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ちゃんとできてるのに、なぜか伝わらない?ー『キャッツ』日本初演で知った感情と身体を生きる演技

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黒猫のゴールドの瞳と顔

最近は、映画関連のお声がけも多くうれしい初夏、演技コーチ 鍬田かおる です。

本日はちょっと紹介、何かヒントになればと思います。

 

子ども時代に出会った、衝撃のステージ



1983年、新宿。父の「〇〇くんがすごいミュージカルに出てるらしい!」というひと声で、私たち家族は『キャッツ』日本初演を観に行くことになりました。

舞台に広がっていたのは、深夜の都会のゴミ捨て場。

ジャンボサイズの空き缶、大きな古い家電、巨大なゴミ箱のフタ――。

「猫から見た世界って、こんななんだ!」

子どもだった私は、ただそのスケールに圧倒されました。

視点が変われば、世界も変わる…

自分が猫だったら、ゴミ箱のフタは大きくて、怖くて、重たくて、大きな音を立てるもの。

舞台のすべてが”猫目線”で構成されていて、世界そのものが違って見えたんです。

当時の子どもの私は、アンドリュー・ロイド=ウェバーの音楽の奥深さも、原作詩の美しさも知りませんでした。

でも、その世界に一気に引き込まれて、夢中になった感覚だけは、いまでもはっきり覚えています。

ただ観ていたはずなのに、いつの間にか“猫として”世界を感じ、動き、ドキドキして、笑って、泣いて、応援していました。

それは「自分ごとで演じる」という感覚の原点だった。

いま思えば、あれが私にとっての「自分ごとで演じる」という感覚の原点だったのかもしれません。

生きる哲学を人間の言葉でしゃべる猫なんていないことは、子ども心にも分かっていました。

でも、「猫が見ているであろう世界を、猫のサイズで、猫の視点で、猫の立場で、感じて動く」——それを無意識にやっていたのです。


演じることは、“役”になる!というようなことではなく、“世界をその目線で感じること”。そんな感覚を初めて身体ごと経験した瞬間でした。

 

「わかってるつもり」から抜け出すには?



私が演技指導をしていて、よく聞く声があります。

「セリフは覚えてるし、タイミングも間違ってない。意味もみんなで確認した。でも、なぜか届かない…」

それって演技力の問題じゃなくて、

“その人物の視点や事情”から行動していないサインかもしれません。

感情だけをのせようとしても、表層にとどまります。


本当に響く演技は、「その言葉が“必要だった”」と身体が感じているときだけ生まれるのです。

あなたの“演技の原点”は何でしたか?



“できているのに伝わらない”という壁にぶつかったとき、

技術的な答えを探す前に、あなた自身の「演技の原点」を思い出してみてください。

感じて、動いて、心から共鳴した瞬間。

あなたの中にも、きっと「自分ごとで生きた」あの1場面があるはずです。

そこに戻ることが、次のステップの扉を開けてくれるかもしれません。

 

この記事を書いた人:鍬田かおる : 演技コーチ/インティマシー・コーディネーター(ディレクター)



演技指導歴20年以上。プロ俳優・歌手・ダンサーを中心に、感情と身体のつながりを軸としたレッスンを展開中。多様なミュージカル、オペラ、映像、舞台など幅広い現場で指導。

 

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