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努力が報われないのは、「足し算」ばかりしているからかもしれません

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クラス参加者のお声です

暑いからこそ、スタミナの必要性を感じている演技コーチのくわた かおるです。

昼夜公演に2回するにしても、この照り返しの中、撮影に耐えるにも、体力が大事だなぁと日々実感しております。

さて、これは実は私の昔からのテーマですが

つい「足りないところがあるから」もっといろんなものをさねばならない

という、半分はおそらく正論だけれど、本当にケースバイケースで、なかなか白黒付けがたいスキルアップについてです。

大げさに聞こえるかもしれないですが「卓越」への道ー

第一線で活躍するプロであればあるほど、ここは避けて通れない気がしております。

足すことばかりを優先していませんか?

新しいメソッド、トレンドの呼吸法、人気のボイストレーニング、リラクゼーション系のセラピー……。

真面目で熱心な俳優・歌手・声優・ダンサーの方ほど、 「もっと上手くなりたい」「もっと結果を出したい」という一心で、 あらゆる手段を“足して”いく傾向があります。

もちろん、楽器の演奏や語学、武術やスポーツ、あらゆる技術が要求される職業では、新しい価値観を取り入れるだけでなく、トレーニング方法もアップデートしていく事は重要です。

 

私たち、身体は1つしかなく、時間も限られております。

さらに、とにかく何でも入れれば良いというような時期も場合によってはあると思うのですが、選んでいくことも重要な「スキルそのもの」であると感じます。

だからこそ、あらゆる学校や組織でも何を取り入れるか、取り入れないかが終わりのない議論を繰り広げているわけでもあります。

 

でも、何を自分に体験させるのか、何を繰り返し、いわば「あとをつけて」、いつでも、どこででも、使えるようにしていきたいのか…そこからそれていってしまうと、実はそこで *「ぐちゃぐちゃの状態」*を自分でつくってしまうことに、なりかねません。

なぜ結果が出ないのか?その原因は?

なぜ、たくさん努力しているはずなのに、結果に結びつかないのか? なぜ、レッスンを受けているのに、ただ苦しくなるのか?

それは、まだ土台が整っていないのに、何らかの事情で、様々なスキルをたくさん上乗せしてしまい、 本来の自分の身体・声・感覚の通り道をふさいでいるからかもしれません。

行きたい場所に向かう線路を整備して、流れを良くしたいけれど、実はその地面がガタガタみたいなイメージ。

例えば「うまくやろう」として、呼吸を止めてしまいがち。

大事だから「感情を出そう」と思うが、あまり、調節できてなくて身体が固まる。

「ボリュームが必要だ」と思った瞬間、すぐ首を力ませる癖につながり、喉を締めてしまう….

そんな逆効果が、繰り返しあなたの中で起きていませんか?

今こそ“引き算”の視点を持つとき

そこで必要なのが、“引き算”の視点です。

「もっと足す」より、 **「今、何をやめるべきか」**を見極める。

でも、心配する必要はありません。

これは、これまでせっかく身に付けてきた技術や、特殊能力、学んだテクニックを手放す話ではありません。

あなたがすでに持っている、 ・呼吸の力 ・身体の構造 ・声のポテンシャル を邪魔している「雑草」を抜いていく、ということです。

雑草を取ることで、栄養がたっぷり本来の株にいきわたっていくのを恐れる方はいないでしょう。

テクニック以前の問題:雑草と土壌のたとえ

植物がうまく育たないとき、 ちゃんと陽も浴びていて(まぁ種類によっては日陰の方が良いこともありますが)、環境も整えていて、肥料を足す前にまずやるのは “雑草取り”ですよね。

