1月のモノローグを使った少人数制の演技クラスにご参加くださった皆様ありがとうございました。
季節柄、インフルエンザやノロウィルス、またそういった不良の感染症や不調で難しい場面ありますよね。
今回ご参加できなかった方は、また2月の読解や演技クラス及び3月のクラスを使ってください。
さて、本日は、私もし勘違いしていた演技の仕組みとその落とし穴です。
これは、私だけの特殊な考えではなく、映画やテレビ、舞台など、幅広く演出やアクティングコーチとして活躍する私の先生方も、アメリカでもイギリスでも、整理している重要な点です。
演技が止まるときに起きている、よくある順番の誤解
演技がうまくいかないとき、
多くの俳優や歌手の方がこんな戸惑いを口にします。
気持ちが湧いてこない
衝動が生まれない
どう動けばいいのかわからない
まだつかめてない…
そして次に、
「まだ準備が足りないのかもしれない」
「もう少し考えてから動こう」
「もうちょっとどうしたらいいのか教えてくれれば(と監督や演出家や周囲に)」
と、止まってしまう。
これは、単純な才能や1人でどうにかなるお気持ち、また意欲の問題ではありません。
演技の順番に対する、よくある誤解です。
それなのに、多くの方は、自分の気持ちが足りない、熱意が足りない、もっと気合を入れなければとどんどん自分を追い込んでいきます。
これ、真面目な方ほど多い。
本当にもったいないです。
そして、苦しくなってしまうことも…
多くの方が思い込んでいる演技の順番
残念ながら、長年、多くの現場や教育の中で、また翻訳のズレもあり、
暗黙の前提として共有されて来ていた考え方があります。
状況が把握できる
↓
気持ちがわかる
↓
衝動が生まれて、実感できる
↓
セリフを言う
↓
もっと感じる
この順番で演技が立ち上がる、という考え方です。
そのため、
気持ちが湧かない
感情がつかめない
自分がその感覚をあんまり感じられていない、
という状態になると、
「まだ演技に入れていない」と感じてしまう。
ですが、これは実際の演技の仕組みとは一致していません。
実際の演技は、気持ちから始まらない
演技は、まず
・自分が誰で
・今どこにいて
・なぜここにいて
・何を求め
・どこに向かっているのか
という「目的・目標」と「関係性及び文脈」から始まります。
この前提が定まることで、先に身体が決まる。
身体が決まるから、
呼吸が変わり、視線が変わり
行動の方向が生まれる。
気持ちは、その途中で立ち上がってきます。
つまり、実際の順番はこうです。
空間(いつなのか・どこなのか・誰なのか)の設定と想像
身体が決まる
↓
目的と目標の設定と変化
↓
一連の行動と相手への働きかけ
↓
感じる・言葉が必要になる
↓
その途中でセリフが出てくる
気持ちは、スタート地点ではありません。
変化の途中に現れるものです。
しかも、フィクションの世界ですから、ある程度の展開、おおよそのいわゆる結末は定まっているわけです。
なぜ「外からのきっかけ」に反射してしまうのか
この順番が整理されていないと、
演技はどうしても外部刺激に引っ張られます。
照明の変化
音響
相手の強いセリフ
ダメ出し
それらが、そのまま「きっかけ」になり、
反射的に動いてしまう。
これが、いわゆる「段取り」になってるんです。
きっかけ自体は必要です。
しかし、それを自分の中を通さずに反応している状態は、
演じているとは言えません。
例えば、段取りとしては「Aさんが本を本棚に戻したら」と「そして扉の照明が明るくなったら」
なのですが、そこでそのまま
「本棚に戻ったな」「照明ついたな」から急に逆の人物として行動起こして、喋る事は難しい。
そこに必ずワンクッション
「本人としての意味付け」
つまり、何らかの具体的かつ身体的な変化が必要なんです。
ここを飛ばしている方が非常に多い。
(無意識の方も多いと思います…また演出家や監督にこれを指示してほしいと言う方も…)
演技に必要なのは「一度、自分を通す」こと
重要なのは、
それらの半ば、事務的な、もしくはいわゆる「段取りとしてのきっかけ」を受け取ったときに、
そのまま反射するのではなく
一度、自分の中で解釈し、意味づけし
自分の行動として選び直すこと。
ここが仕事の腕の見せ所。
このプロセスを通すことで、(言葉として語弊はありますが)
身体にスイッチが入ります。
呼吸が変わり、目が変わり
次の行動が俳優としての「条件反射」ではなく
その世界での役自身の選択になる。
このとき初めて、
演技に実感が生まれ、動いていけます。
だからこそ、感覚も変わり、見えるものを聞こえるものからどんどん感じていけるんです。
この順番、より現実の私たちに近いと思いませんか?
「気持ちが湧いてこない」は異常ではない
また、かつての私もいつも悩んでぐるぐるしていたのですが、
気持ちが先に湧いてこない状態を、
問題だと感じる必要はありません。
多くの場合、
身体が動いたあとに感覚が追いついてくる。
行動したからこそ、
これは違う
これは欲しい
という判断が明確になる。
気持ちは、待って完成するものではなく、
動きながら育っていくものです。
フィクションの世界なら、なおさら。
だって先にもうバスの行き先とバス停はわかっているんですから。
不安とワクワクが同時に来るとき
少し先が見え始めたとき、
落ち着かない感覚が生まれることがあります。
スリリングで、少し楽しくて、
同時に怖さもある。
緊張って、ワクワクとすごく似ています。
この揺れは、
何も起きていないときには生まれません。
動いているから揺れる。
進んでいるから、不安とドキドキが一緒に来る。
これは、止まっている証拠ではなく、
変化が始まっているサインです。
これを自分が安定していないせい、まとまっていないせいというふうに責めないでくださいね。
身体を先に通す経験が、判断を変える
演技においても、
現実の選択においても、ただただ
考え続けるだけでは順番は入れ替わりません。
一度、身体を通す。
一度、行動として体験する。
その経験が、
判断を変え
呼吸を変え
声を変え
演技を変えていきます。
クラス・レッスンについて
私が行っているクラスや個人レッスンでは、見本を見せたり
正解を教えることを目的にしていません。
なぜなら、ご自身が実際にできるようになる、繰り返せるようになることが1番大事だからです。
演技の仕組みを整理し、身体を先に通す経験を重ねることで、
自分で判断できる状態をつくることを重視しています。
俳優・歌手・ダンサーの方はもちろん、
表現指導や育成に関わる立場の方からの
ご相談やご依頼もお受けしています。
今のやり方を続けるか。
一度、仕組みから整理し直すか。
その選択を考える材料として、
この記事が役に立てば幸いです。
他にもこのような記事を書いております、参考になりましたら嬉しいです。
演技が浅いと言われる理由|枝葉ではなく「役のコア」から整える台本読解

演技コーチ/ムーヴメント指導・演出・振付/IDC認定インティマシーディレクター/STAT認定アレクサンダー・テクニーク指導者/スピーチ&プレゼンテーションコーチングActing Coach/Movement Direction/IDC qualified Intimacy Director/STAT certified Alexander Technique teacher, mSTAT, Movement Teaching/Speech and Presentation Coaching




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