ブログ記事

緊張しやすいのは弱み?俳優や歌手が誤解しがちな落とし穴

カテゴリー:, ,
緊張は怖くない

毎年芸術の秋を実感している演技コーチ鍬田かおるです。

みなさんは、コンサート、映画、演劇、ミュージカルなど、どの現場が多いですか。

本日は、どうしても気になる緊張のお話です。

緊張しやすいのは弱み?

「緊張してしまう自分が嫌だ」と思ったことはありませんか。俳優や歌手の中には、緊張をマイナスに受け取っている人が少なくありません。

私自身、緊張しやすいというほどではなかったのですが、それでも学生時代はスコーンとセリフが吹っ飛んで、一瞬、頭の中が、なぜか真っ白になり、やけに舞台上が明るかったのを今でも覚えてます。その時、どうしてもそのド頭のセリフは出てきませんでしたが、仕方ないので、次の段落からスタートしました。

恐ろしいですよね。

周りに迷惑もかけたくない、自分も恥をかきたくない、そしてもっとちゃんとしていたい…

二度とあんなドッキリは嫌です… .。

けれども実は、緊張しやすいことはおうおうにして、その取り組みを大切に思っている証拠であり、重要なことへ感受性が働いているサインでもあります。

これまで20年以上指導してきましたが、ストレスがかかるような環境でへっちゃら、緊張して当然であろう状況なのに、無頓着…何も感じないかのようにいられてしまうほうが、実は危ういことも多いものです。

本当の余裕は「緊張しないこと」ではなく、

「多少緊張しても、これ以下のレベルより下がらないぞ」「あがってはいるが、『興奮』が高まっている程度なので、何とかなる」というスキルと態度です。

そして、この緊張しているにもかかわらず、自分の身体(声含む)全体に注意を向け、少しずつ調節できるようにするスキルは、努力と準備の積み重ねから生まれます。

 

緊張は感受性の証

「大事なシーンが近づいてきてドキドキする」

「重要なシーンだとわかっているからこそ、つい不安がよぎる」

「みんなに迷惑かけたくない、でもどうしたら…」

「大切なセリフだから、ちゃんとやらねばと力が入ってしまう」

このような形で緊張するのは、舞台や本番を大事にしているからこそ。

非常に大雑把に分けると2種類の態度があると思います。

・ 緊張しすぎて固まるタイプ
・ 弛緩しすぎて散漫になるタイプ

どちらも「扱い方しだいで表現力に直結する」という点では同じです。

緊張しすぎの方は、身体を固めたり、息をひそめたり、また目を止めてしまったり、それでも頭の中がぐるぐるしていたり、周りがよく見えなくなったり、聞こえなくなったりしてしまう。手に汗に握る、身体的にはほぼ「興奮」や「高揚感」に近いのもこのタイプです。

一方、リラックスと言うと人聞きが良いのですが、弛緩しすぎも、なかなか管理しづらいものです。つい手足がぶらぶら、頭がゆらゆら、ため息が出て、ふと気が散っている…身体は自分では楽な気がしているが、実は「張り」が足りなくて、つい緩みすぎてしまっている。地に足がつかなかったり、しっかり地面を捉えられないことも。ほぐれていると言えば、ポジティブなイメージになるかもしれませんが、実際はサスペンションが足りないと言い換えることもできます。

つまりどちらにせよ、緊張は敵ではなく、スキルとともに味方にするべき存在なのです。

 

ドラマは「緊張と弛緩のあいだ」にある

というのも、演技の本質は、緊張と弛緩の行き来にあります。これがドラマを生み出し、観客に伝わる力になります。

例えば、

・犯人は誰か…と緊張が高まっていく。意外な人が現れ、みんなが驚き、緊張が一気に高まる

・相手との距離が近づき、ワクワクドキドキ、緊張が高まっていく。ハラハラして、周囲の緊張も最高潮に

・事件が解決し、みんなでほっとし、緊張が解けていく。くだけた雰囲気でリラックスしている

・みんながワイワイ楽しくなり、グループで高揚して盛り上がる。激しい興奮へ

・何らかの問題が解決し、肩の力が抜けて、余裕が生まれる、非日常から日常に戻っていき、少しずつ緩んでいく

どれもこれも、様々なジャンルで、容易に想像がつくのではないでしょうか。

したがって、「緊張をなくそう」と強く願うのではなく、集中や気づきにつなげていくこと。

それが、次のステージでの成長に直結していきます。

 

緊張を強みに変えるために

緊張は弱みではありません。むしろ磨けば必ず強みになります。

ここで一言、あえて逆をいえば、ありすぎるものは減らせますが、ないものを生み出すのは至難の業です。

 

