必ずしも経験年数とは一致せず、今難しいところですが、
一見すると、まだ素人っぽいと感じる俳優や歌手がいます。
でも、その原因は、いわゆる「芝居心」が薄いからとは限りません。
実際にはもっと手前のところで、すでに損をしていることがあります。
声が通らない。
発音が甘い。
表情が固い。
身体が重い。
反応が遅い。
こうした基礎の問題が重なると、まだ何もしていない段階でも、素人っぽい、覇気がない、陰気に見える、信じにくい、という印象が先に立ってしまいます。
これは、感情がないからではありません。
やる気がないからでもありません。
演技以前に、通るはずのものが通っていないのです。
養成所、事務所等でも、こうやって損をしていってしまう方、毎年必ずいます。
うまく見えないのは、演技が浅いからではなく、最初から詰まっているから
多くの方は、素人っぽさを演技の解釈や感情表現の問題だと思いがちです。
もちろん、台本の読み方や役の捉え方も大事です。
でも、その前に、見た瞬間や声を聞いた瞬間に受け取られる印象があります。
たとえば、
声が奥にこもっている
口先だけで発音している
顔が動かない
呼吸が浅い
身体が重たく見える
反応が返ってくるまでに時間がかかる
こうした状態があると、本人の中にどれだけ真面目さや熱意があっても、外からは伝わりにくくなります。
すると、演技を見てもらう前の段階で、まだ育っていない感じがする、何か弱い、信じきれない、と受け取られやすくなります。
つまり、素人っぽさとは、演技の中身だけの問題ではなく、表に出てくる回路の詰まり方でもあるのです。
スタート地点に立てないと、損をしてしまいますよね。
ちゃんとやろうとして声を作るほど、不自然さが目立つことがある
ここでよく起きるのが、ちゃんとやろうとして最初に声を作ってしまうことです。
真面目な方ほど、何とかそれっぽく見せようとして、
低く落ち着いた声を出そうとする
感情のある言い方をつけようとする
俳優らしい響きを作ろうとする
こういう方向に行きやすいです。
でも、土台が整っていないまま声だけを作ると、演技そのものより、演じている感じだけが先に目立ちます。
すると何が起きるか。
不自然になる
わざとらしく見える
無理をしているように聞こえる
本人の気配より、作った音だけが前に出る
こうなると、観ている側は物語に入れません。
信じたいのに信じられない。
見ているのに入ってこない。
うまく言えないけれど、何か浮いている。
この状態は珍しくありません。
しかも本人は真面目なので、もっとちゃんとやらなきゃと思って、さらに声を作ってしまう。
その結果、余計に不自然さが増します。
このループを一刻も早く抜け出すことが、成長のため、そして本来大好きだった俳優や歌手、声優やダンサーの仕事を続けていくための秘訣です。
声が出ないのは、気合いが足りないからではない
ここで見落とされやすいのが、声の問題です。
多くの方は、声が出ないと、もっと強く出そう、もっと響かせよう、もっと届かせようと頑張ります。
でも、もともときちんとトレーニングしていなければ、身体も使えないし、呼吸も使いこなせません。
そうすると、当然、声も出にくくなります。
このとき起きているのは、気合い不足ではありません。
構造の問題です。
身体が重い。
呼吸が浅い。
首や顎や舌に余計な力が入る。
口先で何とか発音しようとする。
その結果、言葉が前に出ない。
こういう状態のまま、俳優らしい声だけを作ろうとしても、無理が出ます。
声が通らない方が、先に演技っぽい音を作ろうとすると、かえって不自然さが強く見えるのはそのためです。
これはジャンルを問わず、様々な方が急いでうっかりやってしまうこと。
「良かれと思って」だから厄介なんです。
日常会話ができることと、物語を動かせることは別です
普段、いわゆる日常生活で、「ふつうに会話」できているのだから、台詞もその延長でいけると思っている方もいます。
でも、ここは別物です。
日常会話は、本人同士に意思疎通がなされれば問題なく、場合によっては成立していなくても、相手が補ってくれたり、なんとなく状況から推測しているだけ、でも時間が過ぎていく事はあります。
それこそ、狭い人間関係の中だけで、なんとなく成立しているだけでもある程度は進みます。
多少こもっていても、多少反応が遅くても、意味がわからなくても、相手が文脈を補ってくれます。そもそもそれを要求しない会話な内容も多い。
けれど、演技は違います。
会話として成立することと、物語が動くことは同じではありません。
舞台でも映像でも、台詞はただ口にすればよいものではありません。
相手に届き、状況を変え、関係を動かし、場面の流れを前に進める必要があります。
そのためには、
呼吸が使えること
声が通ること
言葉が届くこと
身体が反応できること
相手への反応が遅れないこと
こうした土台が必要です。
日常の会話が成立していることと、観客やカメラの前で物語を動かせることは、別の話です。
