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態度だけの演技が深まらない理由 — 11月30日の集中クラスで“伝わる人物”へ進むために

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俳優と歌手のプロのレベルアップ

インティマシー監修を務めさせていただいた映画の公開も近づき、ますます来年が楽しみな演技コーチ 鍬田かおるです。

狙い通りの演出効果を発揮するためにも、俳優や歌手など、演じ手の方の取り組みのレベルや、内容の理解が本当に重要だなと、感じる1年です。

さて、今日は、若き頃の私もすっかり抜け落ちて、苦労していた…

演技における「態度」についてです。

ここをすっかり忘れていると、どうにも人物が立体的ではない

気持ちは、動いているはずなのに、なかなか厚みがない

子供の役でもないのに、幼稚に見えてしまう…といった残念な結果につながります。

逆を言えば、ここがはっきり整理されていると、役の人物の葛藤や悩み、その時における真に迫った課題、個人的な凸凹が際立つようになりますよ。

態度だけでは“伝わる演技”にならない理由

セリフも覚えて、気持ちも込めている。

そりゃそうです。

それでも「何かが浅い」と感じる瞬間がありませんか?

映像でも舞台でも、ジャンルは問いません。

なんとなく…人間らしくないというか、違和感が残る時…


その原因としてとても多いのが、“態度だけ”になってしまうことです。

自分ではしっかり準備しているつもりでも、
演技が噛み合わないとき——
そこで起きているのは技術不足ではなく、構造の理解が止まっている状態です。

ここでは、「態度だけ」になってしまう仕組みを整理し、
深めるための視点をお伝えします。

態度は“入口”であって、人物の内容ではない

困っている。悩んでいる。
敵対している。びっくりしている。頑固。


演技レッスンでは頻繁に出てくる態度ですが(笑)
これだけでは人物の内容がまだ何も見えていません

困っていると言っても、
困って“悲しい”のか、困って“嬉しい”のか。

様々な事情でいろいろな方が、本当に多種多様な目的や感じ方があります。

それこそ、セリフとも矛盾してる場合がたくさんある。

例えば、困っているからこそ、どこへ動きたくなるのか。

さらに、困っている“にもかかわらず”、欲しいものがあるのか、何から何に変わったのか…?

実際の生活を振り返ってみても、そういったところに、個人の差が現れていると思いませんか?

態度はいわば1種の「状態」であって、
役の“行動”にも“意図”にもまだ届きません。それこそ感情とも違います。

つまり、役としての個人的な事情や価値観にかかわらず、共通して持っている環境への反応です。

という事は、内面の世界の掘り下げは、まだ始まっていない段階です。

態度を掘り下げると“行動”が見えてくる

たとえば「頑固」という態度を演じるとき。
表情を固めるだけでは、その人が何を望み、何を守ろうとして頑なになっているのかは見えてきません。

それは「頑固風」なだけであって、

・何がその方を、頑なにしているのか」の部分には全く触れていない。

これが演技が浅い部分。

同じように「びっくりしている」や「悩んでいる」を
ただ反応として繰り返してしまうと、
その瞬間に「もう仕事をやった」気になってしまう。

そりゃそうです、ドラマの多くは、コメディーでも、悲劇でも、ヒューマンドラマやサスペンスでも、「予期せぬこと」が起きるのですから…笑!

でも実際には、

・なぜその反応が起きたのか、何のためだったのか
・その反応の“後”に何を選ぼうとしているのか、じゃあその前はどうだったのか
・その状態のまま、どこへ向かおうとしているのか、その先には何があって、どんな影響が誰にあるのか…

ここまで踏み込んだとき、初めて役の行動が立ち上がります。

“態度が分かっている時ほど、仕事はまだ残っている”

態度がはっきりしてくると、
「できている気」がして安心しやすいのですが、
実はそのタイミングこそ重要です。

態度が掴めた後に、

・いま何を恐れているのか
・どこに向かいたくなっているのか
・何を欲しくて、何を避けたいのか
・その人物の“選ぶ理由”は何なのか

こうした行動と意図の整理が進むと、
態度が「意味」へと変わり、
その人物が“生き始める”瞬間につながります。

態度に頼らず演技を深めるために

俳優にとって、態度が見えること自体は悪くありません。
ただしそこに留まってしまうと、
「反応だけの人物」「状態だけの人物」になり、
観客にも監督にも“伝わる理由”が欠けてしまいます。

寒々しい空気が流れることもしばしば…

態度を起点にしつつ、
その奥にある行動・欲求・意図を丁寧に探ること
これが演技を深めていくための核になります。

深める演技へ進みたい方へ

今回のテーマ以外にも、こちらのブログやInstagramでは
演技のQ&A、深めるための視点、構造の扱い方などを
日々発信しています。

もし「もっと整えていきたい」「きっとレベルアップできそう」と感じるところがあれば、クラスやレッスンのご相談をどうぞ。
演技を“動かす力”を、一緒に育てていきましょう。

これまでよくわからないなんちゃらメソッドや、経験論に偏ったよくわからないアプローチ、セラピー的な不思議なクラスで、嫌になってしまった方でも、大丈夫です。

私のクラスは具体的であり、また言語が可能なプロセスを目指しております。年間を通じて異なる視点で、少人数の演技クラスと、俳優や歌手の方、ダンサーの方の身体や声のプロ化とレベルアップに役立つ、各種のレッスンを展開しております。

●11月の少人数制演技クラスは、モノローグを使って行います。

セリフを入れてくる必要ありません、事前のセリフの課題は相談ができます。一人ひとりのキャリアや方向性に合わせた題材を探せるよう、テキストのやりとりを複数回予定しております。

少人数制ですので、満席になり次第、キャンセル待ちとさせていただきます。

初めての方はお申し込みの際、プロフィールや、近況、これまでのご経歴なども必ずお書きください。お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

◾️11月30日(日)モノローグが深まる1日集中クラス|セリフの“浅さ”を抜ける構造と実践

 

●この記事を書いた人:鍬田かおる

演技コーチ/インティマシー・コーディネーター(ディレクター)

演技指導歴20年以上。留学中のイギリスにて、アレクサンダー・テクニーク指導者資格を正式に取得後、音楽家、ダンサー、声楽家、歌手、俳優らを中心に、20年以上の指導歴がある。映画、テレビ、舞台で活躍する実演家を中心に、感情と身体のつながりを軸としたレッスンと世界スタンダードの台本読解及び分析のクラスをはじめ、演技クラスや各種のプロトレーニング、個別レッスンを展開中。

養成所や研修所等での指導歴を経て、映画スクールやパフォーミング・アーツの大学を始め、事務所等でも指導を進める傍ら、多様なミュージカル、オペラ、映像、舞台など幅広い現場で活躍する歌手や俳優のコーチを務める。

詳しいプロフィールは、HPのプロフィールページからご覧いただけますと光栄です。

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