すっかり秋ですね、猫のあたたかさがありがたい季節です。
さて、どうしても指導のお仕事で避けて取れないのが、数々の私がお世話になった先生たちの存在です。
個人的な体験なので、意図した通り伝わるか分かりませんが、今日の時点で感じていることを1つシェアします。
“厳しい先生”が、いちばん優しかった理由。
指摘されるのは、痛い。でも、それが成長の始まり。
演技でも、音楽でも、ダンスでも。
自分の課題を他者から指摘される瞬間ほど、痛いものはありません。
私自身も若いころ、厳しく指導してくださった先生を「厳しい」「怖い」と感じ、反射的に避けてしまったことがありました。
これは、大学でもそうですし、演劇教室、事務所のレッスンでもそうでした。
けれど、時間が経って振り返ると、一番長く関わってくださり、最も成長を導いてくれたのは、まさにその先生方でした。
私がセリフを忘れた時も、衣装の袖を忘れた時も(!)、私の書いたシーンがとんでもなく、つまらなかった時も、そして言葉選びが稚拙だった時も…どの先生方も
生意気だった私に根気強く付き合い、見放さずにいてくださった。
あのときの指摘の一つひとつが、今では宝物のように感じます。
「できない部分」を名付けてもらうことで、成長が始まる
どんな分野でも、できない点を具体的に指摘されることが、上達の出発点になります。
語学でも、楽器でも、スポーツでも、「なんとなくわかっているつもり」では、なかなか進歩しません。
ただ難しいのが、自分のどこが良くないのか、何ができていないのかを見極めるため、自体にもスキルが必要だということ。
さらに、そのスキルの獲得には、時間も、労力も環境も必要なんです。
その上、ある程度の量を消化しておく必要がある。
これはどの分野も同じではないかと思います。(AIを駆使するにしても、プロンプトの選び方1つにしても、どう生かすかのための知見が必要です。)
これは20年以上を指導してきた私の考えですが、優れた先生ほど、課題を正確に“言葉にできる”人です。
決して見本がうまいとか、気持ちよくさせるのがうまいだけではありません。
例えば、ダンスでも、見せるのが上手くても、そして体験を導くのがうまくても、全く説明ができないとなると、社会的には言葉を介してコミュニケーションをとっているので、その部分が欠けてしまうんです。
一方、自分では気づけなかった癖や構造を明確に言語化してもらうと、まるで霧が晴れるように整理され、動きや表現の質が一気に変わります。
言葉であれば、繰り返すことも振り返ることも良いです。
体験の素晴らしさも重要なのですが、どうしても時間は過ぎるもので、1つの状態にとどまっている事はなかなかできません。
ですから、言語化、言葉を通じて言葉になっていない部分にアクセスさせていく…
それが、俳優や歌手の成長を加速させる瞬間です。
本当の優しさとは、率直に伝えること
本来なら、自分で気づけるのが理想です。
他人から指摘されて、腹の底から喜ぶのは、よっぽどの成熟や達観が必要かもしれないです。
しかし、自力で発見するには時間がかかりすぎてしまい、その間に多くのチャンスを逃してしまうこともあります。
だからこそ、率直に伝えてくれる存在は貴重です。
これが、必ずしも身内や親しい中、近くにいる方が最適とは限らないのが難しいところ。ただ同時に面白さでもあるんです。
つまり、学ぼうと思えば、いろいろな学びのヒントというものが、溢れているかもしれないんです。
もしかすると、1時、痛みを伴う指摘も、長い目で見れば“最短ルートの優しさ”として、使っていることが可能なのです。
(犯罪やハラスメントを許すものではありません)
俳優や歌手の成長は、「今」から積み重ねられる
俳優や歌手の仕事には、年齢やタイミングでしか挑めない役や作品があります。
二十代でしか掴めないチャンス、三十代だからこそ届く表現。
世阿弥の「時分の花」にもあるように、その瞬間の積み重ねこそが、次の花を咲かせます。
だから、学びは早い段階から実践してこそ意味があります。
頭で理解しても、身体が動かなければ伝わりません。
声や動きに実感として現れるまで、経験を重ねることが大切です。
「指摘」は、あなたの可能性の証
指摘されるのは、まだ伸びしろがある証拠です。
何も言われなくなったときこそ、停滞のサインかもしれません。
痛みを感じる瞬間を避けずに受け止めることで、舞台上でも映像でも、表現の深みが確実に増していきます。
●この記事を書いた人:鍬田かおる
演技コーチ/インティマシー・コーディネーター(ディレクター)
演技指導歴20年以上。留学中のイギリスにて、アレクサンダー・テクニーク指導者資格を正式に取得後、音楽家、ダンサー、声楽家、歌手、俳優らを中心に、20年以上の指導歴がある。映画、テレビ、舞台で活躍する実演家を中心に、感情と身体のつながりを軸としたレッスンと世界スタンダードの台本読解及び分析のクラスをはじめ、演技クラスや各種のプロトレーニング、個別レッスンを展開中。
養成所や研修所等での指導歴を経て、映画スクールやパフォーミング・アーツの大学を始め、事務所等でも指導を進める傍ら、多様なミュージカル、オペラ、映像、舞台など幅広い現場で活躍する歌手や俳優のコーチを務める。
詳しいプロフィールは、HPのプロフィールページからご覧いただけますと光栄です。
11月は、身体から底力をつけるムーヴメントのクラスを
11月は、ラバン・ムーヴメントのクラスを二日間開催します。
身体の動きの質を整理し、感情や声と結びつけるトレーニングです。
そして月末には、久しぶりに別のクラスも企画中です。
「自分の身体から表現を立ち上げたい」と感じている方は、ぜひこのタイミングでご参加ください。
日程:2025年11月23日(日)・24日(月祝)13:00-16:00
対象:俳優・歌手・演出家・表現者
会場:都内スタジオ(詳細はお申込み時にご案内)
お申し込み・お問い合わせはこちらの記事からご覧ください。
ブログの問い合わせフォームまたは公式LINEよりどうぞ。
◾️動きが変わると、表現が変わる。ラバン・ムーヴメントで磨く感覚トレーニング|11月23日(日)・24日(祝)東京開催
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演技コーチ/ムーヴメント指導・演出・振付/IDC認定インティマシーディレクター/STAT認定アレクサンダー・テクニーク指導者/スピーチ&プレゼンテーションコーチングActing Coach/Movement Direction/IDC qualified Intimacy Director/STAT certified Alexander Technique teacher, mSTAT, Movement Teaching/Speech and Presentation Coaching



