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子どもの演技レッスンで伸びない?「質問に答える力」から学び方を見直す

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子どもと向き合って会話をする保護者

夏休みになると、

「せっかく時間があるから、もう少しレッスンを増やそう」
「別の先生にも習わせてみよう」
「もっと現場経験を積ませたほうがいいのでは」

と考える保護者の方もいらっしゃると思います。

演技、ミュージカル、歌、ダンス、スポーツ、楽器、芸能活動。

子どもが好きなことを頑張っているなら、できるだけ良い経験をさせてあげたいと思うのは自然なことです。

でも、新しいレッスンを増やす前に、一度だけ見てみてほしいことがあります。

その子は、質問されたことに答えられているでしょうか。

そして、もう一つ。

私たち大人は、質問されたことに答えているでしょうか。

子どもには、

「ちゃんと人の話を聞きなさい」
「質問されたことに答えなさい」
「分からなかったら聞きなさい」

と言います。

では、大人自身はどうでしょう。

説明しているのに、用件がない人がいる

大人同士のやり取りでも、ときどき不思議な会話が起こります。

相手から一つ質問される。

ところが、その質問には直接答えず、自分の事情を説明し始める。

相手が知らない前提は飛ばしたまま、周辺情報だけが増えていく。

相手が確認する。

すると、また別の説明が加わる。

さらに確認する。

また情報が増える。

周辺情報が増えても、肝心のことがわからないため、話が非常に難しい。

説明しているのに、用件がない人がいる。

本人としては、たくさん話しています。

だから「ちゃんと説明した」という感覚もあるのでしょう。

でも、

説明することと、質問に答えることは同じではありません。

たとえば、

「次に参加できそうなのはいつですか?」

と聞かれているなら、まず必要なのは「いつか」という情報です。

「最近、学校が忙しくて」
「本人もいろいろ考えていて」
「別の予定も入っていて」

という事情は、そのあとでも説明できます。

聞かれたことより先に、自分の頭の中にある情報を全部出してしまうと、情報量は増えても会話は進まなくなります。

自分の気持ちの説明、特に、防衛的な反射は、そういったミスマッチを引き起こしやすくなります。

自分の頭の中には地図がある。でも、相手はその地図を持っていない

こうした会話が起きるとき、話している本人の中では、話が全部つながっていることがあります。

この予定がある。

その前にこういう出来事があった。

本人はこう考えている。

以前にも似たことがあった。

だから今こうなっている。

本人の頭の中には、地図があります。

だから途中から話しても、自分では分かる。

でも、

相手はその地図を持っていません。

「何について話しているのか」
「どこから説明が始まったのか」
「結局、何を伝えたいのか」

その入口が共有されないまま情報だけが増えると、相手にはだんだん分からなくなってきます。

これは、単に「話が上手い・下手」という問題ではありません。

もっと手前に、

相手はいま、何を聞いているのか。

という問題があります。

質問に答えられない人は、「問いの中心」を読めていないことがある

文章が読めることと、問いの中心を捉えられることは、必ずしも同じではありません。

長い文章も読める。

語彙もある。

学校の勉強もできる。

それでも、

「いま、何を聞かれているのか」

を外してしまうことがあります。

質問に答える代わりに、

自分が話したいことを話す。

知っていることを全部説明する。

相手が知らない前提まで、知っているものとして進める。

事実と、自分の解釈を混ぜる。

すると、本人は一生懸命考えているのに、相手とのやり取りは噛み合いません。

ここで問題なのは、知識の量ではありません。

問いの中心を読むことです。

先生に聞かれてることを考える、そして演出家の言っていることを理解する、さらに言えば、台本の読解と同じだから、こういった基礎的な部分が後々大きく響いてきます。

これは大人でも子供でも同じです。

演技でも、同じことが起こる

私は演技指導の中でも、これとよく似たことを見ます。

