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浅く見える理由は「感情」じゃない ー“芯”が通らない、違和感の正体とは

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3月も歌手や俳優のみなさんとの個人レッスン、そしてオーディション・シーズン真っ盛りということで

レッスンが充実している演技コーチ、鍬田かおるです。

みなさんの嬉しいお知らせが、今からとっても楽しみです。

さて、

私も、子どもの時から、ことあるごとに、

「自分は何をしたらいいんだろうだろ」と、演技には実は行き詰まっていたのですが…

「このセリフ、なんだか気持ちが動かない….」 「どういう動きをすればいいかわからない」

現場や稽古場で、俳優が抱えるこうしたモヤモヤ、ありませんか?

 

でも、そこにはちゃんとした理由があります。

多くの方が「感情が出ないからうまくいかない」と思いがちですが、

実はその違和感は、“本人にとっての具体的な時間”が曖昧なまま演じてしまっていること

に原因があることが非常に多いのです。

そのセリフは、いつなのか? そんな決断をしたのはいつなのか?

そして、例えば、最後にAさんに会ったときはいつなのか、そして何の話をしたのか…

これは、俳優としての準備におけるとても重要な柱です。

 


「今を生きろ」と言われても・・・その「今」が浮いていては意味がない

「今を生きて」「もっと自然に」——俳優なら一度は言われたことのある言葉。

でも、その“今”って何でしょうか?

演技における「今」は、抽象的な点ではなく、

**過去と未来の連なりの中にある“時間の文脈”**です。

つまり、意味がある!しかも個人的な。

 

たとえば、現在ブロードウェイで上演中の『オセロー』。

主演はデンゼル・ワシントン、イアーゴーはジェイク・ギレンホールという超豪華キャスト (うちの師匠も振付で出動!しております)。

同じセリフでも、

  • オセローがまだデズデモーナを信じている時に言うのか?それはなにをみて、きいたから?
  • すでに疑念を抱き始めている時に言うのか?それはいつから、なにが直接のきっかけ?

それだけで、表情も、身体の配置も、息づかいから声の強さも、全く違うものになります。

時間というものが、すべての人間たちに共通に与えられ、

にもかかわらず、感じ方は本当に人、それぞれだからこそ

これが俳優(や歌手の方も)の腕の見せ所です。

 


俳優の“準備”に必要なのは「時間の地図」

以下は、稽古や読解時に自分に問いかけてみてほしい例です:

  • 戦いが終わってから何日経っている?→ 身体の疲労は? 気が抜けてる?それはいつからなの?
  • さっき誰とすれ違った?→ 何を思い出した?それは何回目?
  • この夜の前に何を期待していた?→ それは叶った? まだ期待している?いつになったらその期待は減る?
  • このセリフは最初の告白? それとも何度目か?→ 毎回が最後のつもり? それとも次がある前提?

このように“時間の地図”を明確にすることで、

  • セリフが「なぜ今」発されるのかが自分事として理解でき、
  • 行動の理由が生まれ、
  • 結果として感情があとから自然についてくるのです。

「感じる」より「今を設定する」から始めよう

俳優として「感じよう」「共感しよう」とする努力は素晴らしいことです。

でも、それだけではどうしても演技が曖昧になってしまう。

そんな時こそ、まずは「今は、何の直後か?何の直前か?」と、自分に具体的に問いかけてみましょう。

日常生活と似ていますよね。

厳密にではないスケジュールでも、少なくとも「いつ(位)までに」とか、「いつ以来だから…」というような枠組みを子どもの頃から、ずいぶんと使っているはずです。

このタイミングで起こる行動には、どういう意味があるのか?

例えば、「こんなふうに彼を説得するのは、いつぶりで、何回目なのか?」こういったことを

観客は知らなくても、俳優自身が知っていることで、演技の質が格段に変わります。

これは、「戦略的に準備する俳優」が現場で武器として使える視点です。

 


演技が浅いと言われる本当の理由

「状況は合ってるし、セリフも覚えてる。でも何かが浅い」

経験のある俳優でも、こんなふうに言われてしまうことがあります。

その原因は、“時間の設定”が曖昧なまま、その場に立ってしまっていること。

 

・今は何の前で、何の後なのか?

・それによって何に変化が起きているのか?

 

そこが定まっていないと、感情も行動もぼやけてしまいます。

逆に、「あの出来事の直後だから、私はこうなる」と自分事として繋がっていれば、 同じセリフでも、説得力が全く違ってくるのです。

これは演出家や監督に言われてから対応するものではなく、

俳優自身が準備段階で身につけておくべき“演技の土台”です。

これは、性格の問題ではなく、練習によって上達し、スキルとして身に付けることができるものです。

 


「時間軸の読解」は、すべての演技の準備の起点になる

「時間の文脈を掘る」ことは、

  • 役の気持ちを“あとから”自然に理解する、だから、周囲と交流しやすい
  • 現場で行動の選択肢を提案できる、その上、リアリティーを持たせやすくなる
  • 俳優としての自信につながる、という事は、他のスキルと掛け算になっていく…

という意味で、俳優にとって非常に実用的かつ深い準備法です。

これは単なるテクニックではなく、

“自分という素材”をどう使うかを定める、プロフェッショナルな技術。

だからこそ私は、演技指導の中でもこの「時間の読解」も大切にしています。

こういった事は、プロからやらなければならないことでもなく、

学生だったら、考えなくていいのか、ということではありません。

学生でも、素晴らしい瞬間がある方が嬉しいでしょうし、セミプロだってもせっかくやるんですから、

ご自身の手ごたえや変化を感じながら、作品の世界を存分に満喫してほしいと思います。

そしてもちろん、プロの方々には、

不特定多数の方々に見られ、聞かれ、解釈されるわけですから

ご自身が納得できるような形で質を高めたり、作品を通じてご自身も良い手ごたえをつかんでいけると素晴らしいと思います。

 


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あなたの演技に必要なのは、感情を“出す”ことではなく、

「今ここにいる理由」を自分の中に明確に持つことかもしれません。

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