稽古場あるある|小さな行動が成果を左右する2つの落とし穴
私自身、すでに30年以上、演劇やダンスや語学を習ってきています。
その過程で、プロ・アマを問わず、ジャンルを超えて見えてくる「学習における傾向(あるある)」があります。
自分が生徒の立場であるときも、教える側に立つときも、少し注意するだけで練習やリハーサルの成果、クラスの雰囲気や効率は大きく変わってくるように思います。
今回はその中から2つをご紹介します。
あるある① たった5分の遅刻が成果を左右する理由
事件や事故などでない限り、遅刻はできれば避けたいところです。災害や事故、大勢が電車の遅延で数十分遅れるといった場合は別ですが、問題なのは5分や10分といった「ちょっと」の遅刻。
「ちょっとだから仕方ない」「ま、いいか」と思いがちですが、実は逆かもしれません。
「ちょっとならなぜ早く来られないのか」「なぜ準備しておけないのか」と考えてみると、「ちょっとだから大丈夫」とは言えない気がします。
かつて友人Aが言った「一事が万事」という言葉を思い出します。
「ちょっとのこと」を直さずに平気でいるなら、「ちょっとじゃないこと」を工夫するのはもっと難しいのかもしれない、と感じます。
自分にがっかりしないため、自信をつけるためにも、まずは「ちょっとのこと」に注意を払って行動を変えていくことが大切だと思います。
これは役作りにも応用できるはずです。
「ちょっとのこと」の積み重ねで「すごいこと」が生まれているのかもしれません。
あるある② ハーモニーを壊す“質問することが目的の人”
質問は学びに欠かせない大切な行為です。
ただ「質問すること自体が目的」になってしまうと、クラス全体の士気を下げることにつながってしまいます。
ありがちなパターンは、質問のはずがただの感想になってしまうこと。
あるいは「自分アピール」や「積極的さの証明」としての発言になってしまうことです。
無意識かもしれませんが、もったいないですよね。
まとまりのない長い話になり、周囲を置き去りにしてしまうこともあります。
例えば「今のエクササイズが実際の芝居にどうつながるのか、確認させてください」
「これを上達させるために他にどんな方法がありますか」といった形で、
最初に質問の意図を一文にまとめるだけで場はスムーズに進むように思います。
ワンポイントアドバイスは、
-
文章の構文が疑問文になっているかを確認する
-
「質問したいことは○○です」と冒頭で言う
こうした工夫を取り入れるだけで、自分にとっても周囲にとっても有意義なやり取りにつながります。
質問は学びの大切な入口です。
目的を意識することで、クラス全体の雰囲気も成果も変わっていくのではないでしょうか。
実際、このように整えるだけで、自分自身の考えもクリアになっていきます。
まとめ
稽古場での小さな行動や習慣は、思っている以上に大きな影響を与えるものです。
「ちょっとの遅刻」や「目的のずれた質問」は、個人の成長だけでなく、全体の雰囲気や効率にも関わってきます。
小さな工夫と意識の積み重ねこそが、大きな成果につながるのだと思います。

演技コーチ/ムーヴメント指導・演出・振付/IDC認定インティマシーディレクター/STAT認定アレクサンダー・テクニーク指導者/スピーチ&プレゼンテーションコーチングActing Coach/Movement Direction/IDC qualified Intimacy Director/STAT certified Alexander Technique teacher, mSTAT, Movement Teaching/Speech and Presentation Coaching
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