昔から読書が大好きだった演技コーチ 鍬田かおるです。
秋は静かに台本も資料も読めるので、ちょっと落ち着いています。
さて、本日はつい耳触りのよい言葉で流してしまう場面もある…
「初心」についてです。
辛口で、ごめんなさい。
初心に、かえらない。
「初心にかえる」──その言葉、どんなつもりで使っていますか。
よくあるのは、始めた頃の謙虚さを思い出すため。
おごらず、より丁寧でありたいから。
もちろん、そのどちらも、とても大切なこと。
けれど、そうやってちょっと戻ろうとするたびに、
いまの自分が積み上げてきたものを、わざわざ
そっと手放してしまう瞬間があります。
本来の志や気持ちを思い出すことは、悪くありません。
でも、「戻る」ことを目的にしてしまうと、
今の自分を否定することにもなりかねませんか?
経験も知識も、もう身体に刻まれている。
それを横に置くことはあっても、手放す必要まではない。
創作するなら、“戻る”より、“進む”勇気を。
成長は、“慎重さ”ではなく、“更新”の連続です。
例えば、初心に立ちかえろうと、わざわざ考えた時…学習のスピード、落ちてはいないでしょうか?
これが私の気になっている点です。
思い出すことと、戻ることは違う
俳優や歌手、アーティストの現場では、「初心にかえって頑張ろう」という言葉がよく使われます。
でも、言葉に頼って“最初の気持ち”ばかりを追いかけていると、
積み重ねてきた自分のスキルや感覚を一時的に“リセット”してしまうことがあります。
成長は、何かを取り戻すことではなく、これまでの経験をどう「更新」していくかにかかっています。
もちろん、謙虚な態度やワクワクした子供の頃の気持ち、すごく憧れていた方との共演、大切です。だからといっていちいち初心にかえらなくて良いのではないでしょうか。
進むための、静かな覚悟
“戻らない”という選択は、強がりではありません。
過去を否定するのではなく、そこから積み上げた「今」を信じること。
それが、前へ進むということです。
私自身、自戒も兼ねてになりますが、時代に合わせた価値観や対応、そしてより効果的かつ健やかな方法を日々模索しております。
●この記事を書いた人
演技コーチ/インティマシー・コーディネーター(ディレクター)
演技指導歴20年以上。留学中のイギリスにて、アレクサンダー・テクニーク指導者資格を正式に取得後、音楽家、ダンサー、声楽家、歌手、俳優らを中心に、20年以上の指導歴がある。映画、テレビ、舞台で活躍する実演家を中心に、感情と身体のつながりを軸としたレッスンと世界スタンダードの台本読解及び分析のクラスをはじめ、演技クラスや各種のプロトレーニング、個別レッスンを展開中。
養成所や研修所等での指導歴を経て、映画スクールやパフォーミング・アーツの大学を始め、事務所等でも指導を進める傍ら、多様なミュージカル、オペラ、映像、舞台など幅広い現場で活躍する歌手や俳優のコーチを務める。
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演技コーチ/ムーヴメント指導・演出・振付/IDC認定インティマシーディレクター/STAT認定アレクサンダー・テクニーク指導者/スピーチ&プレゼンテーションコーチングActing Coach/Movement Direction/IDC qualified Intimacy Director/STAT certified Alexander Technique teacher, mSTAT, Movement Teaching/Speech and Presentation Coaching
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