更新しないことが、どんなに恐ろしいか、わかると思います。
実際、一つの現場が終わり、次の仕事へ向かう間にも来る。
舞台の方なら、地方公演中はオンラインで台本や戯曲を読み深め、今起きている課題を整理する。
都内へ戻ったら、スタジオで実際に動き、声を出し、相手とのやり取りを試しながら、さらに実践を深めていく。
「売れている人が、たまに調整する場所」というより、仕事を続けながら、必要な準備を何度も重ねるための時間です。
また、半年以上先の準備をスタートされる方も。
だからこそ、のびのびできますし、リハーサルや稽古場で実験もできる。調べたいこと、他に体験したいことを試す余裕もあります。
この計画性、継続性が、時間とともに大きな差を生むと私も実感しております。
「まだ売れていないから」は、順番が逆です
若い方や真面目な方ほど、
「私はまだ、それほど稼いでいないので」
「仕事が増えてから受けたいです」
「もう少し形になってから考えます」
と、遠慮がちに、個人レッスンを後回しにすることがあります。
けれど、順番が逆なんですよね。
まだ司法試験を受けるか決めていないから、法律は学ばない。
大学へ進学できるか確定していないから、そのための勉強もしない。
……少し乱暴ですが、順番はそれくらい逆です。
売れるための準備を、売れてから始めることはできません。
芸能人ですら、撮影や公演の合間に何度も来ています。
ですから、あなたが個人レッスンを受けても、全く早すぎません。
むしろ、早いほうがいいです。
また、初歩の方にとっては、試行錯誤も大事ですが、望ましくない癖を繰り返さないことも重要です。
俳優や歌手が身体を使わない場面は、ほとんどありません
俳優、歌手、声優、ミュージカル俳優が身体を使うのは、本番だけではありません。
オーディションでも、身体、呼吸、声、集中力を使います。
録音でも、息を使い、言葉を受け取り、声にします。
打ち合わせでも、相手を見て、聞いて、考え、話します。
宣材写真の撮影でも、取材でも、リハーサルでも、本人の身体の状態は表に出ます。
緊張すると肩が上がっちゃう。
後で気づいたら、息が浅くなっていた。
どうしても歯を食いしばる。
声を出す前に、首や背中を固める。
こういう事は、どなたにでも起こりえます。
集中しようとすると、視野も呼吸も狭くなる。
長く立っているうちに姿勢が崩れ、頭が前へ出てくる。
巻き肩を直そうとして肩を後ろへ引き、かえって胸や背中を固めてしまう。
こうした身体の使い方は、舞台やカメラの前だけに突然現れるものではありません。
普段から繰り返していることが、オーディションや本番でも出てきます。
もともとあった芽が、緊張やストレス、現場の忙しさ、慌ただしさ、作品の難しさや役への取り組みで、花開く感じです。
花開いて欲しい部分だけが花開くと良いのですが…
だから、俳優の身体づくり、歌手の身体トレーニング、呼吸や発声に取りかかるのは、早いに越したことがありません。
また、継続することで、理解が深まるだけでなく、何年も疑問に思っていたことが一気につながったように感じた!すごくスッキリした、とおっしゃる方も出てきます。
私自身、イギリスで学んでいた頃、理屈はわかっていてもピンと来ていなかったものも、実際に何百人もの俳優や歌手の方、若手たちとやってきて、この20年で腑に落ちたことがたくさんあります。
自分の中の騒音が減ると、思考や感情もクリアになる
身体の中で、無意識の力みや「やりすぎ」が鳴り続けていると、役や音楽から生まれた変化が、その騒音に埋もれてしまいます。
ずっとついていた扇風機やクーラーが、ふと止めた時、突然静かになってびっくりする、あの感覚です。
人間の仕組みとしてつい慣れてしまうので、なかなか常にやっていることを敏感に感じ取ることは難しいんです。
それこそ、感情を出そうとする。
声を響かせようとする。
しっかり演じようとする。
集中しなければと頑張る。
本人は台本や音楽に向かっているつもりでも、身体は同時に、いくつもの余計な仕事を続けています。
感覚を使う仕事だからこそ、ここの整理が重要です。
その騒音が少し減ると、変わるのは姿勢や動きだけではありません。
思考にも余白が生まれます。
相手のどの言葉を受け取ったのか。
台本や戯曲に実際に書かれていることは何か。
自分は何を決めつけていたのか。
別の可能性はないか。
そうしたことを、前より落ち着いて考えやすくなります。
実は、感情についても同じです。
ある事実を想像した時に、呼吸が変わった。
相手の声を聞いた時に、身体が少し前へ向かった。
歌詞を受け取った時に、声の響きが変わった。
ある言葉を口にした時に、胸の奥が動いた。
自分の身体の感覚に敏感になることで、感情が動き始めた瞬間を、前より細かく捉えられるようになります。
こういう部分がつながらなければ、どんなエクササイズやメソッドを学んだつもりでも、丸ごとの体験にはつながらないのです。
これは、私だけの考え方ではありません。私が学んできた国内外の俳優訓練でも、身体、思考、感情を切り離さずに扱う視点は、繰り返し出てきます。
実際、身体を扱うことは、身体だけを直すことではありませんよね。
