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演技が毎回同じになる理由|「リアル」と「リアリティ」の決定的な違いとは?

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リアルとリアリティーを勘違いしないための解説

最近は、監督や脚本の方とのお話もありがたく、嬉しい春の演技コーチ 鍬田かおるです。

そして、話題になるのが、リアルとリアリティーを勘違いしているという部分。

ちまたに出回っているような都市伝説を、もしかすると、信じてしまっている方もいらっしゃるのかもしれません。

それこそ、健康を害さないためにも、

そして息の長い活動を続けるためにも、はっきりと違いを理解しておくことが重要だと感じます。

 

頑張っているのに、なぜか毎回“ほぼ同じ”になる俳優へ

努力している。
準備もしている。
感情も動かしている。

レベルやジャンルはさておき、皆さんそのようにおっしゃいます。

それなのに、

「なんか毎回似ている」
「前と同じ印象」
「深いけど、広がらない」

そんな評価や感覚が続いていませんか。

これは単なる才能不足ではありません。
ただ1000本のノックで解決する技術不足でもありません。

原因は、もっと根深いところにあります。

技術の問題ではなく「材料」の問題

一生懸命なのに、伸び悩む俳優や歌手の多くは、

役の欲求ではなく
自分のフラストレーションを使って演じていることも。

もちろん人間ですので、身体の状態が影響する事は皆さんもご存知でしょう。

しかし、

怒りの場面で、つい自分の怒りを使う。
悲しみの場面で、処理されていない(プロの世界では7年、8年以上経たないと個人的な記憶は使えないと言われております)自分の喪失感を使う。


強さを出す場面で、自分のその時気にかかっているプライドを使う。

その瞬間は、確かに“深くやっている感覚”があります。

でも結果はこうなります。

・強さの出方がいつも似る
・怒りの質がずっと同じ
・悲しみがどうにもその作品の文脈に合わない
・いま、ここ、での関係性が薄い

なぜなら、材料が毎回ただただ「自分」だからです。

名作であればあるほど、台本が優れていればいるほど、顕著になります。

違和感の正体

違和感の正体はこれです。

役に向かっていない。
自分の内側に向かっている。

しかも、自分の内側に向きすぎている時「手ごたえがある」と勘違いしている方もいるので厄介です。

しかも、それを助長させる監督や演出家がいる。

非常に危険です。

その結果、残念ながら、実は、

会話が成立しない。
相手に反応していない。
台本上の関係が育たない。

演技が“自己表現”になっている。

だから、行き詰まるのです。

なぜなら、フィクションの世界の枠組みは、俳優や歌手を守り、役という他人が介在するからこそ、現実の世界や、日常のこれまでの記憶を超えて、膨らませることができるから。

そして、ここが最も繊細な領域。

・評価されない焦り、フラストレーショントレー
・自分の人生への鬱屈、不満や不平
・無意識の特権意識や倫理観と現実のズレ

それらを無意識に混ぜている可能性がある。

だから手放せない。
だから変われない。

怖い領域です。

でも、ここを整理しない限り、演技は突き抜けません。

また、この扱いがわかっていない人同士で、個人的な事情を掘ることを、自己の内面へ向かうことと勘違いしていると、精神的にも難しい穴にはまることが多い。

(私のイギリスやアメリカの先生などは、ご自身のセラピーやカウンセリングは別で専門家とやってくださいといつも言ってます。私もその通りだと考えます。)

「リアル」ではなく「リアリティ」を目指す

ここで、はっきりさせたいことがあります。

私が目指しているのは、
ホームビデオのようなリアルではありません。

ただカメラを回しっぱなしにしたような生々しさ。
ひたすら日常の切り取りのような自然さ。

(そういう演出をあえてすることは別ですね。)

ホームビデオ的なリアル。ただ現実の切り取り。ありのまま。

それを目標にすると、
演技はすぐにどんどん自己満足に戻ります。

多くの作品で要求されていること、

そして、現代の演技で、私たちが向かっているのは、

リアリティーではないでしょうか。

つまり、

・説得力がある
・信じられる
・共感できる(場合によっては反感を通じて問題提起)
・つい一緒に笑いたくなる
・息を止めたくなる、ふと、涙が一緒にこぼれる…
・ときに疑問を呈したくなる

観客が能動的に関わりたくなる状態。

つい注意が向く、疑似体験が始まる。

それがリアリティです。

フィクションと分かっていても、

「まるであるかのように」です。

リアルは偶然、リアリティは設計

リアルは偶然、結果もわからない形で、生まれます。
リアリティは設計して、結果がある程度定まっているところから生み出します。

(創作のプロセスで積み上がることも多いです。しかしノープランではない。)

