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「できてる“つもり”になっていませんか?」

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演技クラスご参加者の声

演技指導歴20年、映画やテレビの方々の体力に、脱帽する日々です。

イギリス時代から、あっという間の20年でしたが、こんなに素晴らしいみなさまご一緒するとは夢にも思わなかった、演技コーチ 鍬田かおるです。

この秋は、おかげさまでインティマシー・コーディネーター(エレクター)の仕事も少しずつ、充実してきている気がします。

とは言え、もともと俳優の育成およびスタジオでのレッスンが大好きな私のこと、今月も推進力のある生徒さんたちの活躍が目覚ましく、私ももっと切磋琢磨せねばと励んでおります。

 

さて、今日は、ちょっと恐ろしい話。

これこそ、私が大いなる恥を忍んで書きますが、大いに勘違いしていたこと。

「できていない方に限って、まぁまぁできてるだろうとつい見積もりが甘くなってしまう」

傾向についてです。

 

できてる“つもり”になっていませんか?

―感情ではなく「構造」で変わる演技のリアリティ

感情を込めても“伝わらない”のはなぜか

セリフも覚えた。感情も込めた。
それでも、なぜか観客に届かない。
そんな経験はありませんか?

「できているはずなのに、響かない」——この状態には明確な構造があります。
多くの俳優が抱えるこの“違和感”は、明らかな技術不足の他には、注意の方向や優先順位、焦点の置き方があります。

どうしても演じるとなると、「実感を伴いたい」のが人情。

これは俳優だけに限らず、歌唱やダンスにも共通する誘惑だと思います。

例えば、次々と、様々な出来事が起きるシーンがあると、感情を動かすとリアルになると思い込みがちですが、実際はその逆。

過程をすっ飛ばして、結果に飛びついていますから、そのように無理に感情を動かそうとした瞬間に、身体は直接、操作しようとして余計に緊張します。


つまり、“感じようとする努力”が、役やシーンで欲しいリアリティを遠ざけるのです。

その昔、私も思いっきりやっていました。

その時の身体の感じ、今でも思い出せます。

・ちょっと視野が狭くなって

・気持ちを込めるんだが、なんだかわからないが、身体が硬くなって

・地面の感覚や周囲の細やかな様子は感じ取れず

・そのクセ、興奮もあってか、なんだか「できるような気がして」変な選択肢を思い切ってやってしまう…

よくぞ周りの方が、フォローしてくれたなと、今更ながら恥ずかしく感じます。

さて、その後、学びに学び、研究を重ね私が気づいたこと…

“気持ち”より先に見るべきは、構造

役やシーンへのリアリティは、感情からではなく「構造」から生まれます。

「感情は、結果」の一部です。

例えば、どのセリフが、どの状況で、どんな意図を持って発せられているのか。これはいわゆる感情・気持ちではない。

事実としての現象ーその構造を読み解くことが、俳優の行動を支える“骨格”になります。

言葉遣い、ちょっと難しくてごめんなさい。

ただ、この「事実としての現象」を扱っているのだと言う意識がない限り、どうしても、精神論やお願いのような部分に依存しすぎてしまうのも問題ではないでしょうか。

「怒り」「悲しみ」「喜び」などの感情ラベルに頼らず、また、単なる発散でもない。
なぜその言葉を選び、何を得ようとしているのかを明確にする。

どこから来て、どこへ向かうのか、それは何を意味するのか、もしくは意味しないのか…

もちろん、全てが理屈で整理できるわけは無いですが、それでも、その“文脈の精度”が上がるほど、観客は連想し、記憶をたどり、ときには類推していきます。

なぜって?

「感覚体験」があるからです。


リアルやリアリティーと呼ばれるものは、強く願うとか、たくさん感情を表に出すこと自体ではなく、構造が正確に作用した結果として生まれるものです。

何が一番恐ろしいか

私も、お恥ずかしいことに、10代の頃は気づきませんでしたが

ある程度できていて、ぐんぐん伸びている方ほど、裏では深く悩み、想像絶するような量の試行錯誤を繰り返しているんです。

これは、フォーミングアーツの世界に限ったことではないと思います。

なぜなら、観客側、「結果としての作品」受け取る側は、どうしても完成したところ、編集され、切り取られ、上映及び上演された部分と「注目してほしい」と整えられたり、演出された部分に着目するからです。