表情の固さと身体の重さは、想像以上に印象を下げる
素人っぽく見えるとき、声ばかりに目が行きがちですが、表情や身体も大きく関わっています。
顔が固い。
目の動きが少ない。
身体が重く見える。
反応が返るまでに時間がかかる。
こうした状態があると、本人の内側では何か感じていても、外に出てくる前に止まってしまいます。
すると、観ている側には、
鈍い
重い
閉じている
今起きていることに乗れていない
という印象が残りやすくなります。
これも、センスがないという話ではありません。
出てくる前に止まる習慣が強いだけです。
だから、そこをほどいていく必要があります。
感情を足す前に、通る状態を作るほうが先です
こういう話をすると、ではもっと感情を入れればいいのか、と考える方もいます。
でも順番が逆です。
最初に必要なのは、感情を増やすことではありません。
役作りを難しくすることでもありません。
先にやるべきなのは、通る状態を作ることです。
声が通る
顔が固まりすぎない
身体が重く見えない
呼吸が止まりすぎない
反応が返ってくる
この状態が少しずつ整ってくるだけで、印象はかなり変わります。
まだ経験が浅くても、見え方は大きく変わります。
逆に、ここを飛ばしたまま芝居だけ何とかしようとすると、真面目な方ほど、頑張っているのに素人っぽさが抜けません。
真面目な人ほど、努力の方向で損をしやすい
特に真面目な俳優や歌手は、この落とし穴にはまりやすいです。
ちゃんとやろうとする。
失礼のないようにしようとする。
浅く見えないようにしようとする。
気持ちを込めようとする。
その結果、最初から整って見せようとして、かえって固まるのです。
でも本当に必要なのは、上手く見せることではありません。
通ること。
反応できること。
相手とのやり取りが起きること。
声と身体と言葉が切れないこと。
ここが育ってくると、演技している感じだけが浮くことが減ってきます。
そして、無理に見せなくても、存在そのものに説得力が出てきます。
ここまでトレーニング、一歩一歩着実に進めていきませんか。
演技クラスで変わるのは、気持ちの量ではなく、演技が動く条件です
ここまで読んで、思い当たることがある方もいるかもしれません。
台本は読んでいる。
気持ちも考えている。
でも、やると重い。
固い。
届かない。
何か素人っぽさが抜けない。
そういうとき、必要なのは気合いの上乗せではありません。
4月の演技の少人数制クラスでは、こうした状態を、ただ感覚で何とかするのではなく、何が止めているのか、どこで反応が途切れているのか、どうすると演技が前に進みやすくなるのかを、実際にやりながら整理していきます。
頭で分かったつもりのまま終わるのではなく、台詞がどう立ち上がるか、相手とのやり取りがどう変わるか、身体がどう邪魔をしているかまで、実践の中で確認できるのが少人数制クラスの強みです。
感情表現の話だけで終わらせず、演技が動く条件そのものを見直したい方には、ここが大きな転機になりやすいです。
もうすぐ締め切り、4月開催のオンラインと少人数制のスタジオでの演技クラスはこちらです。
4月開催|オンライン台本読解+スタジオ演技実践クラス。読んだだけで終わらせない3日間
5月の身体と声のセミプライベートは、素人っぽさの土台を見直す入口になります
一方で、いきなり演技の実践に入る前に、もっと手前の土台を整えたい方もいると思います。
声が出にくい。
呼吸が浅い。
発音がもたつく。
顔や首が固まりやすい。
身体が重く見える。
反応したいのに、身体がついてこない。
こうした悩みが強い方、個人レッスンの前に一度とおっしゃる方には、5月の身体と声のセミプライベートが合っています。
ここでは、俳優らしく見せる、それっぽく聞かせるための小手先ではなく、声、呼吸、身体のつながりを見直しながら、通るための土台を整えていきます。
素人っぽく見える原因が、演技のセンスではなく、身体と声の通りの悪さにある場合、ここを飛ばして先に表現だけ磨こうとしても苦しくなりやすいです。
だからこそ、身体と声のセミプライベートは、ただ楽になるためだけではなく、演技の見え方そのものを変える入口にもなります。
これをきっかけに、「喋るときの感覚が変わった」、「ダメ出しされているときの意味がやっとわかった」、「我流がいかに難しいかがわかった。」とおっしゃる方もいます。
素人っぽさを抜きたいなら、ただ演技力だけを責めないことです
素人っぽさを抜きたいとき、演技論だけを増やしても前に進まないことがあります。
なぜなら、その前に、
声の通り
発音の通り
表情の柔らかさ
身体の軽さ
呼吸の扱い
反応の速さ
こうした土台が影響しているからです。
ここが整っていないと、どれだけ気持ちを考えても、どれだけ台本を読んでも、出てくるものが重く、遅く、固く見えやすい。
逆に言えば、土台の通りが良くなると、芝居の印象はかなり変わります。
だからこそ、素人っぽさを演技力不足の一言で片づけないことが大切です。
