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セリフを言わない演技へ|「喋っている」状態が立ち上がる順番の話

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セリフをいっている限り演技は白々しいままです。

おかげさまで2025年も多くの方々に支えられ、私自身もアップデートしながら、指導の活動及びインティマシーコーディネーター(ディレクター)として現場に携わることもできて大変光栄でした。

年末は通常以上に、オンライン及び少人数制のスタジオでの実践クラスを展開しております、指導歴20年+演技コーチの鍬田かおるです。

さて、本日は、前から気になっていたこの大いなる勘違い、そして、ついつまずきがちなセリフとの関係についてです。

 

セリフを言わないで、私たちは「喋っている」

「セリフは入っているはずなのに、なぜか届かない」
「きちんと準備しているのに、芝居が止まってしまう」

経験を重ねてきた俳優や歌手ほど、一生懸命なのに、
こうした違和感にぶつかることがあります。

今日は、その原因を単なる技術論でも精神論でもなく、
順番という視点から整理してみたいと思います。

 

私たちは日常で「セリフ」を言っていない

少し立ち止まって考えてみてください。

日常生活の中で私たちは
誰かが書いた文章を覚えて、それを再生するように
会話をしているでしょうか。

ほとんどの場合、

・その場で見たもの
・聞いた言葉
・相手の反応
・自分の中に起きた感覚

そうしたものへの反射として
「必要になった言葉」が選ばれ、口から出ています。

演技だけが、
この日常の構造から切り離されているはずはありません。

現実の生活で、セリフを言うなんて、よっぽどですよね、それこそ結婚式のスピーチとか、何か頼まれたとき…

 

「思い出して言う」癖が、表現を止めてしまう

多くの現場や稽古場で見かけるのは、残念ながら
次のような状態です。

・セリフを思い出すことに意識が向いている

場合によっては、台本のページをめくっている様子が買い間見える時があります。


・正しい言い方、間、抑揚を先に探している

この探っている感じ、正解探しのような、ウロウロしている感じ、伝わっています。


・言葉を出してから、気持ちを追いかけている

順番が全くなっていて、作家が書いてくれた「言葉のおかげで」ようやく後から気持ちがついてくるという間逆の順番になってなっています。

これ、人間はやはり異常事態を察知する動物ですので、違和感があります。

 

つまり、このような状態が起きているのは、
言葉が原因になってしまっているからです。

やる気や気持ちの問題だけじゃないんです。

けれど本来は、

感じる
想像が動く
状況を受け取る
言葉が必要になる
結果としてセリフが出てくる

この順番です。

しかも、これが何重にもなって、ぐるぐるしてるんですね。因果関係でもあり、相関関係でもある。

それなのに、突然、既に台本に書かれているからと、一気に順番が逆転すると、
どれだけ感情を足そうとしても、表面上は工夫しているふうに聞こえても
どれだけ丁寧にセリフを扱っても、それは「厳かで」「大切そうだから」であって、それこそまさに、演技はどこか「やっている感じ」から抜けられません。

こういった違和感に、お客様として、映像や舞台の作品で気づいた方も多いのではないでしょうか?

 

セリフは「気持ちをつかむための道具」ではない

「セリフを言っているうちに、気持ちがつかめてくる」
そう感じた経験がある方もいるかもしれません。

ただ、それは
セリフそのものが気持ちを生んだのではなく、
すでに内側で想像や反応が動いていた可能性が高いのです。

もちろん、日常の世界でも、喋ってるうちに、興奮していく、言葉に出してしまったが故に、決心が固まっていく、ついつい言うつもりのなかったことまで言ってしまった、ということもあるでしょう。

しかし、それも、初動ではなかったのです。

ドラマや戯曲の中では、

・本心をそのまま言っている場合
・言葉で何かを隠している場合
・相手を操作するために選ばれている場合

同じセリフでも、役割はまったく違います。

つまりセリフは
感情や状況の原因ではなく、結果の一部です

ここを理解できると
「どう言うか」よりも先に
「なぜ今、その言葉が必要なのか」へ
視点が自然に移っていきます。

 

「セリフありき」から抜けると、相手との関係が動き出す

順番が整理されると、準備の順番も変わりますので、あっという間に演技の質は、驚くほど変わります。

・自分の中の意識や感情の変化といった「流れ」が止まらない

・役の人物として、目的の推進力が高まる
・相手の変化を受け取れる、と同時に自分も相手に影響与えていける
・予定調和にならない、マークは、外さないが、何度も通過できる