リアルを目指すと「自然にやろう」とします。
リアリティを目指すと「何が伝わるか」を考えます。

リアルは自分中心。
リアリティは関係性と構造が中心。

だから私は、俳優や歌手自身が、ただ興奮して騒いだり、ひたすら感情を強く出すような練習はしません。

そもそも、他人を理解しようと努めるプロセスですから。

実際にやっているのは、

・台本の読解ー役の欲求の明確化
・演じるための状況の具体化、「自分ごと」での想像の扱い
・変化を生み出すための関係性・文脈の整理
・シーン、特にピークを含めた構造の設計
・身体と声での再現の可能性、調節力のトレーニング

です。

再現できる説得力。同じ目標を(ほぼ)通過しながら、

定まった目的に向かう「操縦」です。

これは単なる小手先の技術論ではなく、想像力や同調のスキルといった実現可能な身体を伴った、ダンスや音楽と同類の練習であり、身体と理解のトレーニングです。

ここが、現場で信頼される俳優の条件です。

(無意識でやってる方も多いです、だから気づかない一般の方も多いかも)

なぜ努力しても変わらないのか

自分の内面にばかり向いてしまっている方でも、

もちろん、悪気はなく、ご本人は本気です。
我慢していたり、苦しかったりするので、ご本人は深くやっている感覚があります。

でもね、泣いてる時でもそれはご自身の鬱積したフラストレーション。

「ヘカベのため」ではないんです。(ハムレット曰く、ですね)

そしてこの違いは観察可能です。(バレてます)

誤解されてる方がいまだに多いですが、

問題は感情の量や強さではありません。
向いている方向と深さです。

演技は、やたら自分を出すことではありません。

自分を「まるごとつかう」こと。

つかう対象は「役という他人」、作品世界でつかいこなす、ということです。

役の欲求を立ち上げ、
相手との関係の中、設定された時間や場所で、

(役の代わりに/役のために)行動を選ぶことです。

方向が変わると、
同じ台本でも、立ち上がるものが変わります。

チェックしてみてくださいね。

クラスで扱っていること

私のクラスやレッスンでは、

・自分の感情にやたら寄りかからない
・役の欲求や願望を言語化する
・相手との会話を成立させる(成立させられれば、わざと成立させない演出も可能です)
・調節しやすいー演出を受けやすい身体と声を磨く
・再現可能、興奮に頼らない演技を組み立てる

この作業を中心に進めています。

短期的な「うまくできた感」ではなく、

長期的に積み上がる技術。

本番で繰り返せる土台。

それを作ります。

私のクラスが、キャスティングや単発の体験を主眼に置いたワークショップでないのはそのためです。

もし今、こんな感覚があるなら

・何年もやっているのに印象が変わらない
・オーディションで「悪くない」と言われ続けている
・自分では深いつもりなのに、評価が伸びない
・本番で固まる、または力みすぎる

たんなる努力の量ではなく、
努力の方向を見直すタイミングかもしれません。

このまま続けますか、それとも設計し直しますか

ご自分の感情を材料にし続ける演技は、
ある段階までは通用します。

でも、その先は伸びません。

これまで20年間、私も、イギリス、アメリカでも教えるためのスキルを磨き、様々なバックグラウンドのプロフェッショナルとブラッシュアップしてきましたが、

「かさぶたをわざわざ自分でほじくる」

そんなようなアプローチは、ズレてると感じます。

リアルにこだわるのか。
リアリティへ向けて進むのか。

選択で未来は変わります。

私のクラスは少人数制です。
かさぶたをほじるような事は無いですが、自己洞察は役のために行います。何より、プロセスを興奮で隠すのではなく、後で振り返れれるよう、監督や演出家の方と話が通じるよう、ていねいに扱います。

本気で変わりたい方だけ、来てください。

今の延長線を選ぶか。
それとも、一段上の構造に移るか。

選ぶのは、あなたです。

3月は課題や切り口を変えたクラスを用意しました。

【東京】演じるための台本読解と演技クラス|役の核心をつかみ実践までつなげる3月トレーニング

特に、3月20日(金祝)のセミプライベートレッスンは、身体と声をもっとつかいこなして演技や歌につなげたい方、

声の響きを改善したい、動きのスムーズさ、もっと感覚を研ぎすませたい俳優や歌手、ダンサーの方の入り口にもお勧めです。

セリフなどの代わりに、ご自身の身体と声を使うためのイントロダクションを行います。

3月はこの1日だけですので、ご希望の方はお早めにご連絡ください。

身体と声のセミプライベートレッスンの詳細はこちらです。

俳優トレーニング|少人数制セミプライベート身体と声クラス【東京・3月20日】

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