考える力、感じる力、選ぶ力を、使いやすい状態へ戻すことでもあります。
俳優や歌手の方から聞く変化
個人レッスンへ参加された俳優や歌手の方からは、次のような変化を聞くことがあります。
「呼吸が深くなり、声の響きが変わった。」
「続けているうちに、身体が軽くなり、疲れにくくなった。」
「前より集中しやすくなった。」
「以前よりスタミナが続くようになってる!」
「稽古や本番のあとに、燃え尽きにくくなった。あの頃は何だったんだろう…」
「最初はそれほどわからなかったけれど、自分の身体の感覚に、前より敏感になってきた自覚がある」
「想像した時に、感情が動いていく様子が手に取るように分かるようになった。」
こうしたお声を、イギリスの大学や演劇学校で学んでいた頃の私自身は、半分ぐらいしか信じていなかったのですが(笑)、そう、新しい表現をたくさん足したからではありません。
自分の中で鳴り続けていた騒音が減ったから、必要な声、呼吸、感情、思考の変化が、前よりくっきり分かるようになったのです。
自分の中で起きていることを比較できる幅が増え、感覚そのものが磨かれたことは、大きな財産になると感じています。
台本読解や戯曲読解も、身体から切り離せません
特に俳優の方で、台本読解や戯曲読解というと、机に座り、頭で分析する作業を想像する方もいるかもしれません。
実際、テーブルリーディングや読み合わせ自体は大事です。
けれど、実際に演じる時には、読んだことを身体、呼吸、声、想像、意味、相手とのやり取りへつなげる必要があります。
あらすじは分かった。
人物の気持ちも考えた。
セリフの意味も理解した。
それでも、立って声に出すと、いつもの言い方や、いつもの動きへ戻ってしまう。なぜなんでしょうか。
その場合、台本を読めていないというより、読んだことが、演じるための具体的な準備になっていない可能性があります。
自分では、やっているつもり、だから、苦しくなってしまう。
個人レッスンでは、身体の状態だけでなく、台本や戯曲に書かれた事実を確認しながら、実際に声を出し、動き、相手に向かって試していくこともできます。
台本読解、戯曲読解、身体、呼吸、発声は、別々ではありません。
作品の中で具体的に考え、感じ、行動するためにつながっています。これは歌手の方も同じです。
個人レッスンだから、変化を早く見つけられることがあります
言葉にすると、同じように「息が浅い」「声が響かない」「集中が続かない」「疲れやすい」と感じていても、実際に起きていることは人によって違います。
ある人は、息を吸うたびに肩や胸を持ち上げています。
ある人は、声を響かせようとして、顎や喉を固めています。
ある人は、集中しようとすると呼吸を止めます。
ある人は、感情を出そうとして、感じるより先に表情や身体を動かします。
個人レッスンでは、その方の課題に沿って、必要なことへ集中できます。
実際の台本や戯曲を使う。
歌唱の中で試す。ダンスへ応用する。
しゃべりながら、立つ、歩く、声を出す。
相手を見る、聞く、受け取る。
オーディション、録音、撮影、公演に向けた課題を持ち込む。
全員に同じ呼吸法や発声法を当てはめるのではなく、その方の身体、声、経験、仕事、現在の課題に合わせます。
そのため、理解するだけで終わらず、変化を早く実際の表現へつなげやすくなります。
個人レッスンは、東京・世田谷区内のスタジオとオンラインで行っています。
地方公演中や遠方、海外に滞在中の方はオンラインで課題を整理し、東京にいる期間にスタジオで実践を深めることもできます。
演技に、個人レッスンって必要ですか?|俳優・歌手・声優の準備を整える時間
まず少人数の演技クラスから始める方法もあります
いきなり個人レッスンではなく、ちょっと試してみたい、まず少人数の中で台本を読み、相手と実際に演じながら、自分の課題を見つけたい方もいると思います。
台本をどこから読み始めればよいのか。
役の人物が、相手や場面をどう変えようとしているのか。
読んで考えたことを、身体、呼吸、声、相手とのやり取りへどうつなげるのか。
こうしたことは、一人で考えるだけでなく、他の参加者と実際に試すことで見えてくる部分があります。
オンラインで台本読解を行い、その後スタジオでシーンを実践する少人数制クラスも開催しています。
【2026年8月開催】演じるための台本読解オンライン+シーン実践|もう、一人で考え込まない
まだプロではなくても、個人レッスンを受けられますか
現在の知名度や仕事量だけで、個人レッスンの必要性が決まるわけではありません。
もっと上達したい方、現在の課題を具体的にしたい方、プロとして活動するための準備を早く始めたい方も対象です。
子役の方で、未成年の方には、保護者の方や事務所の方の了承を得た上で進めております。
プロ向け演技レッスンだから、仕事が増えるまで待たなければならない、ということではありません。
現在の経験と目標に合わせ、今必要な準備から始めます。
「もっと早くやればよかったのに」とおっしゃる30代の方も。
私自身、例えば、ダンスが上達した時は、単発のグループのワークショップを熱心にちょこちょこ取っていた時じゃないんですね。
個人レッスンを毎週、特定の先生方について習っていたときなんです。