結果として、いわゆる舞台やカメラの前での「余裕」が生まれます。

これを、遊び心とか即興に生かすという場面もあると思います。

これは、頑張って
感情を大きく出したからでも、たくさんできんだからでも、それこそこ
集中力を無理に高めたからでもありません。

構造が整っただけです。

この構造を整えるプロセスが、突き抜ける秘訣になっています。

私自身、このいわば土台を整える部分に気づくまで何年もかかりました。

もちろん、環境や運もあったと思うのですが、周りの方が教えてくれていなかったというような他責でなく、私自身が当時はまだ、よく見えておらず、また聞いていたとしても、内容をきちんと受け取れなかったんだと思います。

 

「自然にやろう」と言われるほど苦しくなる理由

「もっと自然に」
「考えすぎないで」

「そんなに硬くならなくていいんだよ。」

「普通にやればいいんだよ。」

そう言われて、かえって不自然になる方は少なくありません。

ぐるぐるしますよね

「普通って…何?」

「いや、自然にやったつもりなんですけど…?」

そうなんです。

そういう時、おそらく、多くの場面では、
あなたのやり方が間違っているのではなく、
身体と声の準備が整っていないまま、そして仕組みの順番がおかしいまま、
今すぐ、結果だけを求められているからです。

例えば、身体が固まったまま、
呼吸が浅いまま、自分の構えを手放さないまま…
つい声の通り道が閉じたまま、でも一生懸命にやろうと「アイドリング」だけはしている…

その状態で、当事者として、また外から見たときに「伝わる形で」
「喋る」ことはできません。

 

身体と声が整うと、「喋る」状態が立ち上がる

1月12日(月・祝)13:00-15:451に行う
身体と声のセミプライベートレッスンでは、

・余計な力を抜くことで、声が自然に通る状態
・感情を出そうとしなくても、反応が起きる身体
・セリフを言いにいかないための準備

を、実際に身体を使って確認していきます。

ここで扱うのは表現以前の土台です。

この土台が整うと、
「喋ろう」としなくても
言葉が必要になって出てくる感覚が戻ってきます。

力んで何か伝えようとか、なんだかありえないと頭でわかっているのに、正解を探してしまうとか…

思うように、息が前に流れない、声の響きに納得していない…

そんな方のプラスになる時間を用意しています。

1月12日月曜祝日13時から15時45分のセミプライベートレッスンの詳細はこちらです

1月は身体と声|伝わらない原因を整え、現場で扱える表現に変える時間

 

「自分事で喋る」ために必要なのは、才能ではない

1月末に開催予定の
自分事で喋るモノログクラスでは、

・一人芝居
・モノローグ
・語りが中心のシーン

に苦手意識を持つ方が、
なぜ言葉から離れてしまうのかを整理します。

感情を盛る練習はしません。
うまく言う練習もしません。

・何を受け取っているのか
・何に反応しているのか
・なぜ、その言葉が必要になったのか

この構造が見えると、
モノローグは「一人で頑張る芝居」ではなくなります。

 

プロフィール

鍬田かおる

演技コーチ/インティマシー・コーディネーター(ディレクター)
演技指導歴20年以上。プロ俳優・歌手・ダンサーを中心に、感情と身体のつながりを軸としたレッスンと世界スタンダードの台本読解および分析のクラスを展開中。各種養成所や研修所等での指導歴を経て、映画スクールやパフォーミングアーツの大学を始め、事務所等でも指導を進める。多様なミュージカル、オペラ、映像、舞台で活躍する歌手や俳優のコーチを務める。

 

大切にしている指導の軸

幼少時から芸能事務所に所属し、俳優を目指し、ダンスや音楽のトレーニングを受け、また演技の私塾を経てイギリスへ留学しました。30年以上の演劇経験、ロンドン大学・ロイヤル・セントラル・スクール・オブ・スピーチ&ドラマ演劇学校大学院を卒業。正規のアレクサンダー・テクニーク教師としての専門性、ムーヴメント指導の経験を統合しながら、これまで1,900名以上の俳優・歌手・ダンサー・声優・ナレーターも指導してきました。

今回のクラスでも、表面的な形ではなく、交流が自然に生まれる“仕組み”とそれを演技に活かす方法を身体のあり方から、丁寧に扱っていきます。

また、限られた時間内に結果を出すための、実践的な指導に重きを置いています。

いずれのクラスも、これまで活動されてきたジャンルを問わず、また演技経験の長短ではなく、もっと現場で結果を出したい方、しっかりスキットしていきたい方がもっとも伸びやすい内容です。

 

このような記事も共有しております。参考になりましたら嬉しいです。

セリフが衝動から生まれるようになった理由|参加俳優のお声から

 

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最後に….セリフを言わないで、「当事者の状況で、当事者の立場から喋る」

セリフありきから抜けることは、
手を抜くことでも、感覚任せになることでもありません。

むしろ演技を、より精密に
より再現性のあるものにしてくれます。

この視点が、あなたの表現を一段深いところへ
連れていってくれるはずです。

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