最近は、インティマシー・コーディネーター(ディレクター)業のお声がけもいただき、うれしいお問い合わせやお知らせに感謝です。
「愛してるわ、ジョン!! 」なーんて言ってないのに、なんでバレてるの?!
今昔、ある時、リハーサルルームの近くを歩いていたときのこと。
ふと聞こえてきた誰かの会話に、私は立ち止まりました。
大声でもなかったし、言い回しも現代の日本でおかしくない。
言っている内容も一見、まあ、自然。
でも、私は一瞬でこう思ったのです。
「あ、稽古してるな」
その瞬間の違和感は、今でも忘れられません。
なぜなら、実際には何の芝居のセリフでもないはずなのに、
なんというか、セリフだけが虚しく浮いている… .
“芝居らしさ”だけが、空気の中にプーンと浮かび上がっていたから。
自分では自然にやっているつもりなのに「演技してる」と思われる瞬間
演技の現場でよくあるのが、セリフだけが“浮いて”しまう現象です。
感情を込めたつもり、頑張って届けようとしたつもり。
でも、なぜか相手に響かない。
セリフを頑張ろうと、力みすぎたり、気持ちを込めようとすればするほど、浮いてしまう。
むしろ、嘘っぽく見えてしまう。
そんな経験、ありませんか?
まさにこの「浮き」こそが、リアリティーを欠き、お客様が信じる、想像力を失っていく
破壊の力!現在の演技で最大の辛いところ、しらじらしさです。
芝居くささの正体は、“役の人物がやってないこと”をやっているから
リアルに見えない演技には、共通点があります。
それは、演じている本人が「役の人物が今ここで実際にしていること」
からズレていること。
もっと言えば、自分の中で起きてもいない感情を、外側から“足して”しまっていることです。
感情を先に作って、それに合わせて声を出す。
これは一見、努力のように見えて、実は非常に危険な落とし穴です。
なぜなら、「気持ちを込めよう」とするほど、“芝居の記号”が浮かび上がってしまうからです。
「気持ちを込めてるのに、伝わらない」演技が生まれる構造
演技において大切なのは、“気持ちを込めること”ではありません。
むしろ、それを目的にすると、観ている人との距離が一気に開きます。
観客が求めているのは、「本当にそこにいる人の反応(とその個人的な感覚や事情)」なのです。
自分の身体を通して、いま起きている出来事に反応する。
その中に、自然に現れてくる言葉、行動、沈黙。
それこそが、観る人にとって「信じられる」演技になります。
共感できる芝居は、「伝えよう」とする前に、“ちゃんと居る”ことから始まる
私は、20年以上にわたり、多くの俳優や歌手、パフォーマーたちと向き合ってきました。
本当に伝わる演技には、ある共通した身体のあり方があります。
それは、“いま、ここにいる”ことを身体で引き受けていること。
頭でっかちに、「気持ちを先に作る」のではなく、
具体的な、役個人の緊急なこと、重要なこと、お悩み、その解決方法
そして周囲の環境や考え方に身を置いて、その変化に反応していること。
伝えようとしなくても、伝わる。
むしろ、身体に力を込めたり、目を強く止めたりして、
無理に伝えようとしない方が、深く届く。
それは舞台でも、映像でも、オーディションでも同じです。
その演技、“役がやってる”と言える?
もし、今の自分の芝居が、「なんだか浮いてる」「リアルじゃない気がする」
「思ったほど伝わってない」と感じているなら。
それはあなたが下手なのではなく、“ズレた構造”がどこかにあるだけかもしれません。
身体をちゃんと使って、役の人物がそこに“いる”状態を立ち上げること。
これは誰にでもトレーニングで身につけることができます。
伝わること と 伝えること、こんなに違います。
よくあるご質問
Q1. セリフが浮いてるかどうか、自分では気づけてないかも…
A. はい、残念ですが、それが「普通」です。実は、本人よりも周囲の方が先に違和感を察知しています。いくらやる気があっても、誰でも自分で自分の背中は見ることができないのです。
今回のクラスでは、自分の“浮き”を他者の視点や実演を通じて見つけていくことから始めます。
Q2. 気持ちを込めることが悪いのでしょうか?
A. 気持ちはもちろん大切です。ただ、それを“出そう出そう”とすることで、かえって「自分の身体のリアリティーからズレた演技」になることがあります。また「気持ちを出さなきゃ」とがんばると、身体に余計な緊張が入るだけでなく、ついつい、「その場にいない」まま気持ちだけ出すと、どうしても“嘘っぽく”なってしまいます。
現場がある方でも悩んでいる方が多いですが、異なる身体の使い方と、気づく感覚トレーニングの併用をお勧めしています。
Q3. 舞台ではなく映像中心なのですが、クラスを受講しても意味がありますか?