私の演技や表現のグループクラスでは実際の場面での調整を、個人レッスンでは一人ひとりの課題に合わせたアプローチを行っています。

俳優や歌手にとって、緊張を克服するのではなく「活かせるようになる」ことが本当の変化です。
その積み重ねが、持っている力を妨げるのではなく、自信や表現の幅を大きく広げていきます。

映像でも舞台でも、緊張が存在するのは当たり前。ただ、緊張に振り回されないように、準備していきたいものです。強くおまじないをするとか、原発に頼らなくても、自分の力を信じて、落ち着いて取り組めるよう、課題の内容やキャリアの方向性に応じて、ご提案しております。

 

次の一歩を踏み出すなら

大変恐縮ですが、9月の少人数制グループクラスは身体と声及び演技クラスもキャンセル待ちが続いています。

📌 個人レッスンは「ご相談」からスタートされる新規の方と、レギュラーの方のご予約のどちらも受付中です。希望

「緊張があるからこそ、成長できる」。
その実感を、自分自身で確かめてみませんか。

初めて、個人レッスンのご相談をご希望の方は、公式LINEまたはお問い合わせページからご連絡ください。

 

まとめ:緊張は弱点ではなく武器になる

緊張は弱みではありません。
むしろ、上がりやすい人・緊張しやすい人こそ俳優や歌手に向いています。

これまで、日本を中心に、またこの多様性の時代に、様々な国籍や背景の方々と仕事をしてきましたが、多かれ少なかれ、プロでも、芸能人でも、著名な方でも、一流のプロフェッショナルでも、形を変えて、緊張そのものは存在しています。ただその扱いに長けているか、自分のことをどれぐらい深く理解しようと努めてきたか….そこに余裕を生む隙間や時間があるのだと感じます。

「緊張との付き合いは」緊張は嫌だから、否定すれば何とかなると言うものでもありません。

もし「緊張のせいで損をしている」と感じているなら、それは大きな伸びしろです。
扱い方を学べば、緊張を集中に変え、現場で実力を繰り返し発揮できるようになるのです。

独学では身につきにくい部分だからこそ、実際の場で体験し、身体で覚えることが大切です。

次の現場を安心して迎えたいなら―
あなたの緊張を活かす方法を、レッスンで体感してみてください。

 

●この記事を書いた人:鍬田かおる 

演技コーチ/インティマシー・コーディネーター(ディレクター)

演技指導歴20年以上。留学中のイギリスにて、アレクサンダー・テクニーク指導者資格を正式に取得後、音楽家、ダンサー、声楽家、歌手、俳優らを中心に、20年以上の指導歴がある。映画、テレビ、舞台で活躍する実演家を中心に、感情と身体のつながりを軸としたレッスンと世界スタンダードの台本読解及び分析のクラスをはじめ、演技クラスや各種のプロトレーニング、個別レッスンを展開中。

養成所や研修所等での指導歴を経て、映画スクールやパフォーミングアーツの大学を始め、事務所等でも指導を進める傍ら、多様なミュージカル、オペラ、映像、舞台など幅広い現場で活躍する歌手や俳優のコーチを務める。

詳しいプロフィールは、HPのプロフィールページからご覧いただけますと光栄です。

 

各種クラスのお申し込み、個人レッスンのご相談には、こちらのお問い合わせフォームもご利用いただけます

 
 

お急ぎの方には公式LINEもございます。

こちらからのトークのスタートはできませんので、一言ご挨拶かスタンプをお願いします。

 

公式LINEからのお知らせの一斉送信は月に1回程度、 多くて2回程度です、ご安心ください。

「今月のクラスは出られなかったけど、、次回のクラスを知りたい」という方は、公式LINEに登録 or Instagramをフォローしてください。

📩 次回の優先案内を受け取る →https://lin.ee/2HZK7jV

 

◾️よくある誤解をひもとく記事も好評です。

良かれと思っていつも考えていたことがズレていた、そんなお声も届いてます。

 

「まず状況を成立させることが大事」と思っていませんか? 演技が“浅い”と言われてしまうときの見直しポイント

 
伸び悩んでいたのは、性格のせいじゃなかったんだ…そんな真面目な方を引き上げたい。
舞台でも映像でも、スキルは必ず必要です。
ただ、スキルの習得に向かうパワーは「自分ごと」から。
 

ちゃんとできてるのに、なぜか伝わらない?ー『キャッツ』日本初演で知った感情と身体を生きる演技

ちゃんとできてるのに、なぜか伝わらない?ー『キャッツ』日本初演で知った感情と身体を生きる演技

コメントを残す

WP Twitter Auto Publish Powered By : XYZScripts.com