つまり、栄養が分散してしまってないかということ。

どれだけ優れた種や栄養があっても、 地面が硬く、根が呼吸できない状態では芽は出ません。

表現のトレーニングもまったく同じと思います。

いくらテクニックを学んでも、 土台が呼吸できる状態じゃないと、花は咲きません、実はつきません。

実際に変化を実感した俳優や歌手の生徒さんのお声

「“出そう出そう”と思ってばかりいたけど、身体から整えたら届くようになっていた」

「演出家に“違和感がなくなったね”って言われたの、実は初めてでした」

「身体が整ったら、気持ちも落ち着いて、まわりの音がよく聞こえるようになった」

「最初は気づかなかったけど、だんだんレッスンを重ねていくうちに、自分が『やりすぎてた要らない固めグセ』に気づいて、やめてみたら、全然、身体が違いました」

「良かれと思って、気合を入れていましたが、違ったみたいです。もっと早く自分で築けるようになりたいです。」

プロにこそ必要な“引き算”の感覚

これは、“ゆるめる”とか“感覚的になる”という話ではありません。

引き算とは、 **「やらなくてもいいことを見抜く力」**を持つこと。

そして、 「いまの努力を、もっと報われる形にするための土台づくり」です。

私自身、実は子供の頃から、ダンス、声楽、ピアノ、トランペット、演劇など色々と学んではいましたが、ありとあらゆる動きに混ぜている自分の癖は、全てに影響を及ぼしていたと今なら振り返ることができます。

しかも、それは、自分の意図ややる気とはかかわらず、日常の動きにまで、いちいち混ざってしまっていたため、いざ「こういう風に歌いたい」、「こんなふうに踊らなきゃ」、「このシーンはこうやって演じるべき…」と真面目に考えれば考えるほど、硬く重く遅かった気がしています。

もちろん、瞬間的に解ける事は、周りの方のおかげもあり、作品にも助けられたのですが、それでも身体の辛さや回復の遅さ、練習にかけてる時間の割には、成果は上がっていなかったなと、何十年も経て、今だからこそ、わかります。

 

声と身体のためのクラスのご案内

📅 8月10日(土)10:00-12:00《入門・基礎》

📅 8月11日(月祝)13:00-15:00《ご自身の専門への応用》

対象:俳優、歌手、声優、ダンサーなど、 声と身体を“表現の道具”として使う全ての表現者へ。

テーマ:

  • よくある思い込みと声が自然に響くようになる身体の使い方
  • 不自然な力みやあがりを減らして、演技や歌に直結する呼吸と動きの整理
  • 積極的に「防ぐ」プロの練習の方法

特別な靴は必要ありませんが、軽く動いても構わないお稽古着と、飲料水やタオル、筆記用具(デジタル可)などはご自身でお持ちください。

8月の身体と声のクラスのご案内はこちらです。

◾️8月身体と声のクラス|身体と声のクラス|舞台・映像の現場で“届く”声と動きを手に入れる2日間

「感じてうごけない」「感じたはずなのに、声が変わってない」のは、あなたに才能がないからではないかもしれません。

もしあなたが、
「練習はしているのに、なんだか不自然」「いざ大切なシーンになると動きづらい」と感じているなら、それはあなたに、ただ演技力や表現力がないからだけではありません。

おそらく、感じづらくしている動くときの身体の癖や、つい習慣にしている構えや「止める」パターンが雑草になっているのだと思います。

“動きたい”という意思や動機が、身体的な事実を伴わず、がんばってしまっている

自分の目的に合わない、いわば「雑草をちょっとずつ取っていく」。

それだけで、演技や歌唱はずっと楽になる。


そして、もっと選択肢を伴って、“その場にいる”ことができるようになります。

「自分ごとでしゃべってる」実感

「ほんとに感じて、気づいたら動いてた」

「まるで自分のように、周りの見え方も変わってた」

こういっためくるめく感覚体験はここからスタートします。

まだ、あきらめないでください。

この記事を書いた人:

鍬田かおる : 演技コーチ/インティマシー・コーディネーター(ディレクター)

演技指導歴20年以上。プロ俳優・歌手・ダンサーを中心に、感情と身体のつながりを軸としたレッスン、台本読解のクラス、プロのためのレベルアップ・トレーニングを展開中。映画スクールやパフォーミングアーツの大学を始め、多様な公演、ミュージカル、オペラ、映像。演劇など幅広い現場で指導およびインティマシー・コーディネーター(ディレクター)としても、映画監督と講座やワークショップを行うなど、活動を広げている。

 

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