無難では物語は動かない
俳優として積み上げてきた技術や経験があるにもかかわらず、
「何が悪いわけではないけれど、なぜか深まらない」
「丁寧に作っているのに、なぜか引っかかりが残る」
そんな違和感を持つ方は意外に多いものです。
多くの一生懸命の方々が、無意識的に「失敗しないこと」「迷惑をかけないこと」「嫌われないこと」を優先してしまう場面も…
もちろん、私も、学生の頃からずっとそうでした…
台本も読みこんでいる。
もちろん役について考えてもいる。なのにどこか物足りない。
その背景には、“選択の質が安全すぎる”という共通点があります。
これ、癖になってしまうので、見直して欲しいんです。
物語が動く瞬間には、必ず“個人的なリスク”がある
物語の中で役の人物が前に進むとき、必ず何かしらのリスクを取っています。
私たちから見れば些細な変化でも、本人にとっては「いつもと違う選択」を迫られる瞬間です。例えば
・普段なら避けることを、あえて選ぶ(何らかのきっかけはある)
・言いたくないことを、どうしても言わざるを得ない(緊急であったり、重要だったりする)
・踏み込みたくない関係に、一歩踏み込む(目的や目標に向かう力が強くなる)
・気づかぬふりをしてきたものを、見てしまう(こちらも、何らかの分岐点、分かれ道になっているからこそのドラマです。)
この“わずかにも見えるズレ”こそが、台本に記された出来事と役の人生を結びつけます。
観客が息をのむ理由は、ただただ大きな事件そのものではなく、
その一歩を踏み出す人物の「内側の揺れ」にあります。
しかも、フィクションの世界ですから、演出されてます。展開や結末がある程度、形作られています。だからこそ、飛躍も可能です、ジャンルによっては大いに揺さぶられるシーンの連続も面白いですよね。
無難な選択では、観客が作品にとどまらない
個人的な事情はさておき、なんとなく安全な方向を選び続けると、演技は驚くほど穏当になります。
「まとまっている」と素敵に呼ぶ方もいらっしゃるのですが、実際、今の時代に、2時間以上の舞台を夢中になってなっ観続ける事は非常に厳しいことも。映像であっても、すぐにクリックしてしまう、何か別の「動くもの」に気を取られがちなのも人間の性。
集中力が短くなっていると言われる昨今の現代自然あればなおさら、辛いことですが…。
この丁寧には見えるけれど、物語の必然性が立ち上がってこない安全すぎる選択肢、これでは
観客がじっと見続ける理由も生まれません。
・当たり障りない
・無理のない
・想像できる範囲の
・誰も傷つかない
・役の人生が揺れない
こうした“保温された状態”では、サスペンスも緊張も、未来への期待も消えてしまいます。
本人は真面目にやっているからこそ、この変化に気づきにくいのが厄介なところです。
しかも、自分ではわからないんです。つい「あるある」をやっているから、突き抜けていないこと、印象に残らないこと、さらに言えば、演じ手自信もリスクを負っていないわけですから、どうしても輝かない。(わざと目立たないようにするのは、また別のスキルです)
面白さや深みは、“リスク”と“はみ出し”からしか生まれない
いわゆる上手い俳優よりも「目が離せない俳優」がいます。
その差を生むのが、挑戦の最初の一手があるかどうかです。
面白さやスリル、物語の転がりにつながる一歩は、大げさである必要はありません。
むしろ、繊細でリアリティーのある、的確なはみ出しほど観客は共鳴します。
つまり、
・大きな芝居
・激しい感情
・派手なアクション
が必要なのではなく、
役の人物が“自分でも予想しない”選択に踏み出す余地をつくることが重要です。
ハラハラ・ドキドキの素こそ、「リスク」から来てるんです。
大御所が圧倒的に強い理由
長く第一線で活躍する俳優には、共通点があります。
それは、最初の一歩で“リスクのある選択”を決め切る習慣を持っていること。
役の人物が「通常モードでは成り立たない状況にいる」ことを理解したうえで、
その人物が本来避けたいはずの選択肢に、あえて踏み出す覚悟を持っています。
この最初の一手が、
・その人物の背景
・葛藤
・価値観
・置かれている状況
を一瞬で観客に伝え、場面の密度を一段引き上げます。
大型新人が一気に“爆発する”理由も同じ
新人でありながら、一作目で一気に名前が広がる俳優がいます。
その裏には、経験値ではなく、**「最初の一手で世界を掴みにいく力」**があります。
守りではなく、
・この役は“ここから動く”
・この一歩は避けられない
・この人物の人生はこの瞬間に傾き始める
という“物語の呼吸”に触れられている。
経験ではなく、選択の質で勝負できる人が一気に抜けるのはそのためです。
あなたの演技、その“最初の一歩”にリスクはありますか?
ここで言うリスクは、無茶な行動でも奇抜な表現でもありません。
その人物にとって“本当は避けたい選択”に、どれだけ誠実に触れられるかです。
それが見えてくると、
役が立ち上がるスピードが変わり、
台本の読み方も変わり、
現場での反応も変わります。
自分の魅力を押しつけるのではなく、
役の人生が動き出す瞬間を“整えて差し出せる俳優”になる。
そのための視点こそ、個人的なリスクの読み解きです。
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演技コーチ/ムーヴメント指導・演出・振付/IDC認定インティマシーディレクター/STAT認定アレクサンダー・テクニーク指導者/スピーチ&プレゼンテーションコーチングActing Coach/Movement Direction/IDC qualified Intimacy Director/STAT certified Alexander Technique teacher, mSTAT, Movement Teaching/Speech and Presentation Coaching




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