新しいことを始めたい、そんな時に、ふと思い出して欲しい、足し算と引き算の話です。
これ、レベルアップに必須なので、忘れないようにしてください。
頑張っているのに、なぜか変わらない。
演技も、声も、身体の使い方も、真面目に取り組んでいる。
それなのに、思ったほど伸びない。
むしろ、頑張るほど固くなる。
そんな経験がある俳優や歌手は、少なくありません。
もっと届く声にしたい。
もっと自然に動きたい。
もっと感覚を磨きたい。
もっと集中したい。
もっと本番に強くなりたい。
そう思って努力しているのに、なぜか身体が重くなる。
喉が詰まる。
呼吸が浅くなる。
顔が固まる。
相手が見えなくなる。
気持ちはあるのに、伝わりにくくなる。
こういうとき、多くの方は、自分に何かが足りないと思います。
私自身、10代の頃でも、なんとなく疲れていて、ことあるごとに、いろんな治療やトレーニングに通っていた記憶です。
でも実際には、足りないのではなく、足しすぎていること、ここにも盲点がありました。
頑張るほど固くなるのは、珍しいことではありません
演技や歌の現場では、よくこういう方向に進みます。
もっと声を出そう。
もっと感情を出そう。
もっと集中しよう。
もっと良く見せよう。
もっと伝えよう。
もちろん、その気持ち自体は悪くありません。
真剣だからこそ、そう考えるのは自然です。
ただ、その瞬間に身体の中で起きていることは、別です。
声を出そうとして、喉を押す。
響かせようとして、首や胸を固める。
集中しようとして、全身を狭くする。
自然に見せようとして、表情を作りすぎる。
ちゃんとやろうとして、呼吸を止める。
すると、本人の中では一生懸命やっているのに、見ている側にはこう映ることがあります。
頑張っているのはわかる。
でも届かない。
整っているようで、響かない。
気持ちはあるのに、なぜか浅く見える。
これは、努力不足ではありません。
むしろ、努力の方向が少しずれているだけです。
ここが修正できると、スムーズに進むことも多いです。
声も演技も、部分だけ直しても変わりにくい
身体と声の悩みが長引く方に多いのが、部分だけ何とかしようとする考え方です。
喉だけ直したい。
姿勢だけ良くしたい。
表情だけ柔らかくしたい。
呼吸だけ深くしたい。
口の開け方だけ変えたい。
もちろん、課題としてはそう見えることがあります。
でも実際には、身体は全部つながっています。
こうやって文字にすると当たり前ですが、なかなか実感がない方も。
私自身、イギリスに行って、専門のトレーニングもスタートしましたが、自分の体験と知識を結びつくのに何年もかかりました。
喉の詰まりは、首や背中や脚の使い方と関係していることがあります。
声の響きにくさは、胸や呼吸だけでなく、全身のつながりと関係していることがあります。
表情の固さは、顔だけの問題ではなく、相手に向かう前の構えや緊張とつながっていることがあります。
一部分だけを無理に変えようとすると、別のところに無理が出ます。
その場では少し良く見えても、続かなかったり、再現しにくかったり、本番で崩れたりしやすいのです。
だからこそ必要なのは、部分修正より先に、全体のつながりを見直すことです。
遠回りのようで、実は近道なんです。
変化を早くしたいなら、まず邪魔を減らす
本当に変わりやすい方には、ある共通点があります。
何かを上に足していく前に、今の自分の中で何が邪魔になっているかを見直していることです。
無理に押し出していないか。
急いで結果を出そうとしていないか。
必要以上に固めていないか。
頑張る方向が狭くなっていないか。
ここを見直せると、変化のスピードが上がります。
声の響きが変わる。
身体の軽さが変わる。
感覚の細かさが戻る。
集中が深くなる。
姿勢が整いやすくなる。
本番でも崩れにくくなる。
これは、何か特別なことを無理につくるからではありません。
なにより「既にやっていること」が減るので、余白が生まれます。
感覚を磨きたい人ほど、頑張り方を見直したほうがいい
感覚を磨きたい。
もっと細かく反応できるようになりたい。
役に必要な想像力をもっと使えるようになりたい。
そう思っている方ほど、力で何とかしようとしないことが大切です。
感覚は、押して作るものではありません。
狭くなった身体のままでは、細かい違いを感じ取りにくくなります。
たとえば、相手のセリフを聞いたとき。
空間の変化を受け取るとき。
役の状況を想像するとき。
自分の中に起きた反応に気づくとき。
こうしたことは、身体に少し余白があるほうが、ずっと起きやすいのです。
いつも頑張って詰めてしまう方は、感覚を磨こうとしているつもりで、逆に鈍らせていることがあります。
だから、感覚を良くしたいなら、まず余計な力みや急ぎすぎを減らす。
ここがとても重要です。
自分自身がガヤガヤうるさいときに、音楽を聴き取ろうと頑張らないってことです。
身体が軽くなると、集中力も変わります
集中力というと、気合いや根性の問題のように思われがちです。
でも実際には、身体の状態と深く関係しています。
首や肩がいつも固い。
呼吸が浅い。
顔が働きすぎる。
脚で支えきれず、上半身で頑張る。
こういう状態では、集中しようとしても持ちにくいです。
反対に、身体の余計な緊張が減ると、集中は保ちやすくなります。
必要以上に消耗しない。
反応が遅れにくい。
自分の感覚を見失いにくい。
相手にも向かいやすい。
途中で散りにくい。
これは、演技でも歌でも大きな違いになります。
集中力を高めたい方に必要なのは、もっと頑張ることではなく、頑張りすぎなくても集中できる身体の条件を整えることです。
姿勢は、正しそうに見せることではありません
姿勢も、誤解されやすいところです。
背筋を伸ばす。
胸を張る。
顎を引く。
お腹に力を入れる。
そうした形だけで何とかしようとすると、かえって苦しくなります。
声も動きも自由が減りやすくなります。
姿勢は、見た目だけを整えることではありません。
