桜の花が咲いてきましたね、食欲も湧いてきちゃった演技コーチ、鍬田かおるです。
さて、年度末ということで、いろいろ振り返ったり、断捨離をしたり、それこそ引っ越しに伴って、新しい環境に備えている方もいらっしゃると思います。
今日は、先日話題になった、「Feedback(フィードバック)」と日本でよく言われる「ダメ出し」についてちょっと整理したいと思います。
私自身、子供の頃から「ダメ出し」の世界で育ちました。芸能事務所のレッスンでも、もちろん「ダメ出し」されましたし、「ダメ出し」をしてもらう時間が毎週ありました。子供心によく解りませんでしたが、何かそういう用語なんだろうと勝手に理解し、流していました。
クラシックバレエのクラスや、ピアノのプライベートレッスンでは、そういったことが全くなく、「できているところと、できていないところを伝えてもらう」、「前より良くなったところ、これからの課題を具体的に教えてもらう」と言うことが主軸にあったと思います。そもそも、ダンスのクラスや楽器のレッスンで、「ダメ出し」なる言葉を使うわけもないのですが…振り返ってみると、学習と言う意味では類似していますから、同じ発想になってもおかしくないと思います。
一方、10代になり、演技教室なり、映画関連のサマースクールなどに参加した際には、「ダメ出し」と言う言葉が当たり前のように使われていて、ダメ出しする側もされる側も、暗黙の了解と言う雰囲気でした。
…となると、舞台用語、なんですかね?
調べれば、囲碁の世界から来ていると言うような説明も見受けられるのですが、発表させられない、通過させられない、と言う面にフォーカスを置いている時点で、足りないところ、弱点、悪いところに重きが置かれていると感じるのは不自然ではないと思います。
さて、もう片方の「Feedback(フィードバック)」。
舞台芸術や芸能マスコミの世界以外でももちろん使われていると思います、このフィードバックと言う表現。
改善点だったり、評価だったり、軌道修正や、変更のための指摘や提案ですよね。
イギリスの大学でも、基本的にありとあらゆる授業で「フィードバックの時間」と言うものがありました。もちろん、実技だけでなく、座学でも。
行ってかえってくる、と言うイメージもありますよね。ここが双方向のコミュニケーションである感覚の素かなと感じます。
そうなると、現場で、限られた時間内に結果を出さなければならず、もちろん、はっきりとした達成したい目標があり、特定の効果を狙っていて、それについて改善を求めたいとき…
なんとなく、「ダメ出し」を選んでしまう可能性がないとも言えません。
私がイギリスから帰ってきて教え始めると、学ぶ側の学生や学び手の俳優や歌手の方が、自ら「ダメ出し」は?「ダメだしでも言われてたんだと思うんですけど…。」、「演出家にダメ出しされて…」とみんな使っていることに気づきます。
私は、とても驚いた。
なぜなら、8年位、「ダメ出し」と言う言葉を聞いていなかったからです!
長い…8年..ダメ出し不在の….8年…
で、私は考えました。
「(ダメ出しという言葉で括らなくて)何か、困ったことあったかな?」
……
特にありませんでした。
それでも、一応周囲に合わせる努力もして、相手に話が通じるように、劇団や専門学校などでは「ダメ出し」と言う単語を使って説明はしていました。
でも、なんか、私の言いたい事と…ちと違う気がする。
そんな日々が続きます。
とりあえず、両方を日本語と英語で使い分けるみたいな感じでした。
ただ私の方からわざわざ「ダメ出し」と言う状況があまりなかったのか、なんとなく秋に合わせたり、相手にわかりやすい言葉で説明するという感じでした。
そして、英語で同級生や師匠たちと話をしていると、「ダメ出し」じゃないんですよね。
やってることがやはり「Feedbackで」あり、弱点や欠点が足りないところを指摘するだけに特化してないんです。一緒に改善したり、掘り下げていくための方法や整理整頓をしていく感じ。この時点で力関係が違います。これは現代において、特に注目すべきところだと感じます。
そして、オーストラリアに行ったり、アルゼンチンに行ったり、はたまた通訳をしてみたり、それこそダンスのイベントで世界各地に行ってみて…
「ダメ出し」と言う発想に限界を感じました。
じゃあ、どうしたらいいの?!
というお声には、あちこちで使われている言い回しが最適だと思います。
それは、
「ノート」
です。
演出家や監督「さあ、ノートあげるねー」
チームのみんな「じゃあ、ノートしよっかー」
俳優が先生に「ノートもらえますか?」
こんな感じで使います。
もちろんFeedbackでもいいんですけど、日本のダメ出しの感覚に近いものだとノートかなと思います。
みなさんはどんな風に使い分けていますか?
立場による違いももちろんあると思うのですが、私は自分の先生方からノートをもらったり、先輩やそれこそ生徒さんからフィードバックをもらうのが、なかなかバランス良いなと感じてます。
意識して、使い分けてみてください。
何か発見があったら、ぜひお知らせくださいね。
本日のお勧めの本はこちらです。
演技のため、パフォーマンスのための直接的な書籍や映画のお勧めも大事ですが、事件や事故に直面してしまった場合、人間がどのように反応するのか、なぜそんな仕組みなのか、どういうケースがあるのかをかなりグラフィックに描写してくれているストーリー仕立ての部分がある、読みやすい本です。
そして、自分の盲点に気づく。
恐ろしいけど、すっきりする、ありがたい本です。
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演技コーチ/ムーヴメント指導・演出・振付/IDC認定インティマシーディレクター/STAT認定アレクサンダー・テクニーク指導者/スピーチ&プレゼンテーションコーチングActing Coach/Movement Direction/IDC qualified Intimacy Director/STAT certified Alexander Technique teacher, mSTAT, Movement Teaching/Speech and Presentation Coaching
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