ゴールデンウィークも盛りだくさん、ミュージカルの公演やテレビ、舞台で活躍中の方も多く、いっそう活力が湧いてく演技コーチ、鍬田かおるです。
さて、本日は、私の専門分野の1つでもあるムーヴメント=うごき
からの視点。
ダンスやスポーツでなくとも、日ごろから何らかの動きは私たち誰しもがしているもの。
細かく言えば、瞬きも動き。
呼吸を動き、関節の曲げ伸ばしだけではなく、移動も動きですよね。
「とっさの動き」にこそ、本音が表れる
無意識の“反応”をキャッチできる人は、演技が変わる
例えば、台本をもらって、自分の役について話しているとき。
共演者や先輩や事務所の方に、あらすじを説明しているとき。
自分でも気づかないうちに出た、ある仕草。
ふと、自分が何回も強くうなずいていたり
もしかしたら、手を前後に出したり、引っ込めたりしていたかも。
場合によっては、ちょっと「本音」とは違うことを話していたのに、なぜか胸がざわついたのか、つい下を見てしまった——
その“無意識の反応”は、演技の大事なヒントかもしれません。
本音は「考えて出すもの」ではなく「先に出るもの」
私たちはつい、
「ちゃんと気持ちを考えてからセリフにのせよう」
「状況確認して、説明できるように整理しよう」
としてしまいがちです。
でも実際は—
“考える前に、もう身体は反応している”ことの方がずっと多いんです。
日常生活でも、そんなことありませんか?
見逃されがちな“身体のサイン”
誰かに言われたわけじゃないけれど、ふと手が止まった。
無意識だったけど、呼吸が浅くなった。
わざと狙ったわけでもないのに、声のトーンが変わっていた…
こうした、一見ささいに見える反応が、
「自分が本当に何を感じているか」を知らせてくれる手がかりにもなりえます。
反射と反応は違う
ここで重要なのは、
これは「反射」ではなく「反応」だということ。
条件反射が強いと、ヒントが埋もれる
条件反射的な動き(=習慣的な癖)は、
こうした“本音のサイン”をかき消してしまうことがあります。
- いつも肩が上がってしまう
- 毎回同じジェスチャーで話してしまう
- 緊張すると必ず口角を上げてしまう
こうした無意識の癖=ノイズが強いと、
演技中に生まれた本当の反応が見えにくくなってしまうのです。
これは、気をつけたいポイント。
また、自分の反射のパターンがマンネリになっていて、すべての気持ちや感覚、関係性を1つか2つの動きにまとめてしまっていると、せっかく発見できるものも埋もれてしまいます。
反応を拾える人が、演技も自分をも、深めていける
何かを見たり聞いたり、それこそ思い出したり想像した瞬間、その兆しはまず身体に現れます。理由がわからない場合でも、身体は先に
- 急に縦に動きたくなる
- 強く前に出たくなる
- 声を出す前に、息が変わる
こうした“瞬間的な動きの変化”にこそ、
役や場面とのつながりを掴むヒントがあります。
日常生活で、社交辞令で笑顔をしていて、相手に調子を合わせていても、目が笑っていないこと、気づいたら、かかとに体重が載っていて頭を引いていたこと、ありませんか?(悪意はなくとも、そして自分じゃなくて相手がやっていることもありますネ)
これは良い悪いと言うことではなく、感情や感覚と思考(や理屈と呼ばれているもの)が必ずしもいつも一致してはいられないからです。
という事は、おそらく多くの場面で、いろいろな出来事に遭遇している作品の人物たちも、同じような仕組みで、似たように、何かを瞬間的に感じたり、本音が動きに出てから言葉を選んで(多くの場合は、非常に素早くですが)、行動しているのではないでしょうか?
癖を減らすと「感覚の騒音」が静かになります
身体の反応に気づきにくい場合、それは「反応がない」のではなく、
反射的な癖や緊張が“騒音”のように重なっている状態かもしれません。
まずその騒音を減らしてみる。
そして、静かな状態で起きた変化に気づく。
そこからようやく、
自分が「本当は感じていたこと」が見えてくるのです。
階段を上る時も、ドアを開ける時も、バックを持つ時も、常に肩を耳に近づけていると、その動きが当たり前になってしまっているから、他がバックグラウンドに行ってしまう。
同じように、しゃべる度に、体を縮込めて、手を構えながら、足を突っ張りながらだと、どうしても緊張が強くなっていて、「本当は動きたかった」のに、動きとしては完了しなかった、ということになりかねません。
まとめ|“反応”を聴ける人は、演技や表現の質も変わる
とっさに出た一言や、何気ない動き。
そこにこそ、本音とつながる大きな入口があります。
そこを拡大して見せてくれる映画や配信作品、テレビドラマもたくさんありますよね
演技を深めたい方ほど、表現をもう1段階磨きたい方も、
「出そう」とする前に、もう出ていた“反応”に耳をすます力を育ててください。
それが、再現性のある演技にも、自分自身との信頼関係にもつながっていくはずです。
この記事を書いた人:鍬田かおる : 演技コーチ/インティマシー・コーディネーター(ディレクター)
演技指導歴20年以上。プロ俳優・歌手・ダンサーを中心に、感情と身体のつながりを軸としたレッスンを展開中。映画スクールやパフォーミング圧の大学を始め、多様なミュージカル、オペラ、映像、舞台など幅広い現場で指導。
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演技コーチ/ムーヴメント指導・演出・振付/IDC認定インティマシーディレクター/STAT認定アレクサンダー・テクニーク指導者/スピーチ&プレゼンテーションコーチングActing Coach/Movement Direction/IDC qualified Intimacy Director/STAT certified Alexander Technique teacher, mSTAT, Movement Teaching/Speech and Presentation Coaching