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『動けない』『伝わらない』演技を、身体から変える方法 ─演技力を上げる前に、身体の止め方を見直すべき理由

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実は、インティマシーコーディネーター(ディレクター)の仕事も受付中の演技コーチ、鍬田かおる です。

最近、監督や演出の方とお話ししていて感じるのですが、

親密表現ー昔で言うからみや濡れ場の演出効果も、演じ手の演技力あってだなぁと感じます。

 

本日は、

「がんばってるけど、イマイチ上達が遅い」

「気持ちはあるのに、なんか伝わらない」

「ちゃんと演じているつもりなのに、それほど届いてないかも…」

とモヤモヤする方にこそ読んで欲しい、お話です。そこまで自覚がない方も、突き抜ける!ヒントありますので、お付き合いください。

台本の抜粋などをやっていて、

ふと、「あれ、今本当動きたかったけど…間に合わなかった」とか気持ちは動いてる感じがしたから、それに乗ってみたんだけど、

「今立つべき?座るべき?、でもこの流れだと不自然だよなぁ…」と真面目なんだけど、ちょっと行動が遅れてる。

セリフを言うことには問題がないけど、なんとなく作為的というか、頭が先にやっちゃってる感じ…


そんな経験、ありませんか?

実はそれ、あなたが「感じようとしていないから」ではなく、
“感じないように”無意識に身体を使ってしまっているせいかもしれません。

 


無意識に「止めて」いる身体


キャラクターのことを考えようとするとき、
セリフを思い出そうとするとき、
自分の中にある正解(本当は無いけど)を探そうとするとき……

私たちは無意識に「構える」ことがあります。

・肩や首が固まる
・呼吸が浅くなる
・骨盤や膝がロックされる
・視線が定まる(あるいは泳ぐ)

これらはどれも、“危険に備えるとき”の身体の状態に似ています。

感じようとすること、動こうとすることは、
実はこの“構え”があるだけで妨げられてしまうのです。

セリフは問題なく言えていても、動きが“頭から指示を出しているような” どこか作為的な印象、感じたことはありませんか?

本当は動きたかったのに、人前で、大事なことをする(そうです、演技!ダンス!歌唱も!)となると、密かにこのスイッチが入ってる。

でも

この身体の状態が、自分で調節できるようになると、便利だと思いませんか?


「感じられない」のは、センスがないせいじゃない

これ、とっても辛いですよね。

私もそういう不思議なレッスン、奇妙なスタジオ、参加しちゃった黒歴史あります。

「センスないなぁ…」と言われるなら、思いきりもつくでしょうが、

そんな事は少なくて、どちらかと言うと、


「もっと感じて!」「ちゃんと相手を見て!」

のような指導に帰結してしまっています。

私もこのように日本では指導されてましたし、とにかくそこを乗り越えようと思ってました。

でも、そんなこと繰り返し言われて、混乱したことはありませんか?
なぜなら、根本の問題がちょっと違うからです。


これは決して、あなたにセンスがないからではありません。
ただ、構えてしまっている身体の状態が、
その“受け取り”や“動き”を妨げているだけなのです。

構え続けている=センス(感覚)がつかえない、とは言えるかもしれません。

そしてこの構えは、「止めているつもりがない」人ほど無自覚です。

だからこそ、「気持ちはあるのにうまくいかない」状態を
身体のアプローチから整理する必要があります。

(これは自己暗示でもなく、何とかセラピーチックな集団ヒステリーでもありません。)

 

感じることは、動きとつながっている



「感じる」ってどういうこと?

――それは、実は「動こうとしている」ことと密接に関係しています。

自分の中に何か“動きたい欲求”があるからこそ、
その動きが“相手に向かう”からこそ、感情や関係性が生まれるのです。

逆に、「構えている状態」のときには、
そもそも“動きたい”という欲求自体が感じられません。

臨戦体制と言えば、なんとなく前向きな感じがするかもしれないけれど、

アイドリング=空回り、です。

「何をしたいのかがわからない」


「どうしてこのセリフを言っているのかわからない」

「(だから)ついつい台本ばかり見つめてしまう。」


という混乱も、実はそのせいかもしれません。

役の人物が何か欲しい(目的)と思っているからこそ、本当は「動きたい」「変わりたい」がいつもあります。

にもかかわらず、緊張すれば止めもする、心配や不安が大きくなれば余計硬くしてしまう…この循環をやめましょう。

私は初めてイギリスでこの話を詳しくされた時、

「ポカン」としてしまいました。

だって、今までそんなふうに説明した先生や演出家は、日本には1人もいなかったので…(20年以上前です)

 

「止めるのをやめる」と、演技が動き出す


私が行っているレッスンやクラスでは、
この「構え」や「止め」のパターンにアプローチすることで、
“感じること”と“動くこと”を取り戻すお手伝いをしています。

・ちゃんと受け取れるようになった
・自然と動きたくなって、動けるようになった
・強く思い込まなくても、感情が湧いてくるのを感じた
・セリフの意味が身体に入ってきた、気づいたら泣いてた

そんな変化が、日々起きています。

もし、今あなたが
「ちゃんとやってるのに、なんだか届かない」
「もっと自由に動きたいのに、どこか止まってしまう」
そんな風に感じているとしたら――

まずは、“感じないように使ってしまっている身体”に
気づくところから始めてみてください。

きっとそこに、演技が変わるヒントがあります。

 

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これまで演技のなんとかメソッドや、〇〇式に疑問を抱かれてきた方へ

あなたの感じてきたモヤモヤは、もしかすると「役」にとってのリアリティーが、具体的で意味のあるものではなかったからかもしれません。

また大学、演劇学校、大学院と、イギリス育ち、バイリンガルである私が言うのもなんですが、日本を中心に活躍してらっしゃる方、日本語を母国語として多くの時間を過ごしてる方にとっての、演技メソッドやシステムに向き不向きという傾向はある気がいたします。特に、

・真面目に考え込んでしまう方、好きだからこそ抱え込んでしまう方

・主語不在でも成立してしまう日本語の発想のまま、つい状況を思い描き続けてしまう方

・どうしても頭でっかちになり、言葉ばかりになってしまう熱心で真剣な方

・迷惑をかけてはいけないと、一生懸命ひとりでで頑張りすぎる日本の俳優や歌手

……たくさん見てきました。

こういった方々に必要なのは、今日解説したような「身体と感覚」の入り口であり、想像していることと身体を馴染ませ、変化を歓迎して、他人と共感したり、同調したりできる身体を開くことです。

これは、セラピー的なものでもなく、精神論でもありません。

ダンスや楽器演奏のトレーニングに近い、1種スポーツのような、動きを切り口とした演技のトレーニングによるものです。

物語、演技いうものが、文化に根ざしている以上、言語の壁もあり、また生活様式や基本的なコミュニケーションのスタイルが大きな誤解をむこともございます。

これはクラシックバレエやオペラの輸入、様々な業種での変遷を見ても、お分かりいただける課題だと思います。

不可思議なワークショップやらの誇大広告に疑問を持たれた方、なんちゃらメソッドに違和感を持たれた方、すべてがご自分のせいだと責めないでくださいね。

 

こちらの記事も、ご参考になればうれしいです。

「セリフに気持ちは『のせないで』ください?」— これが演技のリアリティを変える

 

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最後に最近、芸能関係、映画関連の方からよく聞かれるトピックーご参考になれば幸いです。

 

「どこなのか」ー演技が変わる俳優が「どこにいるか」を意識すべき理由

 

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