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なぜあなたの演技は爆発的に伸びないのか

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運動したあとは、冬でもほくほく、演技コーチのくわたかおる、です。

私のレッスンに来る方は、真剣に歌唱や演技を深めたい方が多く、現場がある方でも合間を縫ってクラスに参加したり、個人レッスンを続けていく方ばかりで嬉しいです。

さて、そんな中….

いわゆる学び直し、でも言うのでしょうか、プロで、高いレベルでやっていきたいと決めた時、最初の段階でぶつかる壁の1つに、

「慣れている感覚を(半ば)諦める時間を作る」

というのがあります。

 

私たちは、誰しも、わざわざ姿勢を悪くしたいとか、首や肩が凝るように使いたいと思っているわけでもなく、またあえて身体を役の事情で緊張させたり、弛緩させる事は、演技の場面によって起きるという理解であるはずです。

しかし

もし、仮にですよ?

自分がもともと手足を込めたり、腕や肩を構えたまま使っている時間が(密かにでも実は長く)あったら、そちらに感覚は慣れてしまっていると思いませんか?

慣れてしまっていると言う事は、感じにくいということです。

そう、感じないからこそ…タチが悪い!

 

私たちは、自分で自分の家の匂いに気づかない(久しぶりに帰ってきてハッとすした事ないですか?)

何らかの事情で、当時は必要だった「構え」や「張る癖」、脚を突っ張ったり、肩をを上げて何とかようと試みるパターン…感じなくなっていませんか?

写真を撮られて初めて自分の表情のゆがみ、両肩の高さの違いに気づきます。

つまり、クッキリとは感じていなかったということ、ですよね。

動画をあとから見返して、「あれっ?なぜか顔がずっと前に出ているかも…?」これって、前にも注意されたような…? うーん、狙っていた効果とは違ったなあ…

もし感じていたなら、その場で調節できたはずでもあり、必要に応じて、体勢やうごきを変えていたはず…

しかし、そこの感覚の記憶はスコーン!と抜けている。

それこそ、靴底の減りをみて、「そんなに外体重になっているの?!」とびっくりはするが、

どんな歩き方をしていたのか、その時の感覚は思い出せないから、どう変えていいのか試行錯誤…

映像をみていてもピンとはこなかったが、実際に頭をゆすった回数やうなづきの回数を数えて、他の方々の回数と比べてみると、

やっと自分が誰よりも頭を20回も多くゆすり、20回もうなづいていた!ということに気づくが、いざ「3回ずつにしよう」と決めてみたところで、また(無意識で)やってしまう。

 

そうなのです。

「やる気」や「がんばり」の問題ではなく、私たちは、慣れちゃうから、階段登ってても、荷物持ってても、台本に夢中になってても、急いでいるにもかかわらず、巧みに自分のパターンを混ぜてしまうから、しかも感じないがゆえに、変えていくのが難しいんです。

 

(しゃべりながら)肩を上げるのが、うますぎる!

(注意したい内容がたくさんあるのに)腕を構えておくのが、うますぎる!

(毎回、人前で)脚をつっぱっておくのが、うますぎる!

笑‼️

視点をかえると、実はこういうこと。

うまくなりたいことをやっていない間、「うまくなりたくもないこと」をやっている。

 

分かりますか?この矛盾!

やらないほうが身体はラクで余裕ができるのに、

相手の話を聞こうと熱心になればなるほど、首を緊張させ、顎を食いしばったり、脚を突っ張ったり、どんどん足してしまう。

しかも無意識に、事あるごとに混ぜていく。

セリフが複雑だったり、ドラマがピークだったりしても、ことある毎に自分の構えや筋肉の緊張のパターンを混ぜながら、演技や歌唱をがんばってしまう…

なぜって…

長い時間、そうだから。

日常でやっていて、当たり前になっていて、その感覚に役の感覚を出す方が、「落ち着いた」り「しっくりきた」りするんです。

 

あら…

もう、これは…

先日生徒さんと話していて爆笑した、「仔犬時代の、ちょっと汚れている毛玉だらけのよだれのついた赤ちゃん用毛布」です。

こちらとしては、新しいお犬様用ベッドで、快適にのびのび寝て欲しいと、古い毛布はさすがに洗うか捨てるかしたいのだが、

「慣れ親しんだ匂いで落ち着く」のか「いつもどおりの触覚やパターンが安心する」のか、古毛布を取り上げると

「ウーッ」とお怒りをあらわに「防衛」に入っておびえ、不安になりご不満をもらす。

「お気に入りの慣れた毛布」を戻してあげると、あたかもそれが特別ですばらしいかのようにご満悦でもっていく…

という場面。

新しいサイズのほうが身体のサイズにも合うし、洗ったほうが清潔で安心ですし、新素材のほうが快適だろうよ、と良かれと思って変えようと試みるのですが、

慣れている=正義!(仔犬ワールドの掟)

になっていて、変化の余地なし。

これは、モノの例えですが人間も例外ではないと感じます。

 

相手の話を聞こうと熱心になればなるほど、本当は余裕が欲しいのに、首を緊張させ、顎を食いしばったり、脚を突っ張ったり、どんどん足してしまう。

しかも無意識に、事あるごとに、いらない癖を混ぜていく。

腕の構えや固めた目が、どんどん、巧みになっていきますよね、好きな癖でもないのに。

臨場感?と言えばそれまでですが、実際自分はそれで快適なのか、よく見て、よく聞いてよく感じて、十分に想像する余裕がある身体なのか?

これ、大事なポイントです。

そうなんです。

「よく見て、よく聞いて、よく感じて、十分に想像する余裕がある身体」の方が、歌唱でも演技でも、実際の役に立つのではないですか?

夢中になるのと感覚をフルに使うために労力を、うまく再配分できたら、きっと燃え尽きたり、痛くなってから自分のくせに気づくようなこと、減りますよ。

 

そして最初のポイントに戻りますが、

「慣れている感覚」を使っている限り、その慣れているゾーンから飛び出て、爆発的に何らかのスキルアップや体験をめくるめかせる事は難しい。

なぜって、慣れているから。

それにつきます。

だからこそ、論理的かつ科学的な思考が必要になる。

あえて意識してみる、と言うことですね。

みなさまの変化を楽しみにしています。

 

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当時、ノリに乗っていたジュリアの熱演が激しい

社会派映画という触れ込みだったのだが、実際、台本読解をしてみると、

そうですかね?

テーマの掘り下げも面白い、良い作品だと思います。

 

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