「実力」とは?

真剣な話題。「実力」。一体、何でしょうか?能力?なんの力?気合い?練習?意図?

オーディションや舞台などで「実力が出せなかったァ~泣」「実力が分かってもらえな~い」「いや、実力がまだ足りない」など。みる側も「実力が分からない」「実力出して!」「実力の差だよね」(笑)など。演劇、ダンス、音楽では特に話題になる「実力」…。(;^ω^)

演劇の指導の現場での面白エピソードがあります。

有名演出家であり指導者でもある某氏。

いつも通り明るく和やかな雰囲気のもと、広々とした稽古場でいくつかの愉快でためになるエクササイズをして、からだも温まり気分もほぐれた後、それぞれの役を振り当てられ、練習用の衣装を着て、みんなすぐに台本をもって、立ち稽古。

みんな楽しそう。

大御所「じゃあ、やってみよ~か~♪ 最初のチームから~」

ヒヨコ俳優たち「は~い♥  」

と朗らかに始まった芝居のシーン稽古。

あれっ?!

大御所の様子が…あ、ああっ、大御所っ!だいぶ前に乗り出して…熱心に見ている、おお、真剣なのね~。

と感心したワタクシ。

しかし…あらっ?!腕組したぞ?!あっ、呼吸がっ…もしかして…ご不満??? (-_-;)

シーンの方はというと、お世辞にもあまりうまくは行っておらず、目的が不明瞭だったり、ここがどこで誰なのか、状況や人間関係もあいまいな動きやせりふが目立ち、声や姿勢の癖も邪魔になっているし、…

「私だったら、注意するよな~(T_T) 長くやってみても変わらないし」と内心苦笑いしてしまったワタクシ。

しかし、大御所はその後、何組も何組も同じシーンをみる、みる、みる。とても熱心に。そして身を乗り出しつつ、引きつつ(泣)、目を見張りつつ、肩を落としつつ(笑)。

大御所のおおらかで朗らかな様子と優しい口調に、ヒヨコ俳優たちも陰気にならず、一生懸命、舞台に出て行って、いろいろうまくいかなくても、笑顔で戻ってきていた。ヒヨコなりに、学ぶ環境としてはいい時間のはず。

そして、90分が経とうかという頃、

大御所「さて、おつかれさまでした~、みんな~ありがとう。」

と言う温かな感謝のあいさつとともに、一通り全チームが終わり、大御所は言い放ったのです。

大御所「これがね、今のみんなの『実力』だから」

一同。シーン。。。

気まずい沈黙。。やはり、そう来たか。。ガクッ。。

大御所は手綱を緩めなかった。。。(-_-;)

大御所「1回目に、初めてやってできること。それが実力です。」

大御所「たくさん練習して、ひとにいろいろ言われてできるのは、当たり前。」

ヒヨコの動きが停止。

(-_-;)

大御所「コーチがついたり、演出家が指導したりね。それは実力じゃない。最初の1回目に自分でできたこと、これが実力。長い時間稽古して、リハーサルしてそれでみんなで作っていけば、できることは増えるけど、それは公演のための創造の積み重ねを集団でした成果。」

嗚呼!

チーン。。

そうなのです。レッスンでも、生徒側が1回目にやったこと=現時点での実力。イスのせいでも扉のせいでもな~い。オーディションも試験も初めの様子が実力と思われて致し方ない。稽古初日でも。。

いわゆる本番を前提としてパフォーマンスを伸ばすのですよね?なら、実際に自分が今やっていること=実力とするのが現実的なんです。

そう。ときどき、「いやぁ、あと2日あれば~、○○もできたし、▽▽もできたはずなんだけど~」という話を耳にする。が、そこで2日増やしてみたところで、○○も▽▽も実ったのを私はこれまでみたことがありません。(やってみました、何度も)

それは2日分の練習やリハーサルが無駄なのではなく、2日分程度では、さまざまな能力は「他人に伝わるほど」そして『人前で緊張している状況でも発揮できるほど定着はしない』というです。

大御所の不意打ちに倒れたヒヨコたち。。

お、おつかれさまでした。。

その後、笑顔で私に「そうなんだよ~、ははは 笑 『実力』ってそういうもんでしょ?」と恐ろしい例をいくつも出して説明する大御所。

そしてヒヨコたちが、これまで以上に注意深く毎日の課題をやるように、日々の取り組みに真剣になったことは間違いない。

結果、オーライです。

2015年もあと少し、実力を発揮して愉しく過ごせるよう、毎日の時間をつかいましょう!

写真は外乗でまったく私の言うことを聞かなかった美馬の奔放な姿。(T_T)

コメントを残す