呼吸しやすく、動きやすく、反応しやすい全体の状態に近づいていくことです。
その結果として、立ち姿が変わる。
座り方が変わる。
声の出方が変わる。
疲れ方も変わる。
だから、姿勢を良くしたい方ほど、形を作るより、まず身体全体の無理を減らしたほうがいいのです。
上がりやすい人にも、この見直しは役立ちます
本番やオーディションになると固まってしまう。
緊張すると、声が上ずる。
頭が真っ白になる。
いつもの感じが出ない。
こうした悩みも、ただ精神力の問題として片づけないほうがいいです。
緊張そのものをゼロにすることはできなくても、緊張したときに何を足してしまうかは見直せます。
息を止める。
肩を上げる。
首を固める。
急いで何とかしようとする。
顔で頑張る。
この反応が強いほど、上がりやすさは増します。
逆に、緊張したときでも、自分が何をしやすいかに気づけると、本番での崩れ方は変わります。
それだけでも、かなり大きな前進です。
上がりに勝ちたい方に必要なのは、もっと気合いを入れることではなく、緊張時に、
自分をつぶしにくくすることです。
全く緊張しない状況というのは難しいので、
「多少緊張したとしても」、何とかなるレベルを底上げするということです。
私が大事にしているのは、何かを足す前に整えることです
私は長年、身体と声、演技、感覚のつながりを見てきました。
その中で強く感じているのは、真面目な方ほど、良くなろうとして足しすぎるということです。
もっとやろう。
もっと出そう。
もっと変えよう。
もっと正しくしよう。
その結果、せっかく持っている可能性が使いにくくなってしまう。
だから私は、何かを足す前に、まず整えることを大事にしています。
余計な頑張りを減らす。
固めている場所に気づく。
部分ではなく全体のつながりを見る。
反応しやすい身体に近づける。
必要なときに使える余地を残す。
こうした見方は、私が長年学び教えてきたアレクサンダー・テクニークの視点とも深く関わっています。
ただ、ここで大事なのはテクニックそのものではありません。
大事なのは、演技や歌やダンス、表現の現場で、実際に何が変わるか、どう使いこなしていくかです。
変わりたいなら、足りないものより、足しているものを疑ってみる
変わりたい。
もっと伸びたい。
もっと届くようになりたい。
そう思っているなら、一度だけ視点を変えてみてください。
自分に何が足りないか。
ではなく、
自分は何を足してしまっているか。
余計に固めていないか。
急いで結果を出そうとしていないか。
声を出そうとして押していないか。
集中しようとして狭くなっていないか。
姿勢を良くしようとして苦しくなっていないか。
ここを見直せると、身体も声も感覚も、思っている以上に変わり始めます。
身体と声のセミプライベートで見ていること
私の個人レッスン、そして身体と声のセミプライベートレッスンでは、こうした視点を土台にしています。
もっと頑張る方法を増やすというより、
何が邪魔をしているのかを見て、
減らせるものを減らし、
使える身体と声を取り戻していくこと。
声の響き。
身体の軽さ。
呼吸のしやすさ。
姿勢の変化。
感覚の細やかさ。
集中のしやすさ。
本番で崩れにくい土台。
そうしたことを、少人数だからこそ、一つずつ丁寧に確認できます。
頑張っているのに変わらない。
もっと良くしたいのに、なぜか固くなる。
そんな方ほど、足りないものを足す前に、今の自分を邪魔しているものを見直してみてください。
そこから、変化はかなり早くなります。
演技コーチ 鍬田かおる
演技指導歴20年以上。
英国留学中にアレクサンダー・テクニーク指導資格を取得。ロンドン大学・演劇学校・大学院を経て、20代から、各種養成所や研修所などで指導活動スタート。俳優、歌手、声楽家、ダンサーへの指導を中心に、映画・舞台・映像現場で活動する実演家のコーチを務める。
たんなる感情論や1つのメソッドではなく、幅広い知見に支えられた、多角的な視点を用いて、構造と身体から整える指導と、お一人お一人の現場に備えるコーチングを行っています。
詳しいプロフィールはHPをご覧ください。
4月開催の身体とこのセミプライベートレッスンはこちらです。
表情が変わりにくいのは、顔のせいではないかもしれません|4月18日 身体と声のセミプライベート
お申し込み・お問い合わせ
身体と声のセミ、プライベートレッスンのほか、オンラインでの台本読解クラス、演技のスタジオ実践、また歌手や俳優の方の個人レッスンのご相談は下記フォームより承ります。
次回案内をご希望の方は公式LINEへご登録ください。
月1回程度のご案内のみです。
📩 次回優先案内
https://lin.ee/2HZK7jV
こちらからのトークのスタートはできませんので、一言ご挨拶かスタンプをお願いします。
公式LINEからのお知らせの一斉送信は月に1回程度、 多くて2回程度です、ご安心ください。
他にもこのような記事を更新しています。お役に立てれば幸いです。
感じているのに伝わらない俳優へ|感情表現が深まらない本当の理由
クラスのキャンセルポリシーにつきましては、こちらをご確認ください。
https://kaorukuwata.com/class-cancellation-policy/

演技コーチ/ムーヴメント指導・演出・振付/IDC認定インティマシーディレクター/STAT認定アレクサンダー・テクニーク指導者/スピーチ&プレゼンテーションコーチングActing Coach/Movement Direction/IDC qualified Intimacy Director/STAT certified Alexander Technique teacher, mSTAT, Movement Teaching/Speech and Presentation Coaching




コメントを残す
コメントを投稿するにはログインしてください。