A. もちろんです。むしろ映像では、わずかな“浮き”が大きく目立ちます。カメラというのは、ときには、顕微鏡のような、そして拡大鏡のような効果も持っていますよね。
今回の5月のクラスでは、映像・舞台・オーディションすべてに共通する「身体を通したリアリティ」を扱うため、どのジャンルの方にもご参加いただけます。
ミュージカルやオペラ、音楽劇の仕事が多い方にもお勧めしています。
【5月25日(日)身体と演技クラス 開催のお知らせ】
📍 日時:5月25日(日)10:00〜13:00
📍 場所:新宿区内スタジオ(お申込み時に詳細ご案内)
📍 内容:
-
セリフが“浮く”原因の解説と体験
-
身体の反応から演技を立ち上げるワーク
-
映像・舞台など、ジャンルを問わず使える感覚のトレーニング
リアリティーのある役として行動する、現代の演技力をつけたい方
自分の身体と表現を見直して、飛躍したい方へ
ご予約・お問い合わせは 下のフォームやInstagramのDM
またはメールからでも、ぜひ、お送りください。
◾️今のままでは伝わらない?─演技の壁を超えるための【身体と表現】のレッスン|5/25(日)開催
こちらの記事で、目が覚めた!という方もいらっしゃいました
「まず状況を成立させることが大事」と思っていませんか? 演技を“浅い”と言われてしまうときの見直しポイント
ご案内
Instagramでは、簡潔なQ&Aや短いリールを更新しています。
お役に立てるとうれしいです。
https://www.instagram.com/actingcoachkaorukuwata/
取り上げて欲しいモヤモヤ、前から気になっていたことも募集しております。
最新情報
今回の内容に「もっと知りたい」「いつか参加したい」と感じてくださった方へ。
次回のクラス案内はInstagramとLINE公式で最速でお届けしています。
ブログにも詳細を書きますが、少人数制で予約が埋まりやすいため
速報は公式LINE及びストーリーズの方から、現在は出しています。
Instagram → https://www.instagram.com/actingcoachkaorukuwata/
これまで演技のなんとかメソッドや、〇〇式に疑問を抱かれてきた方へ
あなたの感じてきたモヤモヤは、もしかすると「役」にとってのリアリティーが
具体的で意味のあるものではなかったからかもしれません。
また大学、演劇学校、大学院と、イギリス育ち、バイリンガルである私が言うのもなんですが、日本を中心に活躍してらっしゃる方、日本語を母国語として多くの時間を過ごしてる方にとっての、演技メソッドやシステムに向き不向きという傾向はある気がいたします。特に、
・真面目に考え込んでしまう方、好きだからこそ抱え込んでしまう方
・主語不在でも成立してしまう日本語の発想のまま、つい状況を思い描き続けてしまう方
・どうしても頭でっかちになり、言葉ばかりになってしまう熱心で真剣な方
・迷惑をかけてはいけないと、一生懸命ひとりでで頑張りすぎる日本の俳優や歌手
……たくさん見てきました。
こういった方々に必要なのは、今日解説したような「身体と感覚」の入り口であり
想像していることと身体を馴染ませ、変化を歓迎して、他人と共感したり
同調したりできる身体を開くことです。
これは、セラピー的なものでもなく、精神論でもありません。
ダンスや楽器演奏のトレーニングに近い、1種スポーツのような
動きを切り口とした演技のトレーニングによるものです。
物語、演技いうものが、文化に根ざしている以上、言語の壁もあり、
また生活様式や基本的なコミュニケーションのスタイルが大きな誤解をむこともございます。
これはクラシックバレエやオペラの輸入、様々な業種での変遷を見ても、お分かりいただける課題だと思います。
不可思議なワークショップやらの誇大広告に疑問を持たれた方
なんちゃらメソッドに違和感を持たれた方、すべてがご自分のせいだと責めないでくださいね。
(どこの国にも、奇妙なマーケティングや不思議な我流は存在します)
こちらの記事も、ご参考になればうれしいです。
「セリフに気持ちは『のせないで』ください?」— これが演技のリアリティを変える
「5/25(日)のクラスに参加してみたかったけど、どうしてもスケジュールが難しい」
という方は、公式LINEに登録 or Instagramもフォローしてください。
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オンラインでのヒアリングも可能です。
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このブログでは、今後も
・台本読解や演技へのアプローチのヒント
・現場で役立つ準備の方法、プロのブラッシュアップ
・実際のクラスからの気づきや実例
…などを定期的に発信していきます。
ぜひ、ブックマークしてまた読みにきてください。
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台本の読解、身体と声/呼吸、想像力、共感、そして論理的思考…
これらは活躍の場がミュージカル、オペラ、演劇に限らず、映画やテレビ、コマーシャルでも同じくです。
最後に最近、芸能関係、映画関連の方からよく聞かれるトピックーご参考になれば幸いです。
センシティブな題材、キスやハグなどの身体的な接触、いわゆる絡み、昔で言う濡れ場などの振り付け、演出サポートのご相談は、映像作品、映画、テレビ、舞台にかかわらず、下のインティマシー・コーディネーター(ディレクター)こちらのホームページからお願いします。

演技コーチ/ムーヴメント指導・演出・振付/IDC認定インティマシーディレクター/STAT認定アレクサンダー・テクニーク指導者/スピーチ&プレゼンテーションコーチングActing Coach/Movement Direction/IDC qualified Intimacy Director/STAT certified Alexander Technique teacher, mSTAT, Movement Teaching/Speech and Presentation Coaching