台本には、ある出来事や言葉が書かれている。

ところが、それを見る前に、

「この人物はきっとこういう性格」
「この場面は悲しい」
「この人は相手が嫌いなんだと思う」
「ここでは怒っているはず」

と、先に答えを作ってしまう。

そしてその印象に合う説明をあちこちからツギハギで引っ張ってきます。

もちろん、演技には想像力が必要です。

書いてあることだけを機械的に再現すればいいわけでもありません。

でも、

台本に書かれていることと、根拠のない、自分がそこから想像したことは別です。

ここが混ざると、本人は「深く考えている」つもりでも、実際には最初に思いついた解釈を、あとから説明で補強しているだけになることがあります。

日常の会話でも、台本読解でも、

相手が実際に言ったことより先に、
「きっとこういうことだろう」と答えを作る。

似たことは起こります。

大人でも、思い当たる場面がありますよね。

事実と推測が混ざると、本来あったはずの問いが消える

たとえば台本に、

「相手が返事をしなかった」

という出来事があったとします。

そこまでは、ひとまず確認できます。

でも、

「怒っているから返事をしなかった」

となれば、それはもう解釈です。

答えたくなかったのかもしれない。

聞こえていなかったのかもしれない。

別のことに気を取られていたのかもしれない。

あるいは、その作品の中にしかない別の理由があるかもしれません。

ところが最初から、

「怒っている」

と決めてしまうと、

「なぜ返事をしなかったのだろう?」

という問いそのものが消えます。

これは演技にとって、かなり大きな違いです。

答えを早く出すことが、必ずしも良い準備とは限りません。

「分からない」と分かることは、学ぶための大切な入口

レッスンで、

「分かりません」

と言えることを、私は悪いことだとは思いません。

むしろ問題になるのは、

分かっていないのに「分かりました」と終わってしまうことです。

あるいは、

何が分からないのか自分でも分からないまま、次へ進んでしまうこと。

学ぶときには、

知識をたくさん持っていることだけでなく、

自分はいま、どこが分かっていないのか。

そこに気づく力が必要です。

そこが見えてくると、質問ができます。

質問できれば、その答えを使ってまた試せます。

演技でも、歌でも、ダンスでも、学校の勉強でも同じです。

質問は、「知らない人がするもの」ではありません。

学びを先に進めるためにするものです。

また、質問をうまく立てられるようになると、自分の目的に必要なことが見えてきます。

大人が先に答えを作っていないだろうか

子どものことになると、大人はつい助けたくなります。

本人が返事に詰まったら、代わりに説明する。

本人が何を言いたいのか分からなければ、

「この子はたぶん、こういう意味で言っています」

と補う。

先生に質問されても、本人より先に保護者が答える。

必要な場面もあります。

年齢によっては、もちろん大人の助けが必要です。

ただ、いつも大人が答えを完成させてしまったらどうでしょう。

本人が、

「何を聞かれたんだろう」
「私はどう思っているんだろう」
「何が分からないんだろう」
「どう聞けばいいんだろう」

と考える時間までなくなります。

これは、

「何でも子どもだけでやらせましょう」

という話ではありません。

本人が考えるところと、大人が手伝うところを、全部一緒にしない。

その違いです。

家庭で繰り返される会話も、子どもが人とのやり取りを覚えていく材料の一つになります。

だから子どもに、

「ちゃんと人の話を聞きなさい」

と言う前に、

大人自身も一度、

「私は、聞かれたことに答えているだろうか」

と考えてみてもいいのではないでしょうか。

子どもがレッスンに通っているのに伸びないとき、「量」だけが問題とは限らない

夏休みは、新しいことを増やしやすい時期です。

短期講座。

ワークショップ。

追加レッスン。

オーディション。

新しい教室。

もちろん、それが必要なこともあります。

ただ、

「最近、伸びている感じがしない」
「何年も習っているのに、本人が何を学んでいるのか分からない」
「先生に言われたことは覚えているけれど、自分では考えられない」
「毎回同じような注意を受けている」