それにもかかわらず、さらに飛躍していく方たちこそが、謙虚に「まだまだできることがある」「まだあれができてない・これもできてない」と健やかな課題を抱え、実は日ごろのトレーニングや練習、学習に余念がない。

だから、さらにどんどんできるようになっていて、悩み自体のレベルアップしていく、という根本的な違いを目の当たりにします。

「やってない」わけじゃない。けれど、届かない理由がある

例えば、台本の読み方が“感覚任せ”や”お客様目線”になっていると、
場面ごとのピークや関係性のダイナミズム、テーマ整理されないまま流れてしまいます。

他にもよくあるのは、重要そうなことをちりばめてしまっている場合。

また、窮屈にたくさん入れすぎて、注意散漫になっている場合も。

一方で構造を理解している俳優は、セリフの裏にある「事情」や「目的」を的確に捉え、その場での自分にとって都合の良い要素や側面だけではなく“人物の目標や願望・密かな願い”に沿って動きます。


これが、ただひたっているような感情や状態に溺れないリアリティーや存在感を生み出す鍵です。

この違いは、台本との出会い方、言葉との関係性、“読み方の精度”、そしてその元になってる身体から決まります。


役を感情で断罪したり、ただ文学的に解釈するのではなく、行動で理解する。
その転換ができた瞬間、俳優の目の前の世界が変わります。

 

台本を“自分ごと”で読むということ

俳優が本当に成長する瞬間は、「台本を読む力」と「想像と反応」が組み合わさって、変わったときです。

文学的に(という言い方も語弊がありますが)書かれた言葉をなぞるのではなく、

・人物の事情を自分の行動として

・具体的に調節可能な形で

まず、想像して、動いてしゃべってみて、つなげられること。

その瞬間、セリフの意味も動きの理由も、すべてがどんどんと、まるで雪だるま式かのようにつながり始めます。

(例外的ですが、そもそもの台本に構造がない場合はNGです)

感情を出そうとしなくても、行動が語り始める。


構造を読み取ることは、演技を冷たくするのではなく、感情を自由にする土台なのです。

これまでにクラス受講者が感じた変化

「自分の演技をよりリアルにしたいと感じている方にピッタリ」だと感じました。
・台本の行間を読む
・自分の言葉として語る
・シーンの起結を考える

と、言葉では今までも言われてきましたが、
考える方法すらわからず「考えたつもり」でした。

実際に演じるため、論理的なのに気持ちを動かすくらいの
パワフルな力をもつ台本読解を教わることができます。

クラス参加者のお声ー俳優 女性 30代 東京都

 

「具体的な読み込みがこんな風にできれば、演技によけいな迷いがなくなり、
その経験で自信がつくと思いました。

それからセリフも【自分ごと】にする方法が今回ハッキリしました。」

俳優 女性 30代 東京都

 

クラス講師からのメッセージ

多くの方が「自分がレベルアップしているのかわからない」
「もっと上達したいのに方法がわからない」と悩まれています。
なかなか飛躍やズバ抜けた成長が実感できないのは、
学び方が“構造的”になっていないからかもしれません。

私は、継続的に受講して変化を実感できる
少人数制の実践クラスと個人レッスンを得意としています。

芸能事務所や音楽・演技の学びを経て、
世界最高峰の演劇学校・大学院で8年間留学し、卒業。
名優たちがどのように稽古を積み上げているのかを
直接見てきた経験をもとに指導しています。

もしあなたがこれまで「うまくセリフを言う演技」や
「段取りを覚える芝居」に慣れていたとしても大丈夫です。
構造を理解することから、響くような、そして深い発見が始まります。

次の現場で“違い”を見せられる自分へ

10/24(金)オンライン台本読解 19:30-22:30

10/25(土)スタジオ実践 13:00-17:00

10/26(日)スタジオ実践 14:00-18:00

オンラインで一緒に深く読むから、安心してのびのびスタジオで体感していける。
台本の構造への理解と読み、そして実際の動きが結びつくことで、確実に変化が起こります。


一歩を踏み出した俳優から、次の現場で“違い”を見せています。

10月クラスの詳細はこちらです

◾️10月開催ー台本を読む力を演技力に変える三日間クラス

 

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