せっかく素敵なイメージや面白いアイディアがあっても、それが「聞こえるようにならない」と、他人には伝わらないのです。
頑張っているのに変わらないなら、見る場所を変えた方が早い
長く頑張ってきたのに、なぜか垢抜けない。
真面目に取り組んでいるのに、何かが抜けない。
もっとできるはずなのに、見え方が変わらない。
そう感じているなら、感情や解釈の前に、声、顔、身体、呼吸、反応の通り方を見直した方が早いことがあります。
素人っぽさは、才能がないという宣告ではありません。
多くの場合は、整える順番が違っていただけです。
最初に声を作ってごまかすのではなく、通る身体、通る呼吸、通る言葉、通る反応を育てていく。
そこから始めると、演じている感じだけが浮く状態は減っていきます。
そして、その先で台本読解や実践がつながってくると、まだ経験が浅くても、印象は確実に変わっていきます。
気になる方へ
もし、
頑張っているのに素人っぽさが抜けない
声を作ってしまって余計に不自然になる
表情や身体が固く見える
日常会話はできるのに、台詞になると信じられなくなる
そんな悩みがあるなら、演技だけを責める前に、土台の通り方を一度見直してみてください。
演技の中で何が止まっているのかを実践しながら見直したい方は、4月の演技の少人数制クラスへ。
声、呼吸、身体のつながりから整えたい方は、5月の身体と声のセミプライベートへ。
個別にじっくり見直したい方は、個人レッスンでも対応しています。
感情を足す前に、通る回路を整えたい方。
頑張っているのに見え方が変わらない方。
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こちらからのトークのスタートはできませんので、一言ご挨拶かスタンプお願いします。
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この記事を書いた、講師プロフィール 鍬田かおる
指導歴20年以上。桐朋学園芸術短期大学演劇科、新国立劇場演劇研修所・オペラ研修所、劇団青年座研究所などで長年指導。
ロンドン大学ゴールドスミス校卒。Royal Central School of Speech and Drama 修士課程ムーヴメント科修了。
イギリスSTAT認定アレクサンダー・テクニーク教師。日本演出者協会会員。
俳優や歌手の技術と身体の理解を統合し、現場で使える“交流のある演技”へ導く専門家。大学や映画スクールの講師を務める傍ら、個人レッスンで一人ひとりの強みを伸ばし、基礎力からアップさせる本格的なプロのトレーニングを中心に活動しています。
小学生から中堅、そして芸能の舞台や映像で活躍する俳優や歌手の方のアクティングコーチであるだけでなく、プロを目指す若手の育成も務める。
IDC認定インティマシー・コーディネータ(ディレクター)として映画や舞台の現場も入ります。
これまで触れてきた演技のなんとかメソッドや、〇〇式に疑問を抱かれた方へ
あなたの違和感は、もしかすると「役」にとってのリアリティーではなかったからかもしれません。
また文化的にも、ヨーロッパで過ごした20代がある私、そしてバイリンガルである私が言うのもなんですが、日本を中心に活躍してらっしゃる方、日本語を母国語として多くの時間を過ごしてる方に向き不向きという傾向はある気がいたします。
物語、演技と言うものが、文化に根ざしている以上、やはり言語の壁もあり、また生活様式や基本的なコミュニケーションのスタイルが大きな誤解をむこともございます。これはクラシックバレエやオペラの輸入、様々な業種での変遷を見ても、お分かりいただける課題だと思います。。
不可思議な単発ワークショップやらの誇大広告に疑問を持たれた方、なんちゃらメソッドばかりのプロモーションに違和感を持たれた方、ご自分のせいだと責めないでくださいね。
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頑張るほど演技が固くなる人へ|声・身体・感覚を変えるために最初に見直したいこと
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演技コーチ/ムーヴメント指導・演出・振付/IDC認定インティマシーディレクター/STAT認定アレクサンダー・テクニーク指導者/スピーチ&プレゼンテーションコーチングActing Coach/Movement Direction/IDC qualified Intimacy Director/STAT certified Alexander Technique teacher, mSTAT, Movement Teaching/Speech and Presentation Coaching




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