という状態なら、

レッスンの数を増やすことだけでは解決しないかもしれません。

「何を習わせるか」の前に、「どう学んでいるか」を見る。

ここは、一度立ち止まって考える価値があります。

経験を増やすことと、学べることは同じではない

現場経験が増えれば、必ず学べる。

とりあえず、今のレッスンを増やせば、必ず上達する。

単発でもワークショップへたくさん行けば、幅が広がる。

必ずしも、そうとは限りません。

同じ受け取り方をして、
同じ準備をして、
同じところを曖昧にしたままなら、

場所を変えても、似たことを繰り返す可能性があります。

逆に、

一つの質問をきちんと聞く。

書かれていることと、自分の想像を分ける。

分からないことに気づく。

相手から返ってきたものを使って、もう一度考える。

そういう学び方が育ってくると、これまで経験してきたことから受け取れる量そのものが変わってきます。

だから私は、

経験の数だけでなく、その経験をどう使っているか

を大切にしています。

演技の準備は、「答えを早く作ること」ではない

演技の準備というと、

人物像を決める。

気持ちを考える。

セリフを覚える。

それらを思い浮かべる方も多いと思います。

でも、準備の段階で答えを作りすぎると、実際に相手と演じたときに、相手から何かが返ってきても受け取れなくなることがあります。

もう自分の中に答えがあるからです。

これは子どもだけの問題ではありません。

長く演技をしている大人にも起こります。

だから私は、台本読解でもスタジオでの実践でも、

「正しい答えを当てること」だけを目的にはしていません。

実際に何が書かれているのか。

何を見落としているのか。

何を自分で足したのか。

相手とやってみたら何が変わったのか。

そうしたやり取りの中で、演技の準備を見直していきます。

夏休みに増やす前に、一度「今どこで止まっているか」を見てみる

お子さんが演技や芸能活動を続けていて、

「もっと伸びてほしい」
「本人も頑張っているのに、なぜか同じところで止まっている」
「レッスンを増やしたほうがいいのか迷っている」

という場合、

すぐに何かを追加する前に、

今、その子の学びがどこで止まっているのか

を一度見直してみるのも一つの方法です。

必要なのは、新しい先生かもしれない。

新しい経験かもしれない。

でも、もしかすると、

これまで受けてきた指導や経験を、まだ十分に使えていないのかもしれません。

ここを見ないまま新しいものを足し続けると、「習っていること」だけが増えてしまいます。

「何を習うか」だけでなく、「どう学ぶか」を育てる

個人レッスンでは、演技を一度見て「ここを直しましょう」と答えだけを渡すのではなく、

実際の台本、
本人の読み方、
準備の仕方、
質問への答え方、
身体や声の使い方、
相手とのやり取り

を通して、

本人が今どこで止まっているのか

を一緒に見ていきます。

台本をたくさん読んでいるのに演技につながらない。

レッスンでは分かったつもりになるのに、一人になると再現できない。

同じ注意を何度も受けている。

自分から質問することが難しい。

何を準備すればいいのか分からない。

こうしたことは、単に「もっと頑張ればいい」で解決するとは限りません。

何かを増やす前に、今あるものを一度見直す。

そのほうが、次のレッスンも、次の現場も、もっと生かせることがあります。

夏休みを「たくさん習った夏」にするだけでなく、

学び方そのものが少し変わった夏にする。

そのために必要な場合は、個人レッスンで実際の課題を見ながら一緒に整理しています。

演技や台本読解、オーディションや今後の活動に向けて、今の準備を一度個別に見直したい方は、個人レッスンの案内をご覧ください。

クラスの日程が合わない方や、現在取り組んでいる役、オーディション、動画提出、撮影、舞台稽古などの課題を個別に扱いたい方は、個人レッスンについてもご相談いただけます。

個別の台本やオーディション課題を扱いたい方へ

現在取り組んでいる台本、出演予定の作品、オーディション、動画提出、撮影や舞台稽古など、今ある具体的な課題を個別に扱いたい方には、個人レッスンがあります。

時間を自分の課題に集中して使えるため、

「台本を読んでいるのに、演技につながらない」
「同じ注意を繰り返し受けている」
「一人になると、何を準備すればいいのか分からない」
「現場やオーディションの前に、一度整理しておきたい」

という場合にも利用していただけます。

初回は、現在の活動や困っていることを確認し、台本読解、身体と声、相手とのやり取りなども含めて、今どこで止まっているのかを見ていきます。

個人レッスン専用フォームはこちら

少人数クラス・セミプライベートをご希望の方へ

一人だけでなく、実際に相手と演じながら学びたい方には、少人数制のグループクラスがあります。

オンラインでの台本読解、スタジオでのシーン実践、身体と声のクラスなど、内容や時期を変えながら年間を通じて開催しています。

また、ご家族やお仲間、同じ事務所・劇団など複数名で取り組みたい場合は、セミプライベート形式についてもご相談いただけます。

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所属俳優への演技指導、モデルから俳優へ活動を広げる方のサポート、芸能事務所や映画スクール、学校等でのクラス開催、講師招聘も承っています。

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安全な学びの場づくりについて

当クラスでは、俳優同士がその場の流れや即興判断で、急に身体接触を行うことを禁じています。

身体的接触を含む可能性のある場面は、台本上の必要性、目的、手順、同意、境界線を事前に確認した上で扱います。

安全とハラスメント防止に関する詳細は、以下の固定ページをご確認ください。

レッスン・クラスにおける安全とハラスメント防止ポリシー

この記事を書いた講師

鍬田かおる

演技コーチ/STAT認定アレクサンダー・テクニーク教師/IDC認定インティマシー・コーディネーター(ディレクター)。

俳優、声優、歌手、ダンサーに向けて、台本読解、身体と声、セリフ、相手とのやり取り、現場前の準備を扱うレッスンを行っています。

必要なのは、努力を否定することではなく、見ている場所を変えることです。

そこを具体的に整理すると、演技や歌唱、ダンスの手応えも変わってきます。

見ている場所が変わると、考え方が変わり、演技や歌唱、ダンスで選べることも変わります。

その選択肢が、現場で相手と協働し、作品へ具体的に貢献する力につながります。

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