東京国際映画祭が無事に閉幕しました、今年もお会いできたみなさま、ありがとうございました。初めて、お話直接できた方々も、みなさんご自身の世界が確立していて、すごく刺激になりました。
さて、本日は、私にも痛い思い出のある…感情を“出そう”と頑張るほど、身体が固まってしまうという厄介な現象についてです。
そんな経験、ありませんか?
俳優や歌手の表現力を深める鍵は、実は「感じよう」と念じることではなく、身体が“いま”を受け取る感覚を育てることにあります。
今回は、感情と身体のつながりを見直すための視点をお伝えします。
念じるな!演技で“感じよう”として固まる俳優・歌手へ——感覚を育てるトレーニングとは
感情を“出さなきゃ”と思うと、つい力んでしまう。
あの、空回り体験….ありませんか?
しかも、身体を固めることって、防衛にも近いから、ついつい、人前でパフォーマンスとか、評価される場とか、大事な場面になると、気合みたいに入っちゃうんですよね。
ただ、俳優や歌手の表現力を深める鍵は、もっと「感じよう」と念じることではなく、
身体が“いま”を受け取る感覚を育てることにあります。
そして、それを、細やかに、精密に、調節できるものにしていくこと。
今回は、感情と身体のつながりを見直すための視点をお伝えします。
「感じよう」と念じるほど、身体は固まる
「どうすれば“感情を込めた演技”になるんだろう」
「もっと感じたいのに、感じられない」
そんなふうに悩んだこと、ありませんか。
多くの俳優や歌手がつまずくのは、
“感じよう”と念じるほど、身体が知らないうちに固まってしまう瞬間です。
たとえば、どんな気持ちかを強く念じるほど、気づけば、ふと息をひそめ、視線を凝視し、
相手との関係が途切れてしまう。
そうなんです、信じていると、やはり自分の世界にこもりやすくなる。
それは感情が出ていないのではなく、動いていくのを、止めているのに近い。
せっかくのむくむく動き始めた想像が先取りされて、いわば「状態を保とう」になっているから、断るごとに、ちょこちょこと、度々、身体が止まっているだけです。
感情ではなく、想像が止まっているだけ
「感じよう」と思っているうちは、まだ“感じられていない”状態です。
そもそも、私たちは変化を感じ取る動物。
特定の状態でいる確認をずっとしている限り、「めくるめかない」に違いありません。
感情は、妄想のように、頭で作るものではなく、いま・ここで生まれる感覚の反応。
本当の「感じる」は、目の前の相手、空気、距離、声の温度——
そのすべてを、まるごと受け取ることから始まります。
例えば、自分が体重を使って、頭の重みから胴体から足まで、実際に地面を押したら、その分地面から反力が返ってきますよね。すると体の中が伸ばせる。そういった感覚です。
だからこそ、
“念じる力”ではなく、“感じる回路”を育てること、力まなくても感じ続けていけるスタミナと繊細さが大切なのです。
感覚を“もともと”から増やしておくという発想
演技に必要な「働きかけ」の種類、つまり方法も体験した種類の分だけ、また、自分が連想できるものが人前で緊張していても使えます。
シュミレーションしたこともなく、身体的な感覚と想像が伴わないと、行き詰まりやすい。
つまり、動きのトレーニングで、繰り返せて、目に見えて、安全な形で、感じ取れる感覚のボキャブラリーは、増やしていくことができます。
たとえば、様々なスピードで移動する。
頭の方向や手足の曲げ伸ばし、強さやリズム、テンポの違い、それこそ、手のひらの向きやだけでも、感覚は変わります。さらに、背骨の動きによって、呼吸も大きく変化する。
本当に、無限にありますね… .!
そうした動きの一つ一つが、のちに「相手との交流の助け」になります。
つまり、想像をたくましくすることだけではなく、「運動の力」を借りて、感覚体験の量を増やしておくこと。
それが、演技の深みを支える基盤になります。
身体で体験できる、感覚のボキャブラリーが、表現の可能性を広げてくれる
実際に、ラバン・ムーヴメントを用いたクラスでは、
次のような声が多く届いています。
「自分の動きの癖に気づいた瞬間、もっとできるんだとわかったが」
「想像していた“感情”が、身体の内側から自然と湧いてきた」
「あ、自分は確かに、喜んでる時、こんな感じで周りを見てるな、と気づけた」
感情を“出そう”とするのではなく、身体を整えることで感情が“出てくる”。
この順番を理解している俳優や歌手は、
どんな作品でも、自分の役へ近づいていきやすく、身体も感覚も声もつかいやすくなります。
「念じるな」から始まる、本当のつかえる感覚のトレーニング
演技は、念じるものではなく、
感じて動くプロセスです。
自分の身体を丸ごと使っているからこそ、小手先にならない。
自分自身のキャパシティーを広げるから、様々なジャンルや作品に対応できる。
想像力をたくましくするほどに、
身体のボキャブラリーを増やしておくほどに、
「感じよう」と頑張らなくても、自然に心がついてきます。
●この記事を書いた人:鍬田かおる
演技コーチ/インティマシー・コーディネーター(ディレクター)
演技指導歴20年以上。留学中のイギリスにて、アレクサンダー・テクニーク指導者資格を正式に取得後、音楽家、ダンサー、声楽家、歌手、俳優らを中心に、20年以上の指導歴がある。映画、テレビ、舞台で活躍する実演家を中心に、感情と身体のつながりを軸としたレッスンと世界スタンダードの台本読解及び分析のクラスをはじめ、演技クラスや各種のプロトレーニング、個別レッスンを展開中。
養成所や研修所等での指導歴を経て、映画スクールやパフォーミング・アーツの大学を始め、事務所等でも指導を進める傍ら、多様なミュージカル、オペラ、映像、舞台など幅広い現場で活躍する歌手や俳優のコーチを務める。
詳しいプロフィールは、HPのプロフィールページからご覧いただけますと光栄です。
11月23日・24日開催 俳優や歌手のためのラバン・ムーヴメント感覚トレーニング
感じる身体は、考える前に動きます。
その感覚を取り戻すための、実践型クラスです。
動きの質や方向を整理し、
感情と身体のつながりを再教育していきます。
日程:2025年11月23日(日)・24日(月祝)13:00-16:00
対象:俳優・歌手・演出家・表現者
会場:都内スタジオ(詳細はお申込み時にご案内)
お申し込み・お問い合わせはこちらの記事からご覧ください。
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◾️動きが変わると、表現が変わる。ラバン・ムーヴメントで磨く感覚トレーニング|11月23日(日)・24日(祝)東京開催
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演技コーチ/ムーヴメント指導・演出・振付/IDC認定インティマシーディレクター/STAT認定アレクサンダー・テクニーク指導者/スピーチ&プレゼンテーションコーチングActing Coach/Movement Direction/IDC qualified Intimacy Director/STAT certified Alexander Technique teacher, mSTAT, Movement Teaching/Speech and Presentation Coaching




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