オーディションや本番で、緊張して身体が固まる場合も扱えますか
緊張を完全になくすことより、緊張した時に自分が何を重ねているのかを確認します。
気づいたら呼吸を止める。
つい肩を上げる。
良かれと思って集中した結果、視野が狭くなっている。
正しくやろうとして、動きや声を固める。
身体の状態が少し整理されると、緊張があっても、台本、相手、音楽、空間へ注意を戻しやすくなります。
私自身、セリフが飛んだり、不自然な動きになっていた時代があるからこそわかります。
あの不安、奇妙な感覚…もう、やめませんか。
大きなチャンスが来てからでは、やることが多すぎます
大きな仕事が決まってから、姿勢を何とかしよう。
もうちょっと息を使えるようになろう。
そろそろ発声を見直そう。
こんなふうに考えてはいませんか。
それは節約や堅実、謙虚なように見えて、課題の先延ばしかもしれません。
本番が終わって、読解はやはり大事だった。もっと早く深く読み込めていたら…。
やっぱりこの戯曲は難しい。
これってみんな、実は後付けなんです。
そう気づいても、すべてを短期間で身につけられるわけではありません。
また、本人に意欲がないからではありません。
性格の問題でもないんです。
人が一度に吸収できる量には限りがあるからです。
時間も、体力も、集中力も限られています。
仕事が決まれば、その仕事そのものの準備も増えます。
台本を必要な順序で、整理しながら、読む。
バックグラウンドやセリフ、歌詞を入れる。
役や作品について調べるだけでなく、バックボーンを作る。
演出家や監督の提案を受け取り、相手役とやり取りする。
健康を害さずに、稽古や撮影を続ける。
必要な移動をし、体調を保つ。
その時になってから、身体、呼吸、発声、台本読解、集中力、スタミナまで一度に始めようとしても、詰め込める量には限度があります。
まだ大きな仕事が来ていない時期は、「まだ早い時期」ではありません。
落ち着いて試し、失敗し、繰り返し、自分のものにできる時期です。
特に、若手の方、中堅で伸び悩んでいる方、もっと活躍したいけれど、なんとなく先延ばしにしてきた方は、長文になっても大丈夫です。早めにご連絡ください。
売れてから始めるのではなく、売れた時でも使えるようにする
早く始めた分だけ、試せる回数も、身体で理解できる時間も増えます。
タイミングを測り続けるより、この機会を使ってください。
課題が、まだうまく整理されていなくても構いません。
身体のこと。息が浅い、呼吸を止めやすいなどの悩み。
発声や声の響き。緊張や集中力、疲れやすさ。
台本や戯曲を読む時に起きていること。
オーディション、録音、撮影、稽古、本番で困っていること。
今後、どのようになりたいか。
長文でも大丈夫です。
今、気になっていることを、そのままお知らせください。
現在の活動、今困っていること、これから目指したい仕事を、お問い合わせの際にお知らせください。
クラス案内・講師依頼について
うちの事務所でもレッスンをしてもらいたい、所属の俳優に指導してほしい、モデルから俳優へ転向する方をサポートしてほしいなど、演技クラス、個人レッスン、教育機関・芸能事務所・映画スクール等での講師依頼については、下記よりご確認ください。
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公式LINEについて
お急ぎの方、公式LINEから、次のレッスン情報を早く受け取りたい方、LINEもご利用いただけます。
こちらからのトークのスタートはできませんので、お一言ご挨拶かスタンプお願いします。私の方では、トークの表示がされませんので、お願いいたします。
この記事を書いた講師
鍬田かおる
演技コーチ/STAT認定アレクサンダー・テクニーク教師/IDC認定インティマシー・コーディネーター(ディレクター)。
俳優、声優、歌手、ダンサーに向けて、台本読解、身体と声、セリフ、相手とのやり取り、現場前の準備を扱うレッスンを行っています。
必要なのは、努力を否定することではなく、見ている場所を変えることです。
そこを具体的に整理すると、演技や歌唱、ダンスの手応えも変わってきます。
見ている場所が変わると、考え方が変わり、演技や歌唱、ダンスで選べることも変わります。
その選択肢が、現場で相手と協働し、作品へ具体的に貢献する力につながります。
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なぜこの台本読解クラスは、精神論や依存に寄らないのか|参加俳優の声から

演技コーチ/ムーヴメント指導・演出・振付/IDC認定インティマシーディレクター/STAT認定アレクサンダー・テクニーク指導者/スピーチ&プレゼンテーションコーチングActing Coach/Movement Direction/IDC qualified Intimacy Director/STAT certified Alexander Technique teacher, mSTAT, Movement Teaching/Speech and Presentation Coaching



