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演技が浅くなる本当の理由─「その人らしさ探し」が危険なワケ

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指導歴20年のプロの演技コーチが解説する。演技のポイント

連休の俳優と歌手のためのムーヴメントクラスにご参加くださったみなさま、ありがとうございました。

熱心な方ばかりで、つい私も早口になってしまいました!ごめんなさい。

ラバンのムーヴメントのクラスは、今回1年半ぶりの開催になってしまいましたが、改めて「目に見えて、声で聞こえて、繰り返せる」具体的なトレーニングは、精神論になりがちな俳優や歌手の方に、すごく役に立つなと再発見しました。

私自身、ダンスや歌唱は、自分が上達している手ごたえや、やらなければならないこと、練習の方法も把握していましたが、演技に関しては、確かに歴は長かったものの、なんだかモヤモヤしていた記憶がたくさんあります。

こういった個人的な体験を踏まえて、

・熱心なはずなのに伸び悩む俳優や演出家、声優や歌手….

・もっとできるはずなのに足踏み状態の俳優や歌手の方

・せっかくキャリアもあるのに、なかなか深まっていかないダンサーや俳優、声優の方

・これからスタートするにあたって、息の長い活躍を目指している方々に

有益なブログの記事と、クラスの提案を続けていきたいと思ってます。

さて、本日は、その他、私もおかしな努力をしていたこのテーマです。

 

役の人物の「その人らしさ」を探しすぎると危険な理由

作品の準備をしていると、役の人物の“日常の姿”を丁寧に想像しようとする瞬間があります。

これは、養成所や先輩などからも、やったほうがいいと言われてきた方も多いのではないでしょうか。

例えば、どんなふうに歩いてる、自分の部屋はどうなってる、生活リズム、好きな食べ物、歩き方、音楽、買い物の場所…。

私自身ももちろんやっていましたし、いつの時代も、その人の生活をありありと思い描くことや、必要に応じて、時代背景や風習などを調べておくことも、重要ではあります。

しかし、そこを詳細にし、極めていき、自分のものにしたところで止まってしまうと、演技が浅くなる原因につながります。

意外ですか?

今回は、この「その人らしさを探しすぎてしまう」落とし穴について整理していきます。

 

日常の延長では、物語は成立しない

まず前提として、ドラマや映画・舞台で描かれている出来事は、

役の人物が“通常モード”のままでは起きません。

舞台でも映像でも、翻訳されたり、幅広く楽しまれているドラマを思い出してみてください。

例えば、

・いつも通りの生活をしていたはず…のところに、突然の衝撃的な出会い

・今までの「普通・標準」の価値観が変わるような事件が勃発し、それに巻き込まれる、もしくはそれを解決しようと奮闘する

・それなりに生活をして、成り立っていたのだが、過去(またはジャンルによって未来)によって、日常生活に大きな変化を訪れる

….SFでも、ファンタジーでも、ヒューマンドラマでも、それこそアニメでも、そのようになっていないでしょうか?

これは物語というものの性質なんです。

もし本当に普段の延長で何も変わらず生活していて、そこに事件が降ってきて、悩みが発生して、衝突が起きて…という状況なら、むしろ不自然です。

表面上は普段通りに見えていても、実際には いつもとは違う選択 を迫られている。
あるいは環境との組み合わせによって ズレが起きている。

だからこそ人物は、“いつもの方法ではいられない場所”に立たされます。

大げさに聞こえるかもしれませんが、実は多くの作品でこの現象が当たり前のように扱われています。


つまり、物語が動き出すのはこの瞬間です。

という事は…

 

日常の情報だけでは核心に届かない

もちろん日常の情報は必要です。
どんな環境で生活が成立しているのか、どんな背景を持っているのか。これは土台になります。

役の人物の履歴書を用意するのも同じです。

けれど作品で切り取られている多くの場面は、「いつものA子」「いつものB男」ではありません。

俳優が準備段階でありがちなのは、日常を埋めれば埋めるほど“キャラクターらしさ”が見つかる気がしてしまうこと。

その延長に、様々な出来事や、リスクを負った決断や、これまでと異なる方法を使う役の人物がありありと感じられるのではないかと言う期待感…

ですが、演技では “らしさ”よりも“行動が生まれる理由”(や動機)のほうが根っこです。

 

普段なら隠れている部分が露わになる“理由”を探す

作品の場面で起きているのは、日常の延長ではなく、日常からはみ出してしまうほどの刺激やズレです。

現実の私たち自身も、これまでとは異なる結果を得るために、今まで試さなかった方法を試したという事は無いでしょうか。

普段なら隠れている部分が姿を現さざるを得なくなる──
そこに、「役としての行動」が立ち上がる理由があります。

ですから、背景を埋めて、バックボーンを準備していく段階で、次に俳優が探すべきは、
その人物が“自分らしくない言動”を取らざるを得ない理由や可能性です。

ここに丁寧に踏み込めると、演技が一気に立体的になり、観客の記憶に残る深さが出てきます。

 

まとめ

役の人物の“その人らしさ”を丁寧に積み上げることは大切です。
ただし、それだけでは作品の核心には届きません。

大事なのは、
日常からはみだしていった瞬間に、その人物が何を選ぶのか、選ばないのか。
どんなズレが起きて、どんな行動を取らざるを得なくなっているのか。その方法は?

この視点が持てると、セリフや動きの一つひとつが、人物の必然性を帯びていきます。

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この記事を書いた人:鍬田かおる

演技コーチ/インティマシー・コーディネーター(ディレクター)

演技指導歴20年以上。留学中のイギリスにて、アレクサンダー・テクニーク指導者資格を正式に取得後、音楽家、ダンサー、声楽家、歌手、俳優らを中心に、20年以上の指導歴がある。

映像・舞台・ミュージカル・オペラの現場で、俳優や歌手の演技を深めるレッスンを続ける。特に映画、テレビ、舞台で活躍する実演家を中心に、感情と身体のつながりを軸としたレッスンと世界スタンダードの台本読解及び分析のクラスをはじめ、演技クラスや各種のプロトレーニング、個別レッスンを展開中。

養成所や研修所等での指導歴を経て、映画スクールやパフォーミング・アーツの大学を始め、事務所等でも指導を進める傍ら、幅広い現場で活躍する歌手や俳優のコーチを務める。

詳しいプロフィールは、HPのプロフィールページからご覧いただけますと光栄です。

 

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