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「落ち着いてからやろう」だと何もできないー

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欧米スタンダードの超!具体的な台本読解と分析も好評な、演技コーチ くわた です

4月もクラスにご参加の熱心なみなさま、ありがとうございました

 

さて、私はこの数年かけて、Intimacy Directors and Coordinators https://www.idcprofessionals.com/

のインティマシー・ダイレクター認定コースを無事に修了したのですが、そのレベル1と2を始めるときは、特に試験もなく、

「時間のつかい方」と「決断」については問われませんでした


ところが、レベル3(専門家としてインティマシー・ダイレクターかコーディネーター認定)へ進むときになって、試験があったのは当然なのですが、
「さて、あなたは親密表現に振付家になりたくて、インティマシー関連の勉強をさらに深めると言っていますが、では毎週、何時間、毎月何十時間くらい自習にかけられそうですか」

とズバリ!聞かれたのです

「だ、だよねー」。。。

自習も復習も予習もしないで、「資格」欲しいなんて、確かに…甘いよね

と納得したのも束の間、

「このニューヨークでの実地の研修✖️3回の間も、往復してもらうことはもちろん、体力、経済面、他の仕事や勉強との兼ね合いなど、自分で管理できますよね?必要な時間、確保できますよね?」とたたみかけてきたのが、このプロ集団、IDC…

恐るべし!

オンライン講座ですら、時差で辛いのに、泣きっ面に蜂!!

しかし、そこで言い訳するのはプロ意識がすたる

「はい、大丈夫です、体力には自信があり、これまで世界各地でダンスの研修や勉強に明け暮れてきました、もちろん仕事と並行してです」

と言うしかなかった私はふと気がついた…

 

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「今、ちょっと立て込んでて……」「ちょっと忙しいから…..」

「……うーん、落ち着いたら連絡します!」「やっぱりキャンセルしたいんですけど….」

こうやって(無意識かもしれないが)決断を先延ばしにして、あとからいくらでも見つけられる行動しない理由を、ついつい「合理的に」考えられてしまう方は…

「変わらない」

のです

そう、この20年以上、大学や養成所、芸能事務所や映画スクールで指導してきて、知っているパターン….

 

これは私だけではなく、周囲のダンスや歌唱の先生たち、語学でも、現場の演出家なども、みなうなづいて口にするパターン

「やってみよう!(で、あとからなんとか工夫しよう)」とか

「とにかく試そう、いまが一番早い(若い、とも言う)」と言う方、は根が明るいのか前向きなのか、結局、進むのが早いのです

テンポもよくてリズム感もある

「やってみてから、考えます」、「経験がないので、判断できないっす」くらいの前向きさ

面倒に裏腹しないし、目的に向かう力が感じられるので、周囲も応援していく流れがさらなるチャンスへつながっていっている様子

 

例えば、現場やクラスの前後などで、とっても良い本やおすすめの資料の話などが出た時、売れている方、結果を現場で出し続けている方は、

「あ、これですね?いま、ポチりました」とすばやいクリックのあと、清々しい表情でいう

こちらが確認しようとノタノタしていると

「あ!Amazonにありました」とか「Unlimitedに入ってました」など、さらに前向きで嬉しいコメントが来る

そして「こんな役立つ、すごい面白い本があったなんて!」などと興奮している(と思われる)返事がそのあとも続くのです

だからますます周りは協力したい気持ちにもなるし、いい情報があれば、すぐにこういう方に伝えよう、応援しようという気になるのだね


「現場がないから…じゃあ勉強しよう」と思い立つのではなく(それが悪い訳ではなくもちろん健全なのだが)

「現場が続くからこそ、隙間でもいいから、とにかく学んでおかねば!」となるのが、つわもの

 

「やること他にないから、じゃあ、前に勧められた本でも読もっかなー、あれ?なんだっけ?」と思い出す訳ではなくて…

そもそも本を読む時間が取れないかもしれないが、あればすぐに読めるので、さっさと手に入れて読むように(半ば半強制的に)仕向ける

「スケジュールがタイト」だからこそ

「スケジュールに、『緊急でなくても大切なもの』を先に入れておく、という戦略」

賢いです


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かつての職場でご一緒させていだいていた、素晴らしい監督が、なんとほぼ毎日運動に通っていて、その他にもジムやエクササイズに通っているというので、その秘訣を聞いてみたことがある

すると、彼女は言った

「まずね、朝起きたらすぐ行くの。なんも考えない、お化粧とかもしないで、とにかくすぐ行くの」と言っていた

さすがだ……

そう、毎週のように「やりたいか?行きたいか?」をわざわざ自分で自分に質問していては、やりたくない日、気分が冴えないとき、面倒くさい時もあるのが現代人

どんなにやる気があったって、現場が忙しい日もあれば、なんとなく気乗りしない日、それこそ雨や風が強い日もあって、永遠にやらない理由が見つけられる


そして例の監督は続けた

「シャワーとかなんかも、どうせ汗かくし、運動してから浴びる、それで支度して仕事いく」

「んー、ともかくいちいち考えないで行く」

とのこと

おそるべし!さすがは大御所、そしていつもパワフルで充実したプロの方である

そうですよね

「意思の問題」ではなく

「仕組みー習慣」をつくって、コミットするということなんです

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私たちは「歯磨きしたいか?」とは尋ねない

「ランチまた食べるけど、歯を磨くべき?」、「明日も歯磨きしたいだろうか、自分は歯磨き好きなんだろうか」とは自問自答しない

好きだからやるのではない

嫌いだからやらないのではない

必要があって、大切だから繰り返しやるのであって、

毎回、1日に何回も「やりたいか・やりたくないかも?」と聞いていては、それこそ身体がもたないだろう

20年、30年生きてきたからといって「歯磨き、飽きた」、「うがい、つまらない」とはならない(極度の疲労や体調不良でなければ)

そもそも、自分に尋ねる質問がおかしければ、どう答えたって、役に立たない、奇妙な答えが導き出されるに決まっています

無意識にラクなほう、慣れている習慣をひいきしてしまうのが、自然なままの人間の姿です

 

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かく言う私も、学生のころは「逆算する」という習慣がなく

締め切り数日前になっては、デザインや絵画作品が間に合わないと慌てていた記憶があります

 

「こうしたい、もっとこれができる!」と思いつくのも遅いわけですから、結局、締め切り前日はほぼ徹夜……

どんなに若くても、徹夜の身体(脳も!)ですから、自分が思うほど能力発揮はできず、間違いや失敗、やり直したい作業も出てくる始末

そして、担当の教員になんとか締め切りを伸ばしてもらいたいと交渉するという、よき学生らしからぬ、今考えれば本当に迷惑な学生になった…


そう、「アイデアがかたまってきてから、やったほうが効率が良い」は結局、自分も他人もを巻き込んで効率が悪く

「別にいま無理してやらなくても、落ち着いたときに、まとめてキチンとやろう!」なんて調子良く思っていても

その発想そのものが「落ち着いていない」=計画性のない、逆算できない人のものであったから

いざ、そのときが来て(というより、もはや仕方なく)締め切りに向かうのだが、

「機が熟していた」はずが、「ただやり慣れていない」人の手であり思考であり、習慣化していないからこそ、スピードも出せず、間違いも多いのであった…



さて、過去を悔いたところで…

仕事も勉強も趣味も、現代人は多くが基本的にいつでも慌ただしくなりがちで、現場があれば緊急対応もあり、どうしても忙しいものだから

「休めるときに休もう」なんて考えてたらいつまで経っても休めないよね……

急ぎの案件で忙しい、もうすぐオーディションがある、最近家のこともある、親戚が…法事が…地元が…あれもこれも気になる……「にも関わらず」

「スケジュールに、『緊急でなくても大切なもの』を入れるという戦略」

これしかないのです

先にいれなければ、どんどん、中長期的にみれば大事ではないけれど、(先方の都合などで)緊急風なもの、

そんなに大事なら、もともと計画しておけばいいのに、していなかったものに(半ば仕方なく)付き合っているうちに、自分の学習の機会や時間を減らしてしまう



重要「風」を装って、実は重要ではないからこそ、先延ばししていた案件、もっと前から計画しておいて、余裕をもって取り組めばみなが無理をしないで済んだはずの企画に付き合ってはいけない

緊急「風」なだけで、実際には、先月やっておけた件、来月になっても誰も困らない件は、おそらく事前の計画を見直したほうがいいはずのことも多い


とはいえ、「そうはいっても、やってみないとわからない、そんな前から時間を確保できない」

しかも他人にも「全部、ここからここまで(例えば火曜から土曜まで全部)あけておいて」と平気で言い放つ方は多い…

でもその考え方自体が、事前に準備をしておらず、緊急事態が発生しやすくなり、事故や苦痛が増える理由なのに….

 

せっかく良いアイデアや企画があっても、根っこがなければ頓挫する

素晴らしい思いつきやコラボレーションも、そもそも一人一人が健やかに、ブラッシュアップやそれこそ継続的に学習や棚卸しする機会があるから能力発揮しやすいわけで

それをわざわざ阻むなんぞ、ブラックでしかないのです


「学生じゃないんだし、そんなわざわざ?!現場で学べばいいんだよ!」といういかにも親切風な、安易でおかしな言葉に騙されてはいけない

現場で学べるのは事実だが、現場で学ぶためにも、目や耳がよくないといけない、という厳しい事実は無視できない

 

現場のせわしない、急ぎの、期限付きの、条件が厳しい場面にも関わらず「学べる」のは、相当な学び上手でもない限り、ある程度の素地がある範囲か、

ともすると、上部だけで「学んだ気になっている」可能性もある

(あとね、現場はあなたが学ぶための場所じゃあないんです、学んでいる結果を出していくところ、です)

 


時間によって「複利的な効果が出ていく」ものほど、計画はお早めに

いまだかつていないですよね

語学や楽器演奏、あらゆる基礎的な学習、さまざな技能や技法を、「もっとあとからでもよかったな」とぼやいた例を…

 

 

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6月のアレクサンダー・テクニーク体験クラス

◾️動きが軽やかになって視界が開けるアレクサンダー・テクニーク体験6/2、6/16日曜

ご予約スタートしました

少人数制で、日曜2回、ゆったり学ぶクラスです

歌手、俳優、声優、ナレーター、ダンサーの方も歓迎しています

「歌うことや演じることが怖くなくなった」
「練習が気楽になった」
「他の先生の言ってたことがやっと分かった」

という方も多い、姿勢と動きが軽やかになるアレクサンダー・テクニークのグループクラスを6月の日曜のお昼に行います

自分の身体の癖や思い込みに気づくことで、「演出家や監督の意図していることが分かった」と成長される方も多いです

舞台や映像で、役として行動しているときに、動きのしなやかさや存在感を出していくためにも、より自分の強みを活かした発声や発音に良い首や胴体の使い方も身につけていくためのテクニックを学びます

実は、姿勢の癖を何度も指摘されたことがある…
自分ではそんなつもりはないのに、声の出し方や動きの見え方で損をしているかも…

変えてスッキリするチャンスです!

俳優の方だけでなく、歌手やダンサーの方、演出家や作家も歓迎しています、身体が変わると思考のクセにも気づけますね

今まで、他の教室に行ってみたけど、よくわからなかった、あまり演技や歌詞表現とつながらなかったと言う方も大丈夫🆗

本場イギリスで専門のトレーニングを受けた、指導歴20年越えの講師が、お一人お一人の課題を見据えつつ、2日間にわたってご説明します



6/2(日)11:00-13:00、6/19(日)11:00-13:00の2回あるので、身体感覚をよりくっきり、はっきりとさせる、パフォーマンスに生きるテクニークを解きほぐしながら、変化を感じていただけます

経験者の方は、ぜひ演技や歌唱に応用していくお時間としてお使いください
詳しく相談されたい方は、DMや各種メッセージ等からお願いします

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