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目的が曖昧な演技から抜け出すための4つの鍵 – 行動に熱が宿らない理由と、リアリティある目的のつくり方とは?

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20年の指導歴を持つ演技コーチ鍬田かおるによる解説

本日も、伸び悩みを感じてらっしゃる芸能活動している女性からご連絡いただきまして…。なかなか手ごたえはすぐに出るものでもなく、また性質上、ダンスや音楽、スポーツなどと同じで、年単位で積み重ねが必要な世界でもあります。

これ、環境によっては、違和感がある方もいらっしゃるかもしれません。

今は何もかも、安い、早い、すごい、簡単、一気に、なんて時代です。

だからこそ、今すぐ結果が欲しくなってしまう。これは危ういリハーサルや危険な現場に似ているメンタリティーです。

さて、本日は、これまで台本の読解について書いてきた内容のちょっとダイジェストなバージョンです。

なんとなく読んできたよという方も、おさらいを兼ねて、ご一読ください。きっと発見がございます。

 

演技の「目的」が曖昧になる理由とは?

俳優にとって、演技中の「目的(Objective)」は行動の原動力です。

けれども、現場で多く聞かれるのが「目的が曖昧」「感情ばかりになってしまう」「何をしているのかが伝わらない」といったお悩み。

実際、この問題の背景には、大きく2つの要因があります。

「いつ・どこ・誰に」が不明確なまま演じている

最もよくあるのが、「時間・場所・相手・出来事の流れ」といった文脈が定まらないままセリフを言ってしまっているケースです。

国語の意味としてはわかっているんだけど、「本人の立場から」は名付けられていないレベル。

ここはどうしても引っかかってしまいます。

個人的になっていなければ、気持ちが多く理由もないからです。


たとえば時間についてですが、「好き」と言うセリフひとつでも、それが「別れを告げられた翌朝」なのか、「1年ぶりに再会した瞬間」なのかで、目的も行動の熱量も変わります。

文脈が曖昧だと、感情に頼るしかなくなり、結果として「何がしたいのか」がぼやけます。行動がにじまず、観客に届かなくなるのです。

本人がわかっていないことが他人に伝わるわけもなく、また初めて見た人に伝わるなんて事はあり得ません。

ここ、非常に重要です。

「目的」が個人化されていない

もうひとつの根本的な原因が、「目的」が抽象的・一般的なままになっていることです。
たとえば「彼の気を引きたい」では、行動に具体性が出ません。

でも、「気を引く」の中身が、多種多様なはずなんです。

ボアによって、ちょっと笑っちゃう例ですけど、「彼にだけ見せたことのない弱さを初めて見せて、自分の存在を刻みたい」といった、自分の中で切実さを感じられる表現まで掘り下げられれば、そこに本物の行動が生まれます。

しかもね、

この今、私が書いたレースも、もっと細かい単位に分けていくことができるんです

「見せたことのない弱さって、何のこと?」

「自分の存在って、自分にとっては一体何のこと?」

「刻むってどういう感じ?」

ほらね、こういう風に、具体的かつ感覚的、そして個人的にくっきりしていきます。

目的を“自分のもの”として個人化することで、セリフに頼らず、行動と言葉が結びついていきます。

こちらは、私の台本読解のクラスや演技のシーンのクラスなどでも常にチェックしているポイントです。

知識だけわかっても、ついついその時はなんとなくできる気がしたけれど、実際演じてみるとできない、つながっていないと方が実は多いです。

 

明確な目的を持つための4つの問い、つかいませんか?

演技の中で目的を明確にするには、まず以下の4つをはっきりさせることが重要です。

  • いつなのか(時間の設定)

  • どこでなのか(場所の状況)

  • 誰に対してなのか(関係性の設定)

  • なにの前・後ー出来事の文脈(流れと背景)

この4点を曖昧にせず、自分自身の価値観や感覚を使って「なぜその目的を持つのか?」まで言語化または身体化できれば、演技の軸は強くなります。

逆に、これが1つでも曖昧であれば、足のないテーブル。必ず崩れ、転びます。

 

表現の“リアリティ”は構造から生まれる

目的の曖昧さは「努力不足」や「感情表現の技術」の問題だけではありません。

ここ、勘違いしてる方、いまだに多いです。

・なんだかやりたいことがわからない

・気持ちは伝わってるんだけど、だから何なのって感じ?

・演出の意図と全く重ならない

・ちょっとずれてる感じ…

・状況は成立してるけど、つまらない…

それは多くの場合、構造が整っていないことによるものです。

時間・空間・関係性・出来事の文脈を整え、そこに自分自身の感覚を通して目的を個人化する。そのプロセスこそが、リアリティのある演技へとつながっていきます。

ここには、ある程度の量、つまり練習が必要となります。

売れている方でも、現場が続いている方でも、商業的に成功している方でも、キャリアチェンジでモデルから俳優へ、またスポーツや音楽から演技の道へ進まれる方…

ジャンルを問わず、レベルアップのためのスキル、そして知識だけではなく、練習の量が要になってきます(スポ根ではありません、根拠のある積み重ねの話です。)

 

まとめ:目的が曖昧な演技から脱却するために

  • 文脈の4要素(いつ・どこ・誰に・何の前後)を明確にする

  • 「なぜその目的を持つのか」を自分ごととして、具体的に感覚で掘り下げる

  • 抽象的な目的ではなく、具体的かつ個人化された目的に変換する

これらを習慣化すれば、目的が曖昧なまま始まってしまう演技から、明確で観客に伝わる演技へと進化していくはずです。

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こちらの7つのステップの記事は、まずは入門編になりますが、ご参考になれば幸いです。

せっかく良いアイディアや、優れた感覚を持ちでも、台本を論理的にひもとき、それを身体で、実際に具現化することができなければ、辛いです。

いくら演じることが好きで、現場がある程度あっても、手ごたえが感じられず、量から質へ移行していかなければ、たとえ経済的に成功していても、辛い面があります。

ジャンルを問わず、様々な方の応援を、個人レッスン、グループクラス、サイド、コーチング、現場のサポートを通じて広げていければと考えています。

40年の演劇歴で鍛えられた「台本を受け取ったらまず何をすべきか」7